著者
西村 馨 木村 能成 那須 里絵 岡本 美穂 佐藤 かな美
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

集団不適応の中学生に対するグループセラピーを実践し、参加者(合計14名)のほぼ全員が学校での適応状態の改善を見た。グループでの治療展開について、個人の未形態の情緒が対人関係的出来事(対人トラウマの再演)をもたらし、その理解が相互の関係性を深化させ、さらに現実的アクションへと至るプロセスが見出された。このようなグループセラピーの構造、治療的活動、基礎技法、セラピストの姿勢、グループ発達段階に応じた介入について整理した。また、本グループによる教師研修(1名)、カウンセラー研修(3名)の検討により、子どもの感情に一層接近する感覚の向上とやりとりの柔軟化が見出された。
著者
那須 里絵 西村 馨
出版者
国際基督教大学 International Christian University
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.63, pp.113-122, 2021-03-31

本研究では,仲間希求があるにもかかわらず学校で孤立し,孤独を抱えている思春期の子どもへのグ ループセラピーの有効性を検討した。思春期グループセラピーの仲間関係発達促進モデルの意義を述べ, 仲間関係発達を促進する上でのパラメーター(枠組み,活動,グループ発達段階,セラピストの基本的 技法)を整理し,外来機関でのグループセラピーのデザインを試みた。適切にデザインされたグループ セラピーの適用は,思春期の子どもに居場所を提供し,孤独感の低減と仲間関係の改善をもたらすこと が期待される。ここでデザインされたグループにおける仲間関係の具体的な発達過程について,孤独を かかえた子どもがどのように展開を見せるのかを検討することが今後の課題である。