著者
伏島 あゆみ 津田 彰 田中 芳幸
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.21016, (Released:2022-03-31)
参考文献数
46

Reports have indicated that character strength, which includes positive personality traits, improves well-being. However, less is known about how one’s character strength is linked to suicidal risk, and whether well-being mediates this relationship. This cross-sectional study examined the possibility that well-being has a mediating effect on the relationship between one’s character strength and suicidal tendencies. University students (N = 305, average age = 19.7) answered the questionnaire. The data was analyzed using mediation analysis. Students’ knowledge of their character strength and using that strength each had different direct effects on suicidal tendencies. Knowing one’s character strength directly reduced suicidal tendencies, which were also mediated by a high level of well-being. Meanwhile, using one’s character strength had negative effects toward suicidal tendencies. These results indicate that students’ knowledge of their own character strength might play a protective role in suicidal tendencies even if well-being did not improve, and also suggest that one’s use of character strength might increase suicidal tendencies if it were not used appropriately according to the types of strengths and various situational factors.
著者
田中 芳幸 津田 彰 神宮 純江
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
no.5, pp.115-123, 2006

近年のメンタルヘルスの分野では,精神障害がなくwell-beingも高いという二次元から精神的な健康が捉えられている。このような精神的健康の二次元モデルに基づき,ポジティブな側面とネガティブな側面を測定できる尺度として,筆者らは山田ら(1994)によって初めて開発されたいきいき度尺度を修正し,改訂-いきいき度尺度(PLS-R)を開発した。18歳から83歳までという幅広い年齢層の対象で検討したところ,PLS-Rの構造に性差は認められなかった。本研究では,20代から60代の年代別に信頼性と妥当性を検証することを目的とした。また,「いきいき度」の年代差についても検討した。福岡市健康づくりセンター等にて,「いきいき度」に関連する質問に回答した20歳代から60歳代の者の内,欠損値があるものを除外した6473名(男性1221名,女性5252名)の回答を分析対象とした。心理統計学的解析には改訂-いきいき度尺度の14項目を利用した。年代別に因子分析を行ったところ,20歳代から50歳代において,因子負荷量や因子寄与率に若干の差はあるものの,同一構造の4因子解が得られた。60歳代において3因子解となったため,4因子に固定して同様の分析を行ったところ,他の年代と同じ構造が示された。20歳代のチャレンジ精神においてα=0.66である以外は,全ての年代の下位尺度でα=0.70程度からα=0.84と高値を示し,十分な内的一貫信頼性が確認された。尺度得点の年代差は,いずれも高年齢ほど得点が良好という結果であった。結果より,改訂-いきいき度尺度は,20歳代から60歳代の範囲で,年齢に関わらず信頼性と妥当性を有していることが検証され,少なくとも本研究により検証された年齢範囲においては,性別や年齢に関わらず,改訂-いきいき度尺度が適用可能であることが明らかとなった。
著者
田中 芳幸 外川 あゆみ 津田 彰 Yoshiyuki Tanaka
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.128-149, 2011-03-31

本論文では,主観的ウェルビーイングによる健康や長寿への影響性に関する欧米での研究成果を概観し,ポジティブ健康心理学の研究にとっての今後の課題について論考した。各研究の方法論や対象に基づき,(1)長期にわたる縦断的研究,(2)主観的ウェルビーイングと生理指標との日常での関連性についての研究,(3)実験的な感情操作に伴う生理指標の研究,(4)動物を対象とした研究,(5)自然発生的な出来事と健康関連要因に関する実験的-フィールド研究,(6)主観的ウェルビーイングの変化を健康関連要因によって評価した介入研究,(7)患者の痛みやQOL と主観的ウェルビーイングとの関連性の研究の7 種類の研究に分類して整理した。その結果,様々な種類の研究成果より,主観的ウェルビーイングやそれを構成するポジティブ感情などが,健康や長寿にとって有益であることや,免疫系や心臓血管系の機能と関連することは明らかであった。ただし,もともと健康であった人々においてこの関連性は明確であるが,ガンなどの疾患を有する人々を対象とした場合には様々に錯綜した報告があり関連が明確であるとは言い難い。また,過度に活性化したポジティブ感情や躁的なポジティブ感情は健康にとって有害であることを示唆した研究も存在した。効果量や効果の変動性,統計的な調整に基づく妥当性などの問題が考えられた。以上の欧米研究のレビューを踏まえて,本邦の心理学研究,特にポジティブ健康心理学研究の今後の展開にあたって,主観的ウェルビーイングの(1)定義の再考と(2)測定尺度の検討,および,(3)主観的ウェルビーイングと健康や長寿との因果関係の方向性の検討を行うことの必要性を考察した。
著者
津田 茂子 田中 芳幸 津田 彰
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.81-92, 2004
被引用文献数
2

