著者
望月 美也子 重村 隼人 長谷川 昇
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.201, 2005 (Released:2005-12-08)

【目的】炎症性腸疾患は、腸粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす難治性特定疾患の総称であり、過剰な過酸化物の生成により発症することが明らかとなっている。我々は、既に、脂肪細胞において、緑茶がSOD活性を増加させ、過酸化物の生成を抑制することを明らかにしている(第54回日本家政学会、東京、2003)。そこで、本研究は、2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid(TNBS)によって誘発される、炎症性腸疾患動物モデルに対する緑茶カテキン(-)-epigallocatechin-3-gallate (EGCG)の保護効果を確かめるために行われた。【方法】雄SDラット(180±20g)を用い、EGCG(30mg/kg)を10日間連続的に経口投与した。炎症性腸疾患は、TNBS50%エタノール水溶液(120mg/Kg)を直腸内投与することにより誘発させた。12時間後、大腸を採取し、炎症部位のダメージスコア、好中球浸潤の指標であるmyeloperoxidase(MPO)活性、superoxide dismutase(SOD)活性を測定した。【結果・考察】本研究の結果、TNBSによる潰瘍、出血を伴う炎症性大腸炎の症状と、MPO活性の有意な増加が見られた。この際、あらかじめ緑茶カテキンの主成分であるEGCGを投与しておくと、粘膜肥厚と出血が抑えられ、白血球の浸潤も抑制された。この原因として、EGCGがSOD活性を有意に増加させたため、ラジカルが補足され、腸粘膜が過酸化物による損傷から保護されたことによると考えられる。以上の結果を総合すると、EGCGは炎症性腸疾患に有効であることが明らかとなった。
著者
望月 美也子 重村 隼人 長谷川 昇
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.116, 2007

<B>目的</B> 炎症性腸疾患は、腸粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす難治性特定疾患の総称であり、過剰な過酸化物の生成により発症することが明らかとなっている。一方、シクンシ科植物であるテルミナリアのその抽出物質であるセリコサイドは、<I>Terminalia sericea</I>の樹皮および根に由来し、アフリカや東南アジアでは、抗酸化作用を持つハーブとして民間療法に用いられている。そこで、本研究は、2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid(TNBS)によって誘発される、炎症性腸疾患動物モデルに対するセリコサイドの炎症性腸疾患保護効果を確かめるために行われた。<BR><B>方法</B> 雄SDラット(165±10g)を用い、セリコサイド(30mg/kg)を10日間連続的に経口投与した。その後、炎症性腸疾患を誘発させるためTNBS50%エタノール水溶液(120mg/Kg)を直腸内投与した。12時間後、大腸を採取し、炎症部位のダメージスコア、好中球浸潤の指標であるmyeloperoxidase(MPO)活性、superoxide dismutase(SOD)活性を測定した。<BR><B>結果・考察</B> 本研究の結果、TNBSによる潰瘍、出血を伴う炎症性大腸炎の症状と、MPO活性の有意な増加が見られた。この際、あらかじめセリコサイドを投与しておくと、粘膜肥厚と出血が抑えられ、白血球の浸潤も抑制された。以上の結果を総合すると、セリコサイドはTNBSによって惹起された炎症性腸疾患の粘膜保護に有効であることが明らかとなった。
著者
望月 美也子 重村 隼人 長谷川 昇
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.71, 2006

【目的】シクンシ科植物であるテルミナリアは、東アフリカなどの熱帯地方に約250種分布するといわれ、国内では沖縄県の海岸地帯に多く自生している。その抽出物質であるセリコサイドは、Terminalia sericeaの樹皮および根に由来し、アフリカや東南アジアではハーブとして民間療法に用いられている。そこで本研究では、抗肥満作用が報告されているセリコサイドに着目し、脂肪細胞の脂質代謝に及ぼす影響を確かめるために行われた。【方法】3T3-L1細胞を培養し、細胞がconfluenceに達した時点で、インスリンを培養液に加え、脂肪細胞へと分化させた。充分に脂肪を取り込んだ細胞に、セリコサイドを添加し、取り込まれた脂肪がどのように変化していくかを観察した。脂質動態の判定は、超音波処理細胞浸出液中の細胞質グリセロール量と細胞質中性脂肪量を測定した。【結果・考察】充分に脂肪を取り込んだ細胞に、セリコサイドを添加すると、コントロールに比べ蓄積脂肪が減少し、細胞質グリセロール量が増加する傾向がみられた。これらの結果は、セリコサイドの添加時間と濃度に依存的であった。
著者
深見 沙織 中村 崇仁 柳田 勝康 山田 慎悟 重村 隼人 伊藤 美香利 岩田 弘幸 朱宮 哲明 西村 直子 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.96-103, 2011-07-30
参考文献数
12

近年わが国では,食生活の変化に伴い子どもにおける肥満や生活習慣病の増加が起こっている。その解決策として,食育が必要と考えられている。この度われわれは,入院中の子どもとその保護者を対象に,食事を提供する医療従事者の立場で次のような食育の取り組みを開始した。栄養バランスが良く,子どもたちが好き嫌いなく食べられるように工夫した「お子様ランチ」という新メニューを創った。古来の季節行事の日の「お子様ランチ」には,わが国の季節に応じた食文化の紹介文を添えた。保護者に対して,食育の意義,献立に使用した食品の栄養素の解説,レシピ等を記載したパンフレットを週1回定期的に配布した。<br> また,この取り組みを評価するため,保護者に対し毎週1回アンケート調査を行なった。開始後3か月間のアンケート結果 (n=215,回収率87%) では,「お子様ランチ」の献立内容,盛付け,子どもの反応,パンフレットの内容の4項目全てで,「よい」という回答が過半数を占めた。食育に興味があるとの回答は93%であり,保護者の食育に対する関心は高かった。一方,子どもが好む食材のみを使用する傾向,外食が多い傾向等,食育上の問題点が見出された。<br> 入院期間中という短期間の取り組みであるが,保護者に子どもの食育を考える機会を提供できたと考える。今後もこの取り組みを継続し,子どもたちの食育に生かしていきたい。