著者
金 ウンジュ 栗原 治 大町 康
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.249-255, 2014-05-15 (Released:2014-05-29)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

バイオアッセイ法は,被検者から採取された生体試料(主に排泄物)中に含まれる放射性核種を定量する方法であり,その結果は内部被ばく線量評価を行う上での基礎データとなる。バイオアッセイ法の利点は,体外計測法では測定が困難なα線やβ線のみを放出する核種に適用できることであり,プルトニウムを初めとしたアクチノイド核種に対しても十分な検出感度を有している。しかしながら,試料の放射線計測を行う前に必要となる前処理,化学分離等の工程に時間を要するため,緊急被ばく医療の観点からは迅速化が求められる。本稿では,アクチノイド核種を対象としたバイオアッセイ法の概要を中心に解説する。
著者
谷 幸太郎 栗原 治 金 ウンジュ 酒井 一夫 明石 真言
出版者
国立研究開発法人放射線医学総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

原子力事故後の緊急作業等によって高線量の放射線被ばくを受けた場合には、個人データに基づく線量評価が必要となる。本研究では、甲状腺へ局所的な内部被ばくをもたらすI-131を対象として、人体を再現したボクセルファントムを使用した数値計算により、甲状腺前面の組織厚を考慮した甲状腺残留量の評価を可能とした。また、安定ヨウ素剤服用時の体内動態解析コードを開発し、個人の摂取シナリオを考慮した甲状腺線量の評価を可能とした。これらの手法について、福島第一原子力発電所事故への適用例を示し、有用性を確認した。本研究の成果は、I-131による高線量内部被ばく時の線量再構築に役立つものと期待される。