著者
野澤 豊一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.417-439, 2010-12-31

本稿では、米国黒人ペンテコステ派キリスト教会で実践される儀礼的トランスダンス「シャウト」の成立過程を例に、トランスダンス出現のメカニズムとその表現上の特性について考察する。従来の研究では、トランスダンスは文化的に構築された表象として理解されてきたが、この接近法はペンテコステ派の実践の核心にある「非決定性」を正しく把握するのに重大な余地を残している。「非決定性」とは、礼拝におけるシャウトの即興性やペンテコステ的な信仰を支える受動性を包含する概念である。この非決定的なプロセスを可視化するために、本稿では、シャウト出現時の即興的な信者間のやりとり(及びそこで成立する関係性)に注目し、シャウトが出現するメカニズムを「相互行為の構造」として把握する。それによりシャウトは、<没入者(シャウトする者)>とそれに対する<関与者>との間の、「<没入-関与>関係」から出現すると記述することが可能になる。こうした用語が有意味なのは、シャウトの正しい成立にあって、シャウトが踊られること自体よりも、<没入-関与>関係の十全な成立の方が有意な場面があるからである。これらの場面からは、対面相互行為における個人の没入行為が、他者との相互的な自発性によってはじめて達成されるという事実が確認できる。これが相互行為の相におけるシャウトの「非決定性」の内実であり、これには対面相互行為に本来的な「ユーフォリア」が伴う。シャウトという身体的表現は宗教的には「聖霊の働き」と解釈しうる。だが、その出現過程を関係性から記述することは、シャウトが、他者との関係性の切り結びを希求する、「表情性」豊かな身ぶりでもあるという発見につながる。相互行為としての非決定性と身ぶり表現としての表情性という2つの特性は、シャウトという超越体験と日常性とのつながりを視野に入れることによって、はじめて意義深いものとして発見されるといえる。
著者
富山大学人文学部文化人類学研究室 藤本 武 野澤 豊一
出版者
富山大学人文学部文化人類学研究室
雑誌
地域社会の文化人類学的調査
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-198, 2020-02-28

はじめに(藤本武/野澤 豊一)地域概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第1部 文化資源の創造 1.小矢部に根付くメルヘン : 建築から市の象徴へ(吉田彩夏)・・・・・・・・・・15 2.小矢部に息づく武将・木曽 義仲 (福原悠平)・・・・・・・・・・・・・・・・ 47 3.小矢部ブランドの現在 (小倉和裕)・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・64 第2部 人が輝ける居場所 4.小矢部市における障害者支援 : 障害者が働くということ(林美奈)・・・・・・・81 5.末友における農業の変遷と新たな女性の役割 (高島加奈子)・・・・・・・・・・112 第3部 地域と社会に貢献する活動 6.北蟹谷地区で活動する団体 : 伝承部会に焦点を当てて(安達史弥)・・・・・・・130 7.小神集落における地域行事の移り変わり(高社華)・・・・・・・・・・・・・・149 8.変化する民間伝承の語り : 宮島で語られる民間伝承と現在の語り(飯井清隆)・・171
著者
富山大学人文学部文化人類学研究室 藤本 武 野澤 豊一
出版者
富山大学人文学部文化人類学研究室
雑誌
地域社会の文化人類学的調査
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-279, 2018-03-15

2月28日発行の印刷版に立山町インターカレッジコンペティションの資料を追加。また余白ページ削除により一部ページを変更。
著者
富山大学人文学部文化人類学研究室 野澤 豊一 藤本 武
出版者
富山大学人文学部文化人類学研究室
雑誌
地域社会の文化人類学的調査
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-167, 2014-03-20

はじめに(野澤豊一、藤本武) ......................................................................... 11. 氷見市の概要 ............................................................................................... 32. 比美町商店街の継続性と観光事業との関連(西里紗) ............................. 213. 氷見市の「ご当地食」とそれに関わる地域の人々(村田葉月) ............... 384. 氷見の定置網漁とその漁師(檀野祐作) .................................................. 505. 氷見の八艘張網漁――後継者問題を中心に(中村春貴) ............................ 626. 山間地帯での農業形態について――一刎地区の事例から(木村綾) .......... 727. 氷見祇園祭(趙力鳴) ............................................................................... 828. 新保の秋祭りにおける獅子舞――今後への「継承」(南谷綾香) ............... 949. 一刎地区における獅子舞とその継承問題(上野成穂) ........................... 10910. 祭礼の運営と継承――一刎八幡宮奉拝三十三年式年大祭の事例より(横江彩香)....................................................................................................................... 12411. 氷見市の伝統的婚礼儀礼の変化と衰退――一刎地区を調査地として(伊藤綾奈)....................................................................................................................... 13712. 氷見市街地における子どもの遊びの変遷(山口佑介) ......................... 14713. 子どもの遊びの変化――氷見市一刎を調査地として(伊藤愛由美) ...... 159
著者
富山大学人文学部文化人類学研究室 野澤 豊一 藤本 武
出版者
富山大学人文学部文化人類学研究室
雑誌
地域社会の文化人類学的調査
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-175, 2017-03-03

はじめに(野澤豊一/藤本武) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3第1章 地域概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5第2章 おわらを継承する人々(石谷奏、北原実季、山田光紗) ・・・・・・・・・・・13第3章 越中八尾曳山祭に見る伝統の多様性について(大場麻実) ・・・・・・・・・・55第4章 八尾旧町の伝統行事と町の子どもたち(関春花) ・・・・・・・・・・・・・・71第5章 八尾の伝統的家屋と町並み保存(加藤夏奈) ・・・・・・・・・・・・・・・・87第6章 観光に携わる町民――ボランティアガイド「越中風の案内びと」の活動から(岡田かおり) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103第7章 城ヶ山公園と桜守(古場田典子)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・125第8章 八尾の山村における人々と自然の関わり(松澤曜)・・・・・・・・・・・・・143第9章 八尾町中山間地における移動販売事業について(谷口竜星)・・・・・・・・・159