著者
津田 彰 堀内 聡 金 ウィ淵 鄧 科 森田 徹 岡村 尚昌 矢島 潤平 尾形 尚子 河野 愛生 田中 芳幸 外川 あゆみ 津田 茂子 Shigeko Tsuda
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.77-88, 2010-03-31

ストレスへの対応といった受身的な対策を越えて,よりよく生きるための健康開発につながる効果的なストレスマネジメント行動変容を促すプログラムが求められている。とくに対費用効果を考えた場合には,集団戦略として,大勢の人たちを対象にしながら個々人の行動変容に対する準備性に応じたアプローチが必要となる。これらのニーズに応える行動科学的視点に立つ理論と実践モデルとして,行動変容ステージ別に行動変容のためのやり方(変容のプロセスと称する)を教示し,動機づけを高める意思決定のバランスに働きかけながら,行動変容に対する自己効力感を高め,行動変容のステージを上げていく多理論統合モデル(transtheoretical model, TTM)にもとづくアプローチが注目されている。筆者らは,TTM にもとづくインターネットによるストレスマネジメント行動変容の介入研究において,対象者が自ら効果的なストレスマネジメント行動に取り組むためのセルフヘルプ型のワークブックを作成し,その有効性を検証している。本稿では,効果的なストレスマネジメント行動を促すために,これらのワークブックをより有効に活用するための実践ガイドについて解説を加える。
著者
堀内 聡 津田 彰 金 ウィ淵 洪 光植 プロチャスカ ジャニス・M
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.12-20, 2010

本研究は2つの目的を達成するために行われた。第1の目的は、Pro-Change's self-efficacy measure for stress management behavior(PSSM)韓国語版を開発することであった。第2の目的は、韓国の大学生において、ストレスマネジメント行動の変容ステージとセルフエフィカシーとの関連性を検討することであった。本研究ではストレスマネジメント行動を定期的にリラクセーションする、運動する、他者と話をする、あるいは社会的活動に参加するなど、ストレスを緩和するための活動を1日に少なくとも20分間行うことと定義した。参加者は228名の男子大学生と517名の女子大学生である。参加者はストレスマネジメント行動の変容ステージとセルフエフィカシー、および抑うつに関連する質問紙に回答した。セルフエフィカシーに関しては2週間後にも回答した。因子分析の結果、9項目からなり、受容可能な信頼性を有するPSSM韓国語版が開発された。自己効力感は抑うつと負の相関を示したことから、PSSM韓国版の妥当性が一部支持された。ストレスマネジメント行動のセルフエフィカシーは、その他の変容ステージに属する者と比較して、維持期に属する者で高く、多理論統合モデルをストレスマネジメント行動に適用できる可能性が支持された。