7 0 0 0 OA 深部温計測

著者
辻 隆之
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.185-191, 1988-03-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
10

本稿では, プローブを体表に固定することにより無侵襲に組織温が計測できる深部体温計の原理を解説し, それによる前額深部温が中核温の性質を示すこと, さらに, 前額-足底深部温が解離すれば血行動態に注意を要し, 両深部温の変動が血行動態のモニタになりうることを示した. また, 意識のない患者で, 頭部表面冷却によって前額深部温が低下し足底深部温より2℃以上逆転する場合には, 脳死と診断できることを示した.
著者
松添 弘樹 七星 雅一 角谷 誠 大西 祥男 清水 宏紀 畑澤 圭子 中村 浩彰 熊谷 寛之 辻 隆之 井上 通彦 則定 加津子 高見 薫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.54-60, 2014

症例1 : 30歳代, 女性. アルコール依存症, 神経性食思不振症にて精神科外来加療中であったが1 年前より通院を中断していた. 2012年5 月下旬の夕食後, 突然の痙攣様発作で救急要請. 救急隊到着時, 心室細動波形で心肺蘇生を開始, 合計3 回の電気的除細動が施行され当院搬入となった. び漫性左室壁運動低下を認め, 血清カリウム2.2mEq/L, 血清リン1.1mg/dLと電解質異常を認めていた. 入院後電解質補正を行い不整脈は消失したが, 低酸素脳症のため意識レベルの改善なく経過した. 症例2 : 40歳代, 男性. 2012年5 月下旬より下肢筋力低下, 起立困難から脳梗塞を疑われ近医で頭部精査入院となったが, 明らかな脳神経疾患は認めなかった. 前医第2 病日の朝食後, 突然心室細動が出現し心肺蘇生が施行されるも, 難治性心室頻拍となり某院救急センターへ搬送. 冠動脈造影にて有意狭窄はなかったが, 薬剤的, 電気的にもコントロール困難で経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary support ; PCPS) 挿入下に当院に紹介搬送となった. 当院では多形性心室頻拍 (torsades de pointes ; TdP) を認め, び漫性に左室壁運動が低下しており, 血清カリウム : 1.6mEq/L, 血清リン : 1.6mg/dLと電解質異常を認めた. 入院後電解質補正によりTdPは消失, PCPS抜去にいたるも低酸素脳症から意識障害が遷延し第10病日に死亡退院となった. 両症例ともアルコール依存症を背景に持ち, カロリー摂取後の致死的不整脈出現からrefeeding症候群の関与が疑われた. 慢性低栄養患者に発症した若年性心肺停止患者ではrefeeding症候群の可能性を常に考慮する必要があると考えられた.
著者
石川 自然 安藤 正彦 辻 隆之 須磨 幸蔵 高尾 篤良
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.11, pp.1632-1637, 1974

われわれは雑腫成犬を使用しての実験中,たまたままれにみるイヌの心膜欠損に遭遇した.<BR>本心膜欠損例は,'L内筍形の合併はなく,'t前面左右に及ぶ広範囲の心膜欠損があり,ヒトにおいてもまれと思われるtypeの1つである、また,形態学上興味深い事は,特に左室側の心膜辺縁の直下に深い圧痕がみられ,さらに左側のN.phrenicusが露出されていた事である.現在までに,ヒトの心膜欠損症の臨床症状の1つとして胸痛があげられているが,本症例の場合,圧痕による冠状動脈の圧迫は形態学上胸痛の成因を示唆している様に思われる.<BR>発生学的には,横隔膜神経が左側心膜を伴っていない事から,左側のpleuropericardial-membraneの不完全な発育によって肺芽が胸腔と心腔との間にある空隙に突入しながら発育したためと思われる.心膜欠損症の発生機序については,不明なところがまだ多く,今後さらに検討する必要があると思われる.
著者
辻 隆之 土肥 健純 安水 洸彦 藤里 俊哉 佐田 正晴 宮脇 富士夫
出版者
国立循環器病センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

ミニブタが異種臓器移植用ドナー動物として世界に認知され、遺伝子組み換えが欧米で試みられている、我か国では数が現状ではきわめて少ない貴重なミニブタの受精卵にヒト遺伝子を導入するマイクロインジェクション法について効率的なデバイスを開発することが本研究の目的である。そのために低侵襲的に卵胞卵を採取できる三次元視硬性内視鏡を開発した。さらに薄層(50μm)緻密ガラスで表面コーティングしたマイクロポーラスガラス板にマイクロポケット(直径150μm)をマトリックス(5×5)状に穿ち、それをハウジングに固定して卵浮遊液を循環するミニブタ卵培養装置を開発した。それを三次元視正立顕微鏡に取り付けてCRTでマイクロポケット内に吸引固定された卵胞卵を立体視し、培養液の性状(pH.02、CO2など)を制御して卵胞卵を体外培養し、体外受精させる。三次元マイクロステージをコンピュータで制御し、受精卵保持システム内の受精卵にヒト遺伝子を導入するシステムを開発した。