著者
谷 幸太郎 栗原 治 小佐古 敏荘
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.461-469, 2014-10-15 (Released:2014-10-29)
参考文献数
34

体内に摂取した放射性ヨウ素の甲状腺への摂取率は,安定ヨウ素剤の投与によって抑制することができる。本論文では,放射性ヨウ素摂取時及び安定ヨウ素剤投与時の体内動態モデルを使用し,日本人を対象とした131Iの急性吸入摂取に対する甲状腺残留率を解析した。安定ヨウ素剤投与時の解析にあたっては,安定ヨウ素を過剰に摂取した場合に一時的に甲状腺ホルモンの合成が阻害されるWolff-Chaikoff効果の影響を新たに考慮した。解析した安定ヨウ素剤投与の有無に対する甲状腺残留率を比較することにより,131I甲状腺摂取率抑制効果を評価した。その結果,抑制効果は2日前の投与で50%,1日前から直前までの投与で80%以上であった。一方,131Iを摂取した後に遅れて安定ヨウ素剤を投与した場合には,抑制効果は急激に減少し,12時間後で20%,1日後で7%未満であった。
著者
谷 幸太郎
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

公衆を対象とした内部被ばく評価手法及び核燃料再処理施設を対象とした内部被ばく評価手法の高度化を目的として、安定ヨウ素剤服用時及びキレート剤投与時の体内動態解析をそれぞれ実施した。体内に摂取した放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みは、安定ヨウ素剤の服用によつて抑制できることが知られている。本研究では、放射性ヨウ素摂取時及び安定ヨウ素剤服用時の体内動態モデルを使用し、日本人を対象とした^<131>Iの急性吸入摂取に対する甲状腺残留率を解析した。安定ヨウ素剤服用時に解析にあたつては、安定ヨウ素を過剰に摂取した場合に一時的に甲状腺ホルモンの合成が阻害されるWolff-Chaikoff効果の影響を新たに考慮した。解析した安定ヨウ素剤服用の有無に対する甲状腺残留率を比較することにより、^<131>Iの甲状腺取り込み抑制効果を評価した。その結果、抑制効果は2日前の服用で約50%、1日前から直前までの服用で80%以上であった。一方、^<131>Iを摂取した後に遅れて安定ヨウ素剤を服用した場合には抑制効果は急激に減少し、12時間後で約20%、1日後で7%未満であった。核燃料再処理施設で取り扱うプルトニウムを体内に摂取した場合には、キレート剤によって尿中への排泄を促進することができる。本研究では、代表的なキレート剤であるDTPAを投与した場合の体内動態モデルを解析し、過去のプルトニウムによる体内汚染事例で測定された個人モニタリングデータとの比較・検証を実施した。また、Ca-DTPAによる治療を実施した場合の骨格及び肝臓へのプルトニウムの沈着抑制効果を評価した。その結果、硝酸プルトニウムの吸入摂取後の抑制効果は、10-50日までの治療によつて約25-30%、300日までの治療は約60%であった。
著者
谷 幸太郎 栗原 治 金 ウンジュ 酒井 一夫 明石 真言
出版者
国立研究開発法人放射線医学総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

原子力事故後の緊急作業等によって高線量の放射線被ばくを受けた場合には、個人データに基づく線量評価が必要となる。本研究では、甲状腺へ局所的な内部被ばくをもたらすI-131を対象として、人体を再現したボクセルファントムを使用した数値計算により、甲状腺前面の組織厚を考慮した甲状腺残留量の評価を可能とした。また、安定ヨウ素剤服用時の体内動態解析コードを開発し、個人の摂取シナリオを考慮した甲状腺線量の評価を可能とした。これらの手法について、福島第一原子力発電所事故への適用例を示し、有用性を確認した。本研究の成果は、I-131による高線量内部被ばく時の線量再構築に役立つものと期待される。
著者
横山 利夫 胡内 健一 新谷 幸太郎
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.88-96, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
15

本稿では、最初に日本における自動運転技術を搭載したモビリティの実用化状況を紹介する。続いてRoAD to the L4プロジェクトの目標、推進体制、個別テーマ1からテーマ4の具体的な取組内容を紹介する。また、これらの取り組みから得られた知見や経験を基に、さまざまな地域で取り組みが実施されているAD MaaS社会実装事業(Automated Driving Mobility as a Service)の支援に関する取組状況を紹介する。国外の取組状況に関する調査結果を紹介した後、今後の計画について説明する。