- 著者
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山口 巖
- 出版者
- 神戸親和女子大学
- 雑誌
- 神戸親和女子大学研究論叢 (ISSN:13413104)
- 巻号頁・発行日
- no.35, pp.63-90, 2002-03
二重振り子の周期的な振る舞い,特に2つの振り子の初期角度が大きい場合の周期的な振る舞いが数値的な方法で調べられた。2つの振り子の初期角度の特別な組み合わせに対して,2つの振り子が同方向に振動する場合,下側のおもりは静かに手放されてから最下点まで徐々に加速され,その後手放した位置とは上側のおもりの固定点を通る鉛直軸に関して反対側の対称な位置まで徐々に減速される。その後,逆の経路をたどって最下点まで徐々に加速され,続いて徐々に減速されて手放した位置まで戻る。この振動が周期的に繰り返される。一方,上側のおもりは静かに手放されてから徐々に加速されるが,最下点の手前で減速され,その後最下点を通過してしばらくは加速され,その後手放した位置とは上側のおもりの固定点を通る鉛直軸に関して反対側の対称な位置まで徐々に減速される。その後,逆の経路をたどって最下点の手前まで徐々に加速され,その後減速されて最下点を通過し,続いてしばらくは加速された後,徐々に減速されて手放した位置まで戻る。この振動が周期的に繰り返される。そして,2つの振り子の振幅は位相を等しくして同じ周期で振動することが見いだされた。2つの振り子が逆方向に振動する場合は,同方向に振動する場合の上側と下側のおもりの振動の仕方を入れ替えた場合に対応するように周期的に振る舞うことも見いだされた。2つのおもりの時間経過に伴う運動エネルギーと位置エネルギーの変化からこれら周期的な振る舞いは説明できる。また,二重振り子の周期的な振る舞いが2つの振り子の初期角度の数多くの組み合わせ(小さい角度の組み合わせからかなり大きい角度の組み合わせまで)に対して一般的な特性であることが数値的に見いだされた。2つの振り子の初期角度が極端に大きい場合の2つの振り子の振る舞いについても言及し,カオスを特徴づける数理的性質の1つである「初期値に対する鋭敏な依存性」を確かめることにより,その振る舞いがカオス的であることの傍証を与える。