著者
下山 進 野田 裕子 勝原 伸也
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.93-100, 1998-02-05 (Released:2010-02-16)
参考文献数
17
被引用文献数
3 7

日本古来の浮世絵は,最も広く世界に行き渡った絵画形式であり,西洋文化に対する芸術的衝撃,特に多くの印象派の画家たちに与えた影響は“ジャポニズム”と言われる文化現象として知られている.1823年ごろに刷られた葛飾北斎の浮世絵“四日市”の赤色の着色料(R1~R3)と黄色の着色料(Y1~Y3),そして1821年ごろに刷られた五渡亭国貞の浮世絵“木母寺暮雪”の青色の着色料(B1~B3)について,それらの非破壊分析を光ファイバーを用いる三次元スペクトル法によって実施した.色刷り標準試料のそれぞれと三次元蛍光スペクトルの等高線図を比較した結果,赤色の着色料はベニバナの花弁から得られた染料“サフラワー”,黄色の着色料はウコンの根から得られた染料“ターメリック”,そして青色の染料は藍の葉から得られた染料“インジゴチン”であることが明らかとなった.
著者
下山 進 野田 裕子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1015-1021, 2000-12-05
被引用文献数
3 4

セラミックスで密封した粒状のアメリシウム(^<241>Am)を樹脂で環状(厚さ3 mm×外径φ18 mm×内径φ12 mm)に成形した放射線強度1.85 MBqの線源(AET Technology, 重量: 0.5 g, 検出器側船遮蔽材を含め26 g), この線源から放出される放射線を大気中において試料に照射し, 試料から発生する二次X線を線源の中央(環状線源の中央空洞部)から検出する小型電子冷却式シリコン半導体X線検出器(Amptek XR 100 CR, 重量: 142 g), 検出器と接続するプリアンプ(Amptek PX2CR, 重量: 1387 g), そして小型マルチチャンネル波高分析器(Amptek PMCA 8000A, 重量: 240 g)を用いて, 総重量約1800 gの簡易携帯型蛍光X線分析装置を組み立てた. そして, この装置を用いて1682年に奉納された絵馬「羅生門図」の青の彩色に使用された着色料について非破壊分析を行った. その結果, この着色料はCa, Fe, Co, Ni, Asを主成分元素として含む"スマルト"であることが明らかとなった.
著者
下山 進 野田 裕子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1015-1021, 2000 (Released:2001-06-29)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

セラミックスで密封した粒状のアメリシウム(241Am)を樹脂で環状(厚さ3mm×外径φ18mm×内径φ12mm)に成形した放射線強度1.85MBqの線源(AET Technology,重量:0.5g,検出器側鉛遮蔽材を含め26g),この線源から放出される放射線を大気中において試料に照射し,試料から発生する二次X線を線源の中央(環状線源の中央空洞部)から検出する小型電子冷却式シリコン半導体X線検出器(Amptek XR-100CR,重量:142g),検出器と接続するプリアンプ(Amptek PX2CR,重量:1387g),そして小型マルチチャンネル波高分析器(Amptek PMCA 8000A,重量:240g)を用いて,総重量約1800gの簡易携帯型蛍光X線分析装置を組み立てた。そして,この装置を用いて1682年に奉納された絵馬「羅生門図」の青の彩色に使用された着色料について非破壊分析を行った。その結果,この着色料はCa,Fe,Co,Ni,Asを主成分元素として含む“スマルト”であることが明らかとなった。
著者
野田 裕子
出版者
一宮女子短期大学
雑誌
一宮女子短期大学紀要 (ISSN:1349936X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.11-17, 2005-12-21

血栓症の予防に期待できる線溶酵素と抗トロンビン活性物質について、世界の発酵食品のなかでも身近に食されているものを取り上げ、その存在の有無を検討した。日本の発酵食品ではうるか(渋うるか)やこのわた、酒盗、各種納豆、もろみ、麦味噌に顕著な線溶活性がみられた。さらに奈良漬や飛騨こうじ味噌、三年味噌における線溶活性も高かった。また抗トロンビン活性は三州八丁粒味噌と麦味噌が高かった。アジアの発酵食品では特にコチュジャン、甜面醤、プアール茶で抗トロンビン活性が顕著にみられた。しかしヨーロッパの発酵食品ではゴルゴンゾーラの線溶活性とパルミジャーノレジャーノの抗トロンビン活性がみられたのみで、特に各種ヨーグルトでは線溶活性も抗トロンピン活性も全くみられなかった。
著者
野田 裕子 田中 道治
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.37-43, 1993-11-30 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1

