著者
小林 麻子 清水 豊弘 冨田 桂 林 猛 田野井 真 町田 芳恵 中岡 史裕 酒井 究 渡辺 和夫 両角 悠作
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.138-143, 2018
被引用文献数
4

福井県内の生産者や流通業者から高く売れる米への要望が高まっていた。さらに,地球規模での気候変動の影響で,福井県でも高温登熟による玄米外観品質の低下が懸念されていた。寒冷地南部における「コシヒカリ」の高湿登熟耐性は"やや弱"とされており,高温登熟下でも玄米外観品質が安定して良好な品種が求められていた。以上のような状況を背景として,育成地では,福井県の新たなブランド米となりうる良食味で高温登熟耐性に優れる「ポストこしひかり」品種の開発を行ってきた。
著者
後藤 雄佐 中村 聡 酒井 究 星川 清親
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.473-479, 1994-09-05
被引用文献数
2

スイートソルガムの生長の解析法を確立するために, 疎植区(100 cm×50 cm)と密植区(50 cm×20 cm)とを設け, 節間の伸長と肥大とを調べた. 供試品種は早生のSucrosorgo 301 (S 301)と晩生のSucrosorgo 405 (S405). 収穫物の中心となる茎は, 伸長した節間の集合体であり, 収穫物からその個体の生長を解析するためには, どの節間がいつ頃伸長・肥大したものかを推定できなくてはならない. すなわち, 外観から測定できる個体の齢と内部での節間の生長との関連性を把握する必要がある. そこで, 葉身が抽出完了した時点ごとに, その葉位で個体の齢を表し(葉位齢と呼んだ), 節間の伸長・肥大との関係を調べた. 葉位齢を用い第9節間〜第12節間の伸長過程を基に概念的な節間伸長の生長曲線を描いた. すなわち, 第n節間(IN n)は葉位齢n+1頃から急激な伸長を始め, 葉位齢n+2頃に最も急速に伸長し, 葉位齢n+3〜n+4頃に伸長が終わった. 節間伸長への栽植密度の影響は, 伸長の速度として認められた. 節間の太さについては, 同じ節間位で比較すると, 両品種とも疎植区のほうが密植区より常に太かった. 節間の肥大は, 一つの生長曲線にはまとめられなかった. 最も単純化した場合, 栽植密度によって異なる2つの生長曲線にまとめられた. INnは, 葉位齢nくらいまでは栽植密度の影響を受けずに肥大したが, 密植区は葉位齢n+1くらいから肥大速度が鈍り, 葉位齢n+2くらいで最大径となった. ところが疎植区は, 葉位齢n+5くらいまで肥大が続き, 最大径は密植区を上回った.