著者
山崎 徹 足立 大樹 藤田 和孝 網谷 健児 三浦 永理 早乙女 康典
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

ナノ結晶合金やアモルファス合金は高強度材料ではあるが、塑性変形中の加工硬化は生じない。このため、引張や圧縮変形時には塑性伸びを殆ど生ずることはなく、局所的なせん断帯を生じて脆性的に破壊し、これが、これら高強度合金の実用化への大きな障害となっている。本研究では、電解析出法によりナノ結晶相とアモルファス相の複合組織を有するNi-W合金を作製し、塑性変形誘起のナノ結晶粒成長を利用した加工硬化性の発現と高延性化を実現できた。さらに、アモルファス構造を有するZr基金属ガラスに貴金属を添加することにより、塑性変形誘起のナノ準結晶相の析出を促進させ、加工硬化性を発現させることができた。
著者
足立 大樹
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

Al-Zn-Mg合金にMnを過飽和に添加し、急冷凝固法を用いてアトマイズ粉末を作製し、773Kで脱ガス処理をすることによりサブミクロンオーダーのMn金属間化合物を高密度に分散させることが出来る。これを773Kで熱間押出することでMn金属間化合物の周囲に転位が高密度に導入される。通常の合金であれば不連続動的再結晶の一種である粒子促進核生成再結晶(PSN)が生じるが、今回はMn金属間化合物間の距離が非常に近いことからPSNは抑制され、連続動的再結晶が生じ、微細な等軸の動的再結晶粒が一部で生じた。動的再結晶率は30%強であり、未動的再結晶部分は押出方向に伸張していた。得られた押出しままの組織は押出方向、ED//<111>or<100>に強度に配向した押出し集合組織であったが、これを423Kという非常に低い温度で熱処理することにより未動的再結晶部分からも静的再結晶が生じ、全面に微細な結晶粒が得られた。非常に低温における変化であったため、静的連続再結晶の可能性が考えられたが、集合組織の変化を調べたところ、押出集合組織が緩和され、よりランダムに近い組織が得られていたため、低温熱処理中の静的再結晶は連続再結晶であることが分かった。ランダムな組織は押出効果が得られる押出集合組織よりも押出し方向の強度には劣るが、その他の方向に優れた当方的な組織である。以上のことから、動的再結晶組織に低温熱処理の条件を加えることにより、強度に一方向に配向した組織から、ランダムな組織まで、目的に応じて容易に制御することが可能であることが分かった。