著者
城月 健太郎 笹川 智子 野村 忍
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.42-48, 2007
被引用文献数
1 4 2

The effect of negative rumination on social anxiety was investigated. In addition, since Social Anxiety Disorder (SAD) patients also exhibit a high degree of comorbidity with mood disorders, therefore we also discussed the relation between SAD and depression. Participants were 343 undergraduate students who completed a set of question naires consisting of the Social Avoidance and Distress Scale (SADS), the Short Fear of Negative Evaluation scale (SFNE), the Negative Rumination Scale (NRS), and the Self-rating Depression Scale (SDS). The results showed a moderate positive correlation between SADS, SFNE, NRS, and SDS (p<.01). After controlling for SDS, there remained a significant correlation between SADS, SFNE, and NRS (p<.01). Results of path analysis indicated the validity of the negative rumination model of social anxiety (GFI=.999, AGFI=.989, RMSEA=.001). Furthermore, all path coefficients were significant (p<.001), suggesting that negative rumination enhanced social anxiety and depression. These findings implicated the effect of negative rumination in reinforcing SAD. The possibility of interventions to prevent negative rumination in SAD treatment was discussed.
著者
城月 健太郎 笹川 智子 野村 忍
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.42-48, 2007
被引用文献数
1 4

The effect of negative rumination on social anxiety was investigated. In addition, since Social Anxiety Disorder (SAD) patients also exhibit a high degree of comorbidity with mood disorders, therefore we also discussed the relation between SAD and depression. Participants were 343 undergraduate students who completed a set of question naires consisting of the Social Avoidance and Distress Scale (SADS), the Short Fear of Negative Evaluation scale (SFNE), the Negative Rumination Scale (NRS), and the Self-rating Depression Scale (SDS). The results showed a moderate positive correlation between SADS, SFNE, NRS, and SDS (p<.01). After controlling for SDS, there remained a significant correlation between SADS, SFNE, and NRS (p<.01). Results of path analysis indicated the validity of the negative rumination model of social anxiety (GFI=.999, AGFI=.989, RMSEA=.001). Furthermore, all path coefficients were significant (p<.001), suggesting that negative rumination enhanced social anxiety and depression. These findings implicated the effect of negative rumination in reinforcing SAD. The possibility of interventions to prevent negative rumination in SAD treatment was discussed.
著者
久保木 富房 野村 忍 熊野 宏昭 末松 弘行
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.107-113, 1996-02-01
被引用文献数
1 1

摂食障害における死亡率の検討は現在までにいくつか報告されている。欧米および本邦でのそれらの報告では1〜10%とあり, 多数例による報告では4%とほぼ一致している。当科の23年間の外来患者中の摂食障害患者は724名である。これら全例についてその予後を調べ, どれほどの患者がどのような状況, 状態で死亡しているのかを調べてみた。当科の外来カルテ, 台帳およびデータベース, さらに担当医への質問紙などより資料を集め, 724名中データの得られた434名について該当者のリストをつくり, それぞれ担当医に直接依頼して, 症例サマリーと以下の項目についての回答を得た。全症例の中で死亡を確認できた症例数は9例あり, 全例女性で, 死亡時の年齢は17〜48歳(平均28歳)であった。発症時年端は14〜21歳(平均17歳)で, ANのみの症例は4例, AN+BNの症例が5例であった。また, 死亡時の体重は17〜66kg(平均35kg)で, 肝障害が確認されていた症例が6例, 浮腫が4例.低K血症が5例, 低血糖発作が4例であった。そして, 死因としては衰弱死3例, 飛び降り自殺2例.服薬自殺未遂後の心不全1例, 突然死2例, 癌死1例であった。さらに心理社会的な面では, やせ願望(肥満恐怖)は全例に強く認められ, 自殺企図4例, 人格障害4例, 母子共生6例, 強迫性5例, Hy傾向3例であった。また, 治療者側の反省点としては以下のことが挙げられた。(1)AN3例(No.1,3,9)→衰弱死この3例に共通する治療者側の反省点は, 治療関係の確立と治療動機づけができなかったことである。No.9の症例においては父親の単身赴任によって母親の負担が増加し, 母親が治療者へ陰性の転移を強く示し, 治療上の問題点とされていた。(2)AN+BN2例(No.5.8)→飛び降り自殺不安定な精神状態への対応が十分でなかったこと, 慢性的なうつ状態に対する評価と対策がとれなかったこと, さらに自殺の予知と対応が不十分であったこと。(3)AN+BN(No.6), AN(No.7)→突然死身体状況の的確な評価ができなかったこと。(4)AN+BN(No.4)→薬物自殺→心不全bulimia症例とのつき合い方, 治療者と患者との距甦の問題, identity crisisや大学への不適応などの問題が十分扱えなかったこと。(5)AN+BN(No.2)→癌死引きこもり(schizoid)への対応が不十分であったこと。両親への対応が十分でなかったこと。摂食障害における死亡は最悪のことであり, 今後さらなる検討が必要と考える。また, 長期化しsocial abilityの低下している症例も多く, Garfinkelらは25%と報告しているが, これらの症例についての今後の検討も重要な問題と考えている。
著者
野村 忍 中尾 睦宏
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

今回の研究目的は、本態性高血圧症に対する血圧バイオフィードバック(以下BFと略す)の降圧効果を検討することである。また、ストレス負荷テストによる昇圧反応をどのくらい抑制できるかの検討を行った。本態性高血圧症を対象にした血圧BFの治療効果の検討では、30人の外来患者(男性10名、女性20名)を無作為に2群に分けて比較試験を行った。A群ではBF治療を4回行い、B群ではコントロール期間は血圧自己モニターのみ行いその後BF治療を4回施行した。その結果、A群では治療期間前後の比較で平均して収縮期血圧は17mmHg、拡張期血圧は8mmHgの有意な低下が認められた。B群では、コントロール期間では血圧の変化は認められず、治療期間前後で平均して収縮期血圧は20mmHg,拡張期血圧は9mmHgの有意な低下が認められた。また、治療期間前後に施行したストレス負荷テスト(暗算負荷法)による昇圧反応は、A,B両群において顕著な抑制効果が認められた。本態性高血圧症を対象にした暗算負荷法(以下MATと略す)と鏡映描写試験(以下MDTと略す)の循環動態ならびに内分泌的反応性の比較試験を10人の外来患者に施行した。MATおよびMDTにより平均収縮期血圧はそれぞれ37.8mmHg,41.0mmHg、平均拡張期血圧はそれそれ17.5mmHg,21.2mmHg、平均心拍数はそれそれ17.1拍/分,12.5拍/分と顕著な増加が認められた。血中ノルエピネフリン濃度は、MATおよびMDTで同様な反応性を示したが、エピネフリンはMATでより増加する傾向が認められた。その結果、MATはより交感神経-副腎髄質系を賦活するメンタルテストであることが示唆された。