妊娠後期 (妊娠36週以降) の妊婦79名 (平均年齢30.0歳、19~41歳) を対象として、妊娠後期の心理的健康感と出産後のマタニティブルーズとの関連性を調べるとともに、マタニティブルーズに及ぼす産科的要因 (母体合併症の有無、出産経験、新生児の状態、分娩時の異常) と世帯形態、年齢などの影響を検討した。妊婦の心理的健康感は自記式のWHO Subjective Well-being Inventory (SUBI)、すなわち「心の健康度」と「心の疲労度の少なさ」の2つの下位尺度から構成された質問紙によって測定し、マタニティブルーズはSteinのマタニティブルーズ自己質問表によって出産後5日目に評価した。<br>SUBIの標準化された得点区分に従えば、対象者の妊娠後期の心理的健康感は、心の健康度と心の疲労度の少なさ、いずれも高く自覚されていた。臨床上、マタニティブルーズと判定されるマタニティブルーズ高得点者 (8点以上) は16.2%であり、先行研究と比較すると、若干低い発症率であった。出産後5日目のマタニティブルーズ症状は妊娠後期の心理的健康感と有意な負の相関を示した。すなわち、妊娠後期の心の健康度が高いほど、マタニティブルーズの全症状と4つの下位症状 (情動易変性、抑うつ感、精神運動制止、自律神経系症状) は軽度であり、同様に、心の疲労度が少ないほどこれらマタニティブルーズの症状も少なかった。また、マタニティブルーズ症状と関連する産科的要因として、年齢の高さ、母体合併症、新生児の異常などが示された。さらに、心の健康度と心の疲労度の少なさの関数として、マタニティブルーズ症状得点は有意もしくは有意傾向をもって減少した。重回帰分析の結果は、出産後5日目のマタニティブルーズを予測するSUBI下位尺度項目として、身体的不健康感の少なさ、近親者の支え、社会的な支え、達成感、人生に対する失望感の少なさなどが、説明変数として有意であることを明らかにした。さらに、ロジスティック回帰分析の結果より、臨床的なマタニティブルーズの発症を予測する要因は妊娠後期の心の疲労度の少なさであることが示された。<br>これらの知見より、出産後のマタニティブルーズの影響を軽減するための方策として、妊娠後期の心理的健康感、とりわけ心の疲労度を少なくすることが重要であること、さらに、管理する必要のある産科的要因として母体合併症の有無や新生児の異常が明示され、介入の方向性が明確になった。
著者
津田 彰 堀内 聡 金 ウィ淵 鄧 科 森田 徹 岡村 尚昌 矢島 潤平 尾形 尚子 河野 愛生 田中 芳幸 外川 あゆみ 津田 茂子 Shigeko Tsuda
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.77-88, 2010-03-31

ストレスへの対応といった受身的な対策を越えて,よりよく生きるための健康開発につながる効果的なストレスマネジメント行動変容を促すプログラムが求められている。とくに対費用効果を考えた場合には,集団戦略として,大勢の人たちを対象にしながら個々人の行動変容に対する準備性に応じたアプローチが必要となる。これらのニーズに応える行動科学的視点に立つ理論と実践モデルとして,行動変容ステージ別に行動変容のためのやり方(変容のプロセスと称する)を教示し,動機づけを高める意思決定のバランスに働きかけながら,行動変容に対する自己効力感を高め,行動変容のステージを上げていく多理論統合モデル(transtheoretical model, TTM)にもとづくアプローチが注目されている。筆者らは,TTM にもとづくインターネットによるストレスマネジメント行動変容の介入研究において,対象者が自ら効果的なストレスマネジメント行動に取り組むためのセルフヘルプ型のワークブックを作成し,その有効性を検証している。本稿では,効果的なストレスマネジメント行動を促すために,これらのワークブックをより有効に活用するための実践ガイドについて解説を加える。
著者
村田 伸 津田 彰 稲谷 ふみ枝 田中 芳幸
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.88-95, 2005-04-20
被引用文献数
24 29

本研究は, 在宅障害高齢者110名(平均年齢83.1歳, 男性17名, 女性93名)を対象に, 転倒歴と注意力及び身体機能を評価し, 転倒に影響を及ぼす要因を検討した。転倒経験群28名, ニアミス(転倒しそうになった)体験群33名, 非経験群49名の3群間の比較において, 転倒経験群とニアミス体験群のTrail making test-Part A(TMT-A)は, 非経験群より有意に小さく, 身体機能の自己認識の逸脱は有意に大きかった。また, 転倒経験群の最大一歩幅, 歩行速度, 足把持力, 足関節背屈角度の4項目は, ニアミス体験群と非経験群より有意に低値を示した。さらに, 転倒歴の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析の結果, 注意の指標としたTMT-A, 足把持力, 足関節背屈角度のオッズ比が有意であった。本結果は, 立位姿勢保持が不安定な在宅障害高齢者では, 身体機能の低下, とくに足把持力や足部可動性などの足部機能の低下が転倒の危険因子であることのみならず, 注意力の低下も転倒を引き起こす重大な要因であることを明らかにした。
著者
田中 芳幸 外川 あゆみ
出版者
東京福祉大学短期大学部
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

いきいき度尺度を大学生に適用できることを実証するとともに、この尺度により測定される主観的ウェルビーイングが高ければ、ストレス刺激が多くてもストレス反応には繋がらないという主観的ウェルビーイングのストレス緩衝モデルをデータに基づき提示した。さらに、このモデルに基づいた実験的研究により、個人の主観的ウェルビーイングが急性ストレッサーに対処する為の準備状態を整えたり、反応後の回復を促進したりといった役割を有することを示唆した。