著者
金城 拓人 粕山 達也 中川 和昌 猪股 伸晃 岡田 みゆき 中澤 理恵 坂本 雅昭 渋澤 克利 渡辺 英輔
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.74, 2009

【目的】<BR>我々は,群馬県高等学校体育連盟バスケットボール専門部との連携により,高校バスケットボール競技に対してメディカルサポート活動(以下,サポート)を行った.我々は,以前より高校野球競技,中学・高校サッカー競技にサポートを行っているが,初めて女子の競技も対象となった.今回,その内容をまとめ,傷害傾向を把握し,今後の方向性を検討した.<BR>【方法】<BR>サポートは,全国高等学校選抜優勝大会群馬県予選会(以下,選抜大会)の準々決勝以降(出場16校,14試合),群馬県高等学校バスケットボール新人大会(以下,新人大会)の決勝リーグ(出場8校,12試合)に行った.スタッフは,理学療法士をボランティアとして参加を募り,会場に4名以上配置した.<BR> サポート内容は,理学療法ブースを開設し,再発予防や疼痛等の症状軽減目的の処置,応急処置を行った.また,コート内にもスタッフが待機した.<BR>【結果】<BR>参加したスタッフは,選抜大会延べ8名,新人大会延べ10名であった.<BR>サポートを依頼した学校数は,選抜大会5校,新人大会6校であった.<BR>依頼件数は総件数52件のうち,選抜大会21件(男子11件,女子10件),新人大会31件(男子19件,女子12件)であった.<BR>対応部位は総件数52件のうち,足関節19件,膝関節14件,手指10件であった.傷害内容は捻挫20件,靭帯損傷9件,突き指9件であった.男女の内訳は,男子の総件数30件のうち,足関節14件,手指10件であった.女子は総件数22件のうち,膝関節13件,足関節5件であった.傷害内容は男子が捻挫15件,突き指7件であった.女子は靭帯損傷7件,捻挫5件であった.応急処置依頼は9件で,うち2件(全て女子)は膝関節靭帯損傷の疑いにて,医療機関への受診につなげた.<BR>対応内容は,テーピング34件,ストレッチング4件,止血処置3件,アイシング3件であった.<BR>【考察】<BR>初めての試みだったが,依頼件数は大会毎に増えていることから,選手や指導者の潜在的なニーズは存在し,今後も増加することが考えられた.<BR>対応部位は下肢関節に多く,ジャンプやカッティング動作の多い競技特性を示した結果となった.対応内容は足関節捻挫に対する,再発予防や症状軽減目的の依頼が大半を占め,不安感や疼痛を抱えている選手が多いことが感じられた.今後のサポートでは,単にテーピング等の技術提供にとどまらず,エクササイズやケアの方法等を積極的に指導することも必要と考えられた.また女子においては,膝関節への対応が多く,靭帯損傷を疑う傷害も高頻度で発生しており,発生予防策の検討も今後の課題と考える.
著者
猪股 伸晃 坂本 雅昭 山路 雄彦 中澤 理恵 宮澤 一 金城 拓人 中川 和昌 富澤 渉
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.C0313-C0313, 2006

【はじめに】<BR>我々は,群馬県高校野球連盟(以下:県高野連)からの依頼により,平成14年度の第84回全国高校野球選手権群馬県大会(以下:大会)からメディカルサポート(以下:サポート)を開始し4大会を経験した.本研究の目的は,平成17年度に開催された第87回大会サポート結果を整理し,現サポート体制についての課題を明らかにすることである.<BR>【対象及び方法】<BR> 対象は第87回大会の3回戦以降に進出したチームであった.サポートを行うため,群馬県スポーツリハビリテーション研究会を通じ,本県内の理学療法士(以下:PT)にボランティア参加を募った.サポートの内容は,3回戦以降の試合前および試合中のアクシデントに対するテーピング・応急処置,4回戦以降の投手及び野手別のクーリングダウン(軽運動・ストレッチング)であった.投手の連投を考慮し,投球数,肩および肘関節の痛みの有無,疲労感等に関するチェック表を使用し状態を把握した.対応方法については内容を統一するため,事前に講習会を行ったが,加えて新規参加者に対してはアスレティックリハビリテーションの基礎に関する講習会への参加を促した.準決勝・決勝戦を除き試合会場は2球場であり,各球場に投手担当2名,野手担当4名以上が常駐するようにスタッフを配置した.また,大会終了後にPTスタッフによる反省会を実施し,現サポート体制の問題点について議論した.<BR>【結果及び考察】<BR>クーリングダウンは投手に対しては延べ29校41名に,野手に対しては延べ28校に実施した.投手の中では下肢の柔軟性が低下している選手が多く認められ,日頃のトレーニングあるいは大会中のストレッチングを含めたコンディショニングの重要性が示唆された.また,肩痛や肘痛は各々10%程度に認められた.応急処置対応は延べ54件(32名;選手14名,審判1名,観戦者17名)であり,デッドボール等による打撲への対応の他に,応援席観戦者の熱中症に対するクーリングや安静指導が多かった(14件).サポートに参加したスタッフは延べ74名(実数57名)であり,投手担当は15名,野手担当は41名であった.前年度までのサポート経験者が32名,新規参加者が25名であった.反省会ではPTの質的な部分,すなわち技術だけでなく現場での態度やサポート活動に対する姿勢に関して,スタッフ間に差があることについての問題提起がなされ,単に知識・技術レベルを向上するだけでなく,意識の均一化も重要であることがわかった.また,来年度からは1回戦からのサポートが決定されており,より効率的な新規参加者の育成システムの確立が必要と考えられた.<BR><BR>