- 著者
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酒井 寿夫
森澤 猛
仙石 鐵也
- 出版者
- 森林立地学会
- 雑誌
- 森林立地 (ISSN:03888673)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.1, pp.21-27, 2003-06-25
- 被引用文献数
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長野県の御岳山(標高2,120m)で降水および降雪のpH,ECと溶存成分濃度を測定した。7年間のpH,ECの加重平均値はそれぞれ5.04,5.7μS/cmであった。溶存成分濃度は他の山岳地域と比較して低いレベルにあった。降雪期(12〜3月)におけるECは降雨期(6〜10月)に比べて高かったが,これはすべての溶存成分の濃度が12〜1月に高いためであった。御岳において,降雨期と降雪期の溶存成分濃度を比較すると,海塩起源の比率が高いと考えられるNa^+,K^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,Cl^-,ss-SO_4^<2->のそれぞれの濃度は降雪期の方が明らかに高かった。一方,非海塩起源のNH_4^+,NO_3^-,nss-SO_4^<2->の濃度も高い傾向にあった。したがって,降雪期における溶存成分濃度の増加は,海塩とそれ以外のものを起源とする複合的な要因によるものと推定された。降雪期にNa^+,K^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,Cl^-,ss-SO_4^<2->の濃度が高い傾向は、比較した5つの観測地点(輪島,八方尾根,立山,犬山,名古屋)でも見られた。しかし,御岳におけるこれらの成分の濃度比(降雪期/降雨期)は、日本海側の輪島,八方尾根,立山ほど高くなく,太平洋側の犬山,名古屋と同程度であった。一方,御岳ではNH_4^+,NO_3^-,nss-SO_4^<2->の濃度比(降雪期/降雨期)も高くなっており,同じ傾向が日本海側の輪島と八方尾根で明らかに見られた。御岳における降雪期のNH_4^+,NO_3^-,nss-SO_4^<2->濃度増加は,藤田ら(2001)が西日本で観測した現象(降水中のnss-Ca,NH_4^+,NO_3^-,nss-SO_4^<2->濃度が10〜3月に濃度が高くなる現象)と非常に似ていた。