著者
北原 拓也 久保 恭仁 吉澤 海 安部 宏 会澤 亮一 松岡 美佳 相澤 良夫 砂川 恵伸 高山 忠利 幕内 雅敏
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.229-237, 2009 (Released:2009-06-03)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

Peliosis hepatis(肝紫斑病)は,類洞の拡張と肝内に多発する血液の貯留腔を認めるまれな疾患で,WHOの肝腫瘍の組織学的分類では腫瘍類似病変に分類されている.本邦では腫瘍との鑑別に苦慮した症例の報告が散見されるが,肝全域にわたってPeliosis hepatisが発生,進展し,致命的な転帰となった症例は,過去にわずか1例が報告されているのみである.今回我々は,特徴ある組織学的所見を呈し,経過観察中に突然病態が悪化し急速に致命的な経過をたどった,肝全域にわたる特発性Peliosis hepatisの極めてまれな1例を経験したので報告する.
著者
石黒 晴哉 木村 貴純 二上 敏樹 吉澤 海 安部 宏 須藤 訓 相澤 良夫 酒田 昭彦 田尻 久雄
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.679-686, 2011 (Released:2011-10-27)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

症例は80歳,女性.2008年9月に肝障害で当科紹介となり,肝生検を含めた精査にて原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断した.その後,経過観察中の2009年9月まで徐々に汎血球減少が進行し,心嚢水貯留が出現した.抗核抗体が高値で,2本鎖抗DNA抗体が陽性であり,米国リウマチ学会の全身性エリテマトーデス(SLE)診断基準の11項目中4項目に合致し,SLEと診断した.さらに,2009年10月の腹部CTで肝S2に径22 mm大の肝細胞癌(HCC)を認めたため,SLEの加療として経口プレドニン20 mgを開始し汎血球減少症,心膜炎の改善を得た後,2010年1月に肝動脈塞栓術およびラジオ波焼灼療法を施行した.術後経過良好で現在経過観察中である.今回,我々はPBCの経過観察中にSLEを発症し,さらにHCCの発生も認めた,稀少かつ示唆に富む高齢のPBC症例を経験したので報告する.
著者
馬場 仁 会澤 亮一 山尾 瑞奈 安部 宏 宮川 佳也 松岡 美佳 相澤 良夫
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.1325-1331, 2004-12-05
参考文献数
22
被引用文献数
2

62歳男性. 悪心, 左上腹部痛を主訴に平成15年3月当院受診. 同年5月の再受診時より肝障害を認め6月4日入院. 腹部造影CTでは肝左葉中心の斑状高濃度域を認めた. MRIでは肝の信号はびまん性に不均一で, T1強調像で低信号, T2強調像でやや高信号, SPIO造影で左葉中心の斑状低信号を認めたが, 腫瘍の同定は困難だった. 肝不全が進行し7月26日死亡. 肝ネクロプシーと画像所見からびまん型肝血管肉腫と診断した.