著者
野﨑 園子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.699-704, 2016 (Released:2016-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
6

服薬困難の実態と薬剤性嚥下障害について、調査研究をもとに述べた。服薬困難は普通食を食べている軽症者でも、服薬が自立しているものでも見られた。事前の嚥下スクリーニングテストで服薬困難を予測できる可能性が示唆された。口腔内・咽頭内残薬はどの剤形でもみられ、ほとんどの患者は残薬を自覚しておらず、不顕性誤嚥につながる可能性がある。これらの残薬については薬剤の付着性が関与が疑われた。薬剤性嚥下障害の原因は、非定型抗精神病薬の常用量のリスペリドンが高頻度でみられた。服薬開始後嚥下障害出現まではほとんどが1週間以内、また、服薬中止から嚥下障害回復までは2週間以内であった。
著者
福岡 達之 杉田 由美 川阪 尚子 吉川 直子 野﨑 園子 寺山 修史 福田 能啓 道免 和久
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.174-182, 2011-08-31 (Released:2020-06-25)
参考文献数
35

【目的】本研究の目的は,舌骨上筋群に対する筋力強化の方法として,呼気抵抗負荷トレーニング(expiratory muscle strength training: EMST)の有用性を検討することである.【対象と方法】対象は,健常成人15 名(男性10 名,女性5 名,平均年齢29.3±4.6 歳)とした.方法は,EMST とMendelsohn 手技,頭部挙上を行ったときの舌骨上筋群筋活動を表面筋電図で測定した.EMST は,最大呼気口腔内圧(PEmax)の25% と75% の負荷圧に設定し,最大吸気位から強制呼気を行う動作とした.各トレーニング動作で得られた筋電信号について,1 秒間のroot mean square(RMS)とWavelet 周波数解析を用いてmean power frequency(MPF)を算出し,それぞれトレーニング間で比較検討した.【結果】舌骨上筋群筋活動(% RMS)は,EMST の75% PEmax が最も高く(208.5±106.0%),25% PEmax(155.4±74.3%),Mendelsohn 手技(88.8±57.4%),頭部挙上(100% として正規化)と比較し有意差を認めた.また,Wavelet 周波数解析から,EMST 時には他のトレーニング動作と比較し,高周波帯領域に持続する高いパワー成分が観察された.MPF は,EMST の75% PEmax が最も高く(127.8±20.7 Hz),25% PEmax(107.6±20.1 Hz),頭部挙上(100.4±19.3 Hz)と比較して有意差を認めた.【結論】EMST は,舌骨上筋群の運動単位動員とtype Ⅱ線維の活動量を増加させる可能性があり,筋力強化として有効なトレーニング方法になることが示唆された.