著者
野口 律奈 平岡 真実 陣内 瑤 北原 裕美 渡部 芳徳 香川 靖雄
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.229-238, 2011 (Released:2011-10-18)
参考文献数
40
被引用文献数
1 2

日本人健常者を対象とした観察研究において, 男性の血清葉酸濃度, および葉酸摂取量が鬱スコアと逆相関することが報告されている。しかし, 日本人鬱病患者を対象に葉酸栄養状態を調べた研究はない。そこで本研究では, 精神科通院中の日本人患者103名の血清葉酸・ホモシステイン・VB12濃度, 葉酸・VB2・VB6・VB12摂取量, メチレンテトラヒドラ葉酸還元酵素 (MTHFR) 遺伝子多型を調べ, 鬱病症状との関連を検討した。結果, 男性患者の血清葉酸濃度, および葉酸・VB2・VB6の摂取量が鬱病精神症状と有意な逆相関を示した。女性ではこうした関連はなかった。血清葉酸濃度は男性より女性の方が有意に高く, 葉酸・VB2・VB6摂取量も女性の方が有意に多かった。一方, 精神疾患のリスクとされるMTHFR遺伝子TT多型の出現頻度は, 日本人の一般的な出現頻度と有意な差は見られなかった。本研究の結果から, 精神疾患男性患者の葉酸栄養状態は, その精神症状と逆相関することが示唆された。
著者
早川 和樹 野口 律奈 前原 大輝 松田 桃香 庭池 知里 本柳 圭亮 山口 圭太 小山 徹 伊村 智 大西 伽枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【背景】南極での食事は以下のような特殊性を持つ。①南極到着後食糧の補給はなく、一度持ち込んだ食糧のみで食生活を維持する。②保存性・貯蔵性に乏しい食品(野菜・果物など)は、食せない時期(越冬後半)がある。③メニューは調理隊員が決定し、個人による選択の余地はない。④ゴミ減量化、排水制限等の制約がある。⑤南極生活での数少ない楽しみの1つであり、隊員同士の紐帯の源である。こうした特殊性は、災害時の食事と共通点が多い。南極調理隊員による食糧の選択と配分、食べられない食品の代替メニュー等は、災害用備蓄や災害時の食事に活用できると思われる。さらに、隔離・閉鎖された空間である南極での食事が、隊員にとってどのような存在か、調理隊員は何を心がけているのかを知ることは、災害時の食事を単なる栄養補給ではなく、被災者に寄り添う食として捉える上で重要であると考える。</p><p>【目的】本研究の目的は、南極越冬隊の食事の特徴を明らかにし、災害食への応用を検討することである。本発表では、南極での献立の特徴について報告する。</p><p>【方法】第1次隊(1956-58年)から第60次隊(2018-20年)までの日本南極地域観測隊報告書を対象とし、献立に関する記載を記述的に分析した。</p><p>【結果】朝食はバイキング、昼食は短時間で食べられる麺類か丼もの、夕食は定食スタイルであった。お菓子は、持参した分が最後までなくならないよう、調理隊員が管理して配分していた。BARが定期的に開かれ、お酒が自由に飲めるようになっていた。さらに、曜日感覚を維持するために毎週金曜日はカレーとする、季節感感覚を維持するために日本の季節に合わせた特別食を実施する(7月に流しそうめん等)などの工夫がされていた。</p>