著者
梅井 菜央 安宅 一晃 嶋岡 英輝 木西 悠紀 菅 健敬 大塚 康義 宇城 敦司
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.405-408, 2012-07-01 (Released:2013-01-16)
参考文献数
10
被引用文献数
1

発熱を初発症状とする12歳の男児が,血液分布異常性ショック,肝不全,非乏尿性腎不全を呈して来院した。血液検査は,WBC,CRP,プロカルシトニン,サイトカインの上昇を示し,重症感染による敗血症性ショックと診断した。しかし翌日,心機能低下や皮膚粘膜症状に気づき,川崎病と診断した。川崎病は乳幼児期に発症し,年長児以降の発症例はまれである。また,川崎病は免疫系の異常により高サイトカイン血症に至り,敗血症と同様の症状を呈することがある。本例のように,年長児以降に感染を疑う血液分布異常性ショックを呈した場合は,川崎病も考慮する必要がある。
著者
後藤 幸大 岡 英輝 横矢 重臣 橋本 洋一 越後 整 塩見 直人 武澤 秀理 田邑 愛子 藤井 明弘 日野 明彦
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.357-361, 2018 (Released:2018-09-25)
参考文献数
9

頭痛・頸部痛など解離に伴う痛みで発症した椎骨動脈解離は比較的予後良好とされるが,その中にくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)を来し予後不良となる例がある.いずれの例がSAH を来すのか予め把握するのは困難だが,痛みで発症した椎骨動脈解離を初診時に確実に診断することが重要である.当院初診時に診断に至らず,SAH を発症し再受診した4 例を検討し報告する.4 例は年齢層,頭痛や頸部痛が中等度以上かつ悪化すること,時間外に救急外来を受診していることが一致していた.再診後は速やかに血管内治療を行い,退院時mRS 0 が2 例,mRS 4 が2 例だった.日常診療において上記のような患者に遭遇した場合,椎骨動脈解離を念頭にbasi-parallel anatomical scanning を含めた頭部MRI/MRA,頭部造影CT を考慮すべきである.SAH を来し再受診した場合,速やかな治療で予後良好となる可能性がある.