- 著者
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佐藤 至
辻本 恒徳
世良 耕一郎
二つ川 章二
津田 修治
- 出版者
- 公益社団法人 日本獣医師会
- 雑誌
- 日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.12, pp.825-830, 2003
- 被引用文献数
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2
平成11年11月から平成14年8月までに狩猟等によって岩手県内で捕獲されたツキノワグマ計42頭 (雄24頭, 雌18頭) の肝臓, 腎臓および被毛についてPIXE分析を行い, 鉛等の重金属による汚染状況を調査した.その結果これらの組織からは, クロム, マンガン, 鉄, コバルト, 銅, 亜鉛, セレン, モリブデン, カドミウム, 鉛等が検出された.このうちコバルトは人などで知られている濃度の10倍以上の高値を示した.また2頭の亜鉛濃度が異常な高値を示し, 何らかの亜鉛暴露を受けていた可能性が考えられた.肝臓, 腎臓および被毛におけるカドミウムの平均濃度はそれぞれ0.20, 9.16, 2.10mg/kgであり, 日本人の正常範囲を超える個体はみられなかった.肝臓の鉛濃度の多くは1mg/kg未満であったが, 3頭が2mg/kgを超え, ツキノワグマにおいても鉛汚染が存在する可能性が示唆された.