著者
森 洸遥 辻 寧英
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J101-C, no.5, pp.245-252, 2018-05-01

Kerr型非線形媒質を用いた光デバイスは,光による高速な光制御を行うことが可能であるため,全光型ネットワークの重要な素子である光スイッチや光論理ゲートを実現するため盛んに研究が行われている.しかしながら非線形媒質では,通常の線形デバイスの設計理論を直接応用できない場合も多く,汎用的で効率的な設計法が求められている.本論文では伝搬解析手法に有限差分ビーム伝搬法,感度解析に随伴変数法を用いたトポロジー最適設計法をKerr型非線形媒質を含む場合に拡張し,光スイッチ及び全光型論理ゲートの最適設計に関する検討を行っている.
著者
井口 亜希人 辻 寧英
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.6, pp.193-199, 2022-06-01

光通信システムの基本要素である光回路デバイスの極限までの高性能化を達成する手段として,形状・トポロジーまで含めた自由度の高い設計手法の活用が盛んに検討されている.本論文では,数値計算手法として,近似的手法であるが計算効率の飛躍して高いビーム伝搬法を活用した,特性感度に基づく形状・トポロジー最適設計技術とその適用例を示す.本設計アプローチでは,離散セルごとに割り当てられた正規化密度を媒介(設計)変数として導波路の材料分布を表現し,設計変数に対する特性感度計算を行う.ビーム伝搬法による特性解析,感度計算,及び勾配法による材料分布の更新を繰り返し,所望の特性の最大化を行う.パワー分岐素子や交差導波路のような基本的な回路要素の設計を行い,本設計手法の有効性を確認する.
著者
柏 達也 辻 寧英
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.3, pp.322-329, 2022-03-01

5G(第5世代)高速通信を支える基幹技術の一つとなるのが従来に比べ非常に高い周波数帯であるミリ波帯の利用である.また,5Gによる自動運転,遠隔医療,ローカル5Gの実用にはミリ波技術が重要となる.最近の3Dプリンタの急速な高性能化は従来の解析的な設計手法のみならず,トポロジー最適化といわれる素子構造最適化問題により得られた高性能素子の実用化を可能にしている.このトポロジー最適設計においては様々な手法が提案されているが,現在,最も注目を集めている手法は人工知能の一つである発見的最適化手法であり,それによる素子性能最適化に関する研究が重要である.従来の手法に比べ解析の高速化及び素子の高性能化の実現が重要なポイントとなる.本論文ではミリ波伝送線路の一つであるNRDガイドのトポロジー最適設計による素子性能向上について報告する.