著者
道前 洋史 若原 正己
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.33-39, 2007
参考文献数
52
被引用文献数
1

表現型可塑性は生物が環境の変化に対して示す適応的反応であり、理論的にも適応進化できることが報告されている。この場合、自然淘汰は、個々の表現型ではなく反応基準を標的としているのである。しかし、表現型可塑性を適応進化させる生態的・環境的条件の実証的研究結果が十分にそろっているとはいい難い。本稿では、この問題について、北海道に生息する有尾両生類エゾサンショウウオ幼生の可塑的形態「頭でっかち型」を題材に議論を進め、表現型可塑性について、分野横断的(生態学的・生理学・内分泌学的)なアプローチも紹介する。
著者
道前 洋史 若原 正己
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.33-39, 2007-03-31 (Released:2016-09-10)
参考文献数
52
被引用文献数
1

表現型可塑性は生物が環境の変化に対して示す適応的反応であり、理論的にも適応進化できることが報告されている。この場合、自然淘汰は、個々の表現型ではなく反応基準を標的としているのである。しかし、表現型可塑性を適応進化させる生態的・環境的条件の実証的研究結果が十分にそろっているとはいい難い。本稿では、この問題について、北海道に生息する有尾両生類エゾサンショウウオ幼生の可塑的形態「頭でっかち型」を題材に議論を進め、表現型可塑性について、分野横断的(生態学的・生理学・内分泌学的)なアプローチも紹介する。
著者
道前 洋史 若原 正己
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.33-39, 2007-03-31

表現型可塑性は生物が環境の変化に対して示す適応的反応であり、理論的にも適応進化できることが報告されている。この場合、自然淘汰は、個々の表現型ではなく反応基準を標的としているのである。しかし、表現型可塑性を適応進化させる生態的・環境的条件の実証的研究結果が十分にそろっているとはいい難い。本稿では、この問題について、北海道に生息する有尾両生類エゾサンショウウオ幼生の可塑的形態「頭でっかち型」を題材に議論を進め、表現型可塑性について、分野横断的(生態学的・生理学・内分泌学的)なアプローチも紹介する。
著者
道前 洋史 若原 正己
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.52, 2005 (Released:2005-03-17)

卵は多くの母性因子を含むことから、そのサイズがエピジェネティック発生過程を通じて後の形質発現に大きな影響を与えることが知られている。すなわち、遺伝子型の違いだけでなく、発生機構自体も表現型多型の要因となる。本口演では、卵サイズと可塑的形質がエピジェネティック発生過程を通じて強く相関しているため、可塑的な反応性に制約がもたらされる例を報告する。 近年報告されている表現型可塑性は、自然選択の対象となり、多様な環境変化への生物の適応的反応と解釈されている。北海道に生息する有尾両生類エゾサンショウウオでは、その幼生期間に頭部顎軟骨が著しく肥大した可塑的形態Broad-headed morph(頭でっかち形態)が誘導される。この形態の誘導要因はエゾサンショウウオ幼生にとって大型餌動物である同種幼生やエゾアカガエル幼生の高密度化である。この事実はBroad-headed morphが大型餌動物の効率的捕食への適応的反応であることを示している。したがって、集団間での選択圧の違いがBroad-headed morph発生率の変異を引き起こすことは容易に推測される。我々は、異なる幼生密度の集団間でBroad-headed morph発生率が大きく異なっており、幼生密度が高い集団ほどBroad-headed morph発生率が高いことを示した。しかし、同時に卵サイズを調べた結果、Broad-headed morph発生率は卵サイズに依存したものであった。すなわち、Broad-headed morph発生率の集団内及び集団間変異は、卵サイズの変異によるものであった。このような結果は、現在の生態学的アプローチによる表現型可塑性の研究に対して、発生学的アプローチの必要性を訴えているものである。
著者
西村 欣也 三浦 徹 岸田 治 道前 洋史 北野 准
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

北海道の固有種であるエゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)の幼生は、捕食者生物、餌生物、同種幼生の存在に呼応して生態学的機能を有する表現型可塑性を示す。そのため、進化生態学、発生生物学を融合する研究の優れたモデル生物である。本研究では、エゾサンショウウオ幼生が捕食者生物存在下、餌生物存在下で可塑的に発現される形態変化について、幾何学的形態解析法を用いて定量的に明らかにし、その分子発生学的メカニズムを調べる出発点として形態変化と関連するゲノム情報の探索を行った。さらに、生息域全域を網羅する5地域集団間で、表現型可塑性に伴う形態変化の反応規範と、遺伝マーカーの変異を調べた。