著者
吉本 悠汰 菅野 晃子 辻田 那月
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.213-223, 2023-02-28 (Released:2023-07-20)
参考文献数
11

本研究では、公立小学校の通常学級に在籍する場面緘黙の2年生男児に対し、学級担任による支援で発話状況がどの程度改善するのかを明らかにすることを目的とした。そこでまず、対象児が話すことに対し前向きになることを目的として、4月から学校において安心できる環境づくりを行った。次に、6月から翌年2月まで、対象児が学校で発話できるようになることを目的として、学校や対象児の自宅、医療機関において計22回の発話支援を行った。学校での発話支援の際には、担任が作成したお話チャレンジカードや九九がんばりカード、質問カードによる発話練習を行った。これらの支援の結果、4月には学校で発話できなかった対象児が、翌年2月には担任が近くにいれば意見交流やスピーチでの発表など、授業中の発話が求められる場面で声を出せるようになった。以上より、通常学級の担任が緘黙児の支援を行うことで緘黙児の発話状況を改善させることは可能であることが示唆された。
著者
辻田 那月 片岡 茉好 船曳 康子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-034, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究では親子間のメディア利用に対する意識の差を,米国バーモント大学のThomas Achenbachらが開発した青少年のメディア依存質問紙であるMedia Activity Formを用いて検討した。11~18歳の子ども300人(男子150人・女子150人)とその親が調査に参加した。親は自分の子どもの,子どもは自分のメディア利用意識についてポジティブな2項目とネガティブな11項目について回答した。性差について女子の方が男子よりもメディアに時間を費やしすぎていると感じていた。また親子間では親の方が子どもより,子どもがメディアに時間を費やしすぎていると感じており,さらにメディアに費やす時間が減れば子どもはもっと家族と過ごし,睡眠をとり,学業成績が良くなるだろう,などメディアについてネガティブに捉えていることが分かった。一方,子どもの方が親よりもメディアを通して役立つ情報を得る,メディアの利用は学業の役に立つ,などメディアについてポジティブに捉えており親子のメディアについての意識には違いがあることが分かった。