著者
辻本 洋子 奥田 豊子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.15-26, 2009-09

大阪府内の小学校3年生から6年生の368人を対象に食事を中心とした日常生活に関する質問紙調査を実施し,児童の食を中心とした生活習慣と心身の健康状態や学習態度との関連性を検討した。(1) 朝食の欠食者は全体の1割程度で,朝食を食べた者の半数が「主食」のみであり,主食が飯の場合が最も食事バランスが良かった。健康状態と朝食皿数との関連では,健康状態が良好な者の方が食事バランスがとれていた。(2)食事バランスによる食生活や健康状態を比較したところ,食事バランスが良い群は食事を楽しみにしており,朝食を毎日食べ,共食・食事の手伝頻度が多く,食意識が高く,よくかんで食べており,健康状態が良好であった。(3)共分散構造分析を行った結果,健康度に最も強く影響していたのは,「おいしく食べる」ことであり,就寝時刻や排便などの生活習慣も関与していた。以上の結果から,心身の健康度には,家族そろって,よくかんでおいしく食べることや,快便,快眠などの食生活や生活習慣が大きく影響していること,さらに,健康度が高いことは「授業中眠くない」,「宿題をきちんとする」等の学習面にも影響を及ぼしていることが示唆された。This study examined the relationship between dietary life and health status (health degree) and learning attitude in elementary school children. A questionnaire survey was conducted among 368 elementary school children (from grade 3 to grade 6) living in Osaka prefecture. The half of the children who had breakfast ate only staple foods. Children with better dietary balance had high degree of health and enjoyed meals, ate breakfast every day, chewed their food well, and made a help of a meal better. The components and items were subjected to covariance structure analysis. The hypothesized model fitted well (GFI, AGFI, and RMSEA). The results showed that enjoying meals, chewing food well, defecation every day, and enjoying meals with family altogether directly increased health degree. In addition, the high degree of health had exerted a good influence on their learning attitude. These results suggested that dietary life including enjoying eating were important to the health status and learning attitude in elementary school children.
著者
境田 靖子 岩橋 明子 辻本 洋子 福村 智恵 由田 克士
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.101-110, 2022 (Released:2022-02-18)
参考文献数
29

妊娠期の食品摂取状況と児の出生体重への影響を検討するために、大阪府・奈良県・福岡県の3地区において、2015年4月~2016年8月の間に3~4カ月児健康診査を受診する予定の母親1,302人を対象に、母親の身体状況と喫煙、飲酒習慣、食品摂取状況等および児の身体状況について質問紙調査を実施した。出生体重2,500g以上と低出生体重児の2群で比較すると、低出生体重児群は母親の非妊娠時および出産時体重、非妊娠時BMI、体重増加量、出生児の身長と在胎週数が低く、喫煙率が高かった。さらに、食品摂取頻度と摂取目安量から算出した摂取得点では、妊娠前と妊娠中の両期間で低出生体重児群は野菜料理摂取得点が低く、妊娠前の野菜料理摂取得点および牛乳・乳製品摂取得点が低い群は低出生体重児が出生するオッズ比が1.69、1.58と高かったことから、低出生体重児の抑制に妊娠前からの適切な食事管理、特に野菜摂取の指導の必要性が示唆された。