著者
長 哲郎 松岡 英明 内本 喜一朗 鳥居 滋 野中 勉 鈴木 周一
出版者
東北大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

本研究は重点領域研究「有機電気化学の新展開」の総括班としての機能を有し、実施グループ5名と評価グループ6名から構成され、評価グループの助言を得ながら、4つの班相互の連絡を緊密にして研究計画全体の効果的推進を計った。1.研究項目と成果電子移動反応場の設計と制御(A01)、超活性反応種の創成(A02)、メディエーター反応の展開(A03)と錯体電子移動系の展開(A04)の4研究項目を設け、計画班員29名(3年間同数)、公募班員平成7年度91名(平成5年度55名、6年度87名)により研究の推進を計った。平成8年10月の総括班による評価では、各研究項目は何れも顕著な成果を挙げ、有機電気化学の格段の発展に繋がるとともに、他の方法では実現できない有機反応系を発展させ、さらに錯体化学、生物電気化学と有機電気化学との境界領域を築く成果も得られ、当初の目的を充分達成した。2.全体会議、公開シンポジウム等の開催6回の全体会議、5回の公開シンポジウム(第2回全体会議から全体会議に続けて実施)、11回の総括班会議、17回の実施グループ会議、10回以上の班会議、4回の班組織を越えた横断的研究会議を開き、班員相互の情報交換、班員同士の協力研究や横断的研究の実施、研究計画全体の効果的推進、報告書の作成打ち合わせ等を進めた。3.印刷物の発行各年度未に研究成果報告書(各班員和文2ページ、英文2ページ)および3年間の研究成果報告書(各班員英文4ページ)を刊行した。また、全体会議、公開シンポジウムの際には要旨集を、さらに12回のニュースレターを班員等に配布し、研究の目的、研究の進行状態等の周知徹底を計った。平成10年2月には英文図書“New Challenges in Organic Electrochemistry"を出版するべく一般学術図書の補助金申請を行い準備を進めている。
著者
野中 勉 佐々木 和夫 竹原 善一郎 藤嶋 昭 長 哲郎 杉野目 浩 宇根山 健治
出版者
東京工業大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

次世代の有機電気化学における新しい先端的研究領域の開拓と創造が模索された。前年度における研究成果に基づいて、有機電気化学の新領域は、電極反応の反応場である電極界面に対する新しい概念の構築と展開なしでは開拓できないという基本理念の下で研究が進められた。その結果、電極界面反応場は下記の3つの新しい概念から成り、各々に設計・制御の新しい原理と手法が求められることが検証された。(1)三次元機能修飾電極界面反応場:分子識別機能、選択的吸着・透過・配向機能、不斉機能などをもつ反応場が設計され、そこでの有機電極反応の解析を通じて機能発現が実証された。(2)超イオン雰囲気電極界面反応場:溶融塩系、固体電解質系、気相電解系、不均一電解液系、超強酸、超強塩基系、電解発生酸・塩基系、溶解電極系、超疎水性電極系などの反応場が設計され、そこでの有機電極反応の解析を通じて反応制御の新しい局面が開かれた。(3)エネルギー照射電極界面反応場:プラズマ系、超音波照射系、光照射系、磁場照射系、超高電位印加系などの反応場が設計され、そこでの有機電極反応の解析を通じて化学エネルギーだけでは生起しない新しい電極反応が開発された。以上により、有機電気化学の新しい研究領域は、電極界面反応場の新しい概念と原理・手法に基づく設計と制御によってもたらされる反応の帰納的、能動的かつ合目的的な超精密制御の追究にあると結論される。