著者
辰田 和佳子 稲山 貴代 秦 希久子 中村 彩希
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.195-204, 2015

目的:第1に食事に気をつける行動の違いにより,食物摂取状況の良好さを示す食物摂取頻度得点に差があるかを確認すること,第2に食事に気をつける行動と10品目の食物摂取頻度との関係から,気をつける行動がどのような食物の望ましい摂取行動と関連するかを検討することを目的とした.<br>方法:東京都の障がい者スポーツセンターの利用者を対象に,無記名質問紙を用いた横断調査を実施した.調査票739部を配布し,最終的に成人肢体不自由者381人を解析対象とした.食物摂取頻度得点の差にはMann-Whitneyの検定を用いた.10品目の食物摂取行動を従属変数,気をつける行動を独立変数として,二項ロジスティック回帰分析にて両者の関係を検討した.<br>結果:食事に「とても気をつけている」者は,それ以外の者と比較し,食物摂取頻度得点が有意に高かった(20点 vs 18点).とても気をつける行動は,緑黄色野菜(オッズ比:2.57,95%信頼区間:1.65-4.00),その他の野菜(オッズ比:2.23,95%信頼区間:1.43-3.45),果物(オッズ比:2.29,95%信頼区間:1.47-3.57)の望ましい摂取行動と関連していた.<br>結論:自立/自律している肢体不自由者を対象とした栄養教育や支援プログラムでは,食事に気をつける行動と野菜や果物の摂取行動との関連をふまえて計画することが望まれる.
著者
吉田 明日美 髙田 和子 別所 京子 田口 素子 辰田 和佳子 戸谷 誠之 樋口 満
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.305-315, 2012 (Released:2012-12-13)
参考文献数
31
被引用文献数
1 11

【目的】女性スポーツ選手を対象に,二重標識水(DLW)法で測定した総エネルギー消費量(TEE)と,食事記録法より求めた総エネルギー摂取量(TEI)から算出したTEI評価誤差に対する種目や身体組成,食事摂取状況の関連を明らかにすることを目的とした。【方法】大学女性選手38名(陸上中長距離9名,水泳10名,新体操7名,ラクロス12名)を対象とした。体重補正済みTEE(cTEE)はDLW法で求めたTEEと調査期間中の体重変動から算出し,TEIは同期間に実施した食事記録法による食事調査から計算した。【結果】cTEEとTEIは,陸上 2,673±922 kcal/day,2,151±434 kcal/day,水泳 2,923±749 kcal/day,2,455±297 kcal/day,新体操 3,276±497 kcal/day,1,852±314 kcal/day,ラクロス 2,628±701 kcal/day,2,329±407 kcal/dayであった。TEI評価誤差は,陸上-13.6±24.1%,水泳-13.3±14.3%,新体操-42.0±15.3%,ラクロス-2.8±38.3%であり,種目間の比較では新体操が有意に過小評価していたが,身体組成や食事摂取状況には競技特性はみられず,同一種目間の個人差が大きかった。評価誤差の大小で2群に分けた高精度群(評価誤差-8.4±10.7%(値の範囲:-24.8%~+14.5%))は過小評価群(-40.9±8.8%(-56.3%~-28.7%))よりTEE,脂質エネルギー比率が有意に低値であり,菓子類摂取量,食事回数,炭水化物エネルギー比率が有意に高値であった。TEEが小さいことは高精度群への分類に独立して関連していた。【結論】女性選手の評価誤差には,TEEが独立して関連し,種目や食品群別摂取量,エネルギー比率,食事回数が関連する可能性が示された。今後は,対象種目の再検討や対象者数の増加とともに,心理的,社会的要因を含めた,評価誤差に関連する要因の検討が必要と考えた。