著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
親和國文 (ISSN:02879352)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-25, 1997-12-01

醍醐寺本『諸寺縁起集』所載の淡海三船撰「大安寺碑文一首并序」の本文翻刻と略注。後に付録として、『文選』所収の「頭陀寺碑文一首」の本文を掲げた。
著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学文学部総合文化学科
雑誌
神戸親和女子大学言語文化研究 = Language and culture (ISSN:18819613)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-16, 2016-03-20

三島由紀夫の小説「三熊野詣」(昭和四十年)の読解と引証。小説の主題を「神と伝説の虚構のあらわれ」ととらえ、それが神秘と作為、神と人、聖と俗といった二面を隠見させる道すじを読み取った。熊野の神は藤宮先生により、藤宮先生は常子により、神秘と虚構の正体をあらわす。常子は作者であり、作者は熊野に来て神と神を祭る者の素顔を認識するのである。このような読解に加えて、作者が折口信夫と永福門院を題材にした背景を探り、その創作方法と意図について私見を述べた。
著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学研究論叢 (ISSN:13413104)
巻号頁・発行日
no.30, pp.7-26, 1996-10

『群書類従』神祇部所収の「松浦廟宮先祖次第并本縁起」の中に、藤原広嗣(?-七四〇)の上表文なるものを載せる。これは従来、後世の偽作と見なされてきたが、かりに上代の漢文として読んだ場合、いかなる問題が生ずるか。本文に乱れがあり、文意の通りにくい箇所もあるが、まずは語句・表現に即して略注をのみ施し、この問題について若干の私見を示すことにした。
著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
親和國文 (ISSN:02879352)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-18, 1998-12-01

東大寺図書館蔵本『東大寺要録』巻八所載の「東大寺桜会縁起」の本文翻刻と略注。
著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学研究論叢 (ISSN:13413104)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.51-58, 2007-03

明治38年(1905)刊の合著歌集『恋衣』に収める増田雅子(茅野雅子)の「みをつくし」の選釈。歌のことばに即して注解を付し,初出や類似歌と比較して,創作の意図・推敲・歌群構成等に関して評釈を記した。また山川登美子との交友についても述べた。ここに選んだ歌は,所収114首のうちの(1)「しら梅の」(2)「紅梅の」(3)「京の春に」(4)「夢に見し」(5)「泣きますな」(6)「君待たせて」(7)「うたたねの」(8)「紅蓮の」の8首である。
著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学研究論叢 (ISSN:13413104)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-24, 1999-02

谷崎潤一郎の「蘆刈」(一九三二年)の読解。初めに、語り手の男が「お遊さん」の子ではないかとの疑いに対しては、これを否定した。次に、語りの方法と人物造型、また主題となる場面が巨椋池に設定され、ことさらに月見の夜が描かれた理由を、『源氏物語』以下の古典にさぐり、史実と地理に即して考証しつつ、私見を述べた。
著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
親和國文 (ISSN:02879352)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-15, 2003-12-01

一、藤原広嗣の上表文中の「讖記日胡法滅國亡」と、野馬台識の延暦九年注の中の「衡者胡法滅佛法守倭云々」「胡法滅者國随也云々」「佛法滅國邑亡」とは同じ文献から出るものであろう。二、藤原広嗣の上表文が真正な上代文献であるとすれば、そこに引く「讖記」の一条も、天平十二年(七四〇)以前にすでに我が国に伝来していた文献であったであろう。三、藤原広嗣が排斥した吉備真備(および玄肪)は、漢土の讖緯説に通暁していたが、「讖記」が舶載書であるとすれば、吉備真備が天平七年帰国時に持ち帰った可能性があろう。その呼称はおそらく「野馬台讖」ではなかったであろう。