本研究の目的は、統合保育場面での介入者による場面設定、健常幼児をtutor精神遅滞幼児をtuteeとして関わらせる意図的介入が両者の相互作用にどのような影響を与えるか。又、その結果からどのような働きかけが望ましいかを検討するものである。被験児は、統合保育を行っている保育所に在籍する精神遅滞幼児と健常幼児のペア8組であり、前自由場面、設定場面、介入場面、後自由場面の4場面で実験を行った。以下の結果が得られた。(1)場面を設定し、意図的介入を行うと相互作用の総数は増加する。(2)相互作用の長さは場面設定、意図的介入によっても変化はみられない。(3)意図的介入により、両者の関係が対等に近づいた。(4)場面設定、意図的介入によって相互作用の内容は否定的なものから肯定的なものへ変化した。結果より、健常幼児をtutor精神遅滞幼児をtuteeとして関わらせる意図的介入は効果的であると示唆された。
著者
下山 進 野田 裕子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.243-250, 1992-06-05
被引用文献数
21 8

本研究では, 古代染織遺物の染色に使用された染料を非破壊的に同定することを目的として, 植物や動物から得られた染料で染色した染織物に直接励起光を照射し, 三次元蛍光スペクトルを測定して, その蛍光強度の等高線図を比較検討した.この結果, 等高線図上に年輪状の輪で描かれた蛍光スペクトルビークの位置で染織物に染着している染料固有の蛍光特性が励起波長と蛍光波長によって特定できることを確認し, 染織物を破壊することなく染着している染料をそれぞれ識別できることが明らかとなった.
著者
下山 進 野田 裕子 勝原 伸也
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.93-100, 1998-02-05
被引用文献数
7 7

日本古来の浮世絵は, 最も広く世界に行き渡った絵画形式であり, 西洋文化に対する芸術的衝撃, 特に多くの印象派の画家たちに与えた影響は"ジャポニズム"と言われる文化現象として知られている. 1823年ごろに刷られた葛飾北斎の浮世絵"四日市"の赤色の着色料(R1〜R3)と黄色の着色料(Y1〜Y3), そして1821年ごろに刷られた五渡亭国貞の浮世絵"木母寺暮雪"の青色の着色料(B1〜B3)について, それらの非破壊分析を光ファイバーを用いる三次元スペクトル法によって実施した. 色刷り標準試料のそれぞれと三次元蛍光スペクトルの等高線図を比較した結果, 赤色の着色料はベニバナの花弁から得られた染料"サフラワー", 黄色の着色料はウコンの根から得られた染料"ターメリック", そして青色の染料は藍の葉から得られた染料"インジゴチン"であることが明らかとなった.
著者
野田 裕子 田中 道治
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.37-43, 1993-11-30
被引用文献数
5

本研究の目的は、統合保育場面での介入者による場面設定、健常幼児をtutor精神遅滞幼児をtuteeとして関わらせる意図的介入が両者の相互作用にどのような影響を与えるか。又、その結果からどのような働きかけが望ましいかを検討するものである。被験児は、統合保育を行っている保育所に在籍する精神遅滞幼児と健常幼児のペア8組であり、前自由場面、設定場面、介入場面、後自由場面の4場面で実験を行った。以下の結果が得られた。(1)場面を設定し、意図的介入を行うと相互作用の総数は増加する。(2)相互作用の長さは場面設定、意図的介入によっても変化はみられない。(3)意図的介入により、両者の関係が対等に近づいた。(4)場面設定、意図的介入によって相互作用の内容は否定的なものから肯定的なものへ変化した。結果より、健常幼児をtutor精神遅滞幼児をtuteeとして関わらせる意図的介入は効果的であると示唆された。