著者
笠松 慶子 鈴木 哲 辛島 光彦 泉 博之 神代 雅晴 二宮 理憙
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.125-131, 2004-06-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

本研究では, 月経周期の月経前期, 月経期および低温期の三つの時期において2種類の実験作業における作業パフォーマンスと月経随伴症状の違いについて検討した. その結果, 単純反応型作業での総作業量と反応時間においては月経周期の時期の影響を受ける傾向があり, 低温期では他の二つの時期に比べて作業パフォーマンスが高いことが認められた. 状況対応型作業では月経周期の時期の影響は認められなかった. 月経期には身体的な変化, 月経前期には精神的な変化が強く現れた. なお, 本研究の被験者は7名と少数であり, 限定されたデータから得られた結果である.
著者
辛島 光彦 西口 宏美
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.29-40, 2012-07-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究では,モーツァルトエフェクトに代表される作業前の音楽聴取が知的作業に与える影響に着目し,知的作業として単純繰り返し作業を取り上げ,作業者が自らやる気が向上すると期待できる音楽を作業前に聴取することにより,作業者のポジティブな感情状態が高められ,作業のパフォーマンスが向上するという,作業前音楽聴取の有効性について実験を通じて検討した.実験は12名の被験者にドイツ語の転記作業を,他の16名にフランス語の転記作業を,さらに他の16名に心的回転作業を,作業前の音楽聴取の有無の条件においてそれぞれ行わせた.実験の結果,作業によらず作業前に音楽聴取を行った場合の方が音楽聴取を行わない場合と比較し,被験者のポジティブな感情状態が有意に高くなり,作業によらずパフォーマンスも有意に向上することが示され,単純繰り返し作業における作業前音楽聴取の有効性が示唆された.
著者
西口 宏美 辛島 光彦 齋藤 むら子
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.137-144, 2008
参考文献数
19

本研究は,地域社会において提供される社会資源を要介護者のニーズに対応可能なものとして整備していくための指針を得るために,通所リハビリテーションで提供される介護とリハビリテーション・サービスに対する利用者の満足度と利用時のwell-being感について把握することを目的としている.介護老人保健施設で提供される通所リハビリテーションの利用者59名を対象に,提供されているサービスに対する満足度と利用時のwell-being感に関する調査を行ったところ,以下のような結果が得られた.(1)利用者は,提供されるサービスについて概ね高い満足感を抱いており,その中でも特に入浴介護に対する満足度が高かった.また,男女間で満足度の異なるサービス項目がみられ,特にコミュニケーション活動においては女性群の方が高い満足度を示した.(2)サービス利用時の well-being感においては,性差や他の利用者との人間関係により差異が見られ,女性群ならびに人間関係に満足と回答した群においてwell-being感が高かった.以上の結果より,要介護者のニーズを満たすためには,介護サービス利用者の性差や他の利用者との人間関係について十分配慮し,きめ細かいサービスの提供が必要であると考えられる.