著者
粕山 達也 坂本 雅昭 中澤 理恵 川越 誠 加藤 和夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.741-745, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1

[目的」本研究は足関節背屈可動性評価として使用されている4種類の測定方法について,その標準値の検討と測定方法間の相関分析を行った。[対象]対象は健常若年男性42名84脚とした。[方法]足関節背屈角度(膝伸展位・膝屈曲位),下腿傾斜角度,母指壁距離の4種類の足関節背屈可動性評価を行った。[結果]全ての測定方法で正規性が認められ,健常若年男性の足関節背屈可動性における基礎資料としての有用性が示された。また,4種類の足関節背屈可動性の測定方法について,いずれの組み合わせにおいても有意な相関が認められた(r=0.65-0.86,p<0.01)。[結語]臨床現場に応じて測定方法の選択が可能であると考えられた。
著者
眞鍋 克博 長島 大介 粕山 達也
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.756-762, 2018-08-15

はじめに 一部の子供には日常生活や学校生活において,無器用さやぎこちなさ,あるいは落ち着きがなくじっとしていられないなどが原因となり,さまざまな活動や参加が阻害されていることが散見される.学校教育現場において,そうした子供たちへは主に教育職員が対応しているものの,対応についての知識や経験が十分ではない場合が多く,学校での教育のなかで大きな課題となっている1). 現在,これらの阻害要因は発達性協調運動障害(developmental coodination disorder:DCD)として1つの概念疾患と捉えられるようになった.DCDでの障害の概念について,岡2)は歴史的に考察し,これをminimal brain dysfunction(MBD)やclumsiness,clumsy child syndrome,disorder of attention and motor perceptuomotor dysfunction,motor learning difficicultyと同様の意義としてこれまで使用されていることを指摘した.DCDはその初期において,療育や教育の分野で注目され,その後,医学からのアプローチとして捉えられるようになった経緯を明らかにしている.さらにDCDの症状は,正常と異常の境界線を引くのが実際上不可能であることから,日常生活上での障害の状態を前提として,それが起因するものとしてDCDがあることを述べている.また,DCDは米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM-5)において,神経発達症群/神経発達障害群のなかの運動症群/運動障害群の基準の1つに位置づけられている3).さらに,疾病および関連保健問題の国際統計分類(International Classification of Diseases:ICD-10)では,(F80-F89)心理的発達の障害における(F82)運動機能の特異的発達障害・協調運動障害に分類されている4). 本稿では,まず発達性協調運動障害について,診断基準を通してその特徴について述べ,臨床上の特徴と理学療法との関連について述べる.次にDCDとの合併が多くみられる自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD),学習障害(learning disabilities:LD),注意欠陥多動性障害(attention deficit/hyperactivity disorder:ADHD)の3つの障害の概要と理学療法評価,さらに理学療法の実際について述べることとする.
著者
金城 拓人 粕山 達也 中川 和昌 猪股 伸晃 岡田 みゆき 中澤 理恵 坂本 雅昭 渋澤 克利 渡辺 英輔
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.74, 2009

【目的】<BR>我々は,群馬県高等学校体育連盟バスケットボール専門部との連携により,高校バスケットボール競技に対してメディカルサポート活動(以下,サポート)を行った.我々は,以前より高校野球競技,中学・高校サッカー競技にサポートを行っているが,初めて女子の競技も対象となった.今回,その内容をまとめ,傷害傾向を把握し,今後の方向性を検討した.<BR>【方法】<BR>サポートは,全国高等学校選抜優勝大会群馬県予選会(以下,選抜大会)の準々決勝以降(出場16校,14試合),群馬県高等学校バスケットボール新人大会(以下,新人大会)の決勝リーグ(出場8校,12試合)に行った.スタッフは,理学療法士をボランティアとして参加を募り,会場に4名以上配置した.<BR> サポート内容は,理学療法ブースを開設し,再発予防や疼痛等の症状軽減目的の処置,応急処置を行った.また,コート内にもスタッフが待機した.<BR>【結果】<BR>参加したスタッフは,選抜大会延べ8名,新人大会延べ10名であった.<BR>サポートを依頼した学校数は,選抜大会5校,新人大会6校であった.<BR>依頼件数は総件数52件のうち,選抜大会21件(男子11件,女子10件),新人大会31件(男子19件,女子12件)であった.<BR>対応部位は総件数52件のうち,足関節19件,膝関節14件,手指10件であった.傷害内容は捻挫20件,靭帯損傷9件,突き指9件であった.男女の内訳は,男子の総件数30件のうち,足関節14件,手指10件であった.女子は総件数22件のうち,膝関節13件,足関節5件であった.傷害内容は男子が捻挫15件,突き指7件であった.女子は靭帯損傷7件,捻挫5件であった.応急処置依頼は9件で,うち2件(全て女子)は膝関節靭帯損傷の疑いにて,医療機関への受診につなげた.<BR>対応内容は,テーピング34件,ストレッチング4件,止血処置3件,アイシング3件であった.<BR>【考察】<BR>初めての試みだったが,依頼件数は大会毎に増えていることから,選手や指導者の潜在的なニーズは存在し,今後も増加することが考えられた.<BR>対応部位は下肢関節に多く,ジャンプやカッティング動作の多い競技特性を示した結果となった.対応内容は足関節捻挫に対する,再発予防や症状軽減目的の依頼が大半を占め,不安感や疼痛を抱えている選手が多いことが感じられた.今後のサポートでは,単にテーピング等の技術提供にとどまらず,エクササイズやケアの方法等を積極的に指導することも必要と考えられた.また女子においては,膝関節への対応が多く,靭帯損傷を疑う傷害も高頻度で発生しており,発生予防策の検討も今後の課題と考える.