著者
嵯峨山 茂樹 小野 順貴 西本 卓也 金子 仁美
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

数理モデルに基づいて音楽信号および音楽情報の解析・認識・加工・生成の多角的な研究を行い、多大な成果を生み出した。この中には、多重音の解析のために多重音モデルのパラメータ推定(HTC)に基づく方法、同じくスペクトログラムの非負値行列分解(NMF)に基づく方法、調波音と打楽器音の信号分離(HPSS)、スペクトログラムからの位相成分の復元に基づく楽曲の速度変換やピッチ変換などの高品質な信号加工、ステレオ音楽信号からのパート分離、人声に含まれる揺らぎ成分に基づく歌声の抽出と消去、音楽信号からの和声自動推定、楽曲を構成するリズムの自動学習と小節分割(RhythmMap)、それに基づく楽曲ジャンルやムードの自動分類、多声部音楽信号からのリズム構造推定と自動採譜、上位の音楽理論から下位の信号観測までを統合したDynamic Bayesian Net に基づく音楽モデルと自動採譜、楽譜データからの作曲家自動推定、確率場学習に基づく楽譜からの音楽的な自動演奏、テーマ模倣を含む自動対位法による自動作曲、歌詞の日本語韻律を利用した自動歌唱作曲、以上の研究を支える機能和声データベースの構築など、極めて広い範囲の研究成果を含む。これらは、ジャーナル論文、国際会議論文、解説論文、国内学会発表、自動作曲のwebサービス、メディアによる報道などにより社会に公表している。
著者
金子 仁美 川上 大輔 嵯峨山 茂樹
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.7, pp.1-8, 2010-05-20

我々は,楽曲の和声解析の記述仕様 ("KS notation") を策定し,機能和声解析を行ってデータを作成し,その統計解析を行った.和声推定は自動採譜や楽曲検索など多数の目的に有用で,その和声進行の確率モデルの作成と統計学習のために有用である.また,音楽学的な見地からは,和声学の規則や傾向などが計量的に検証でき,時代や作曲者や楽曲スタイルを和声学的に解明する基礎となろう.機能和声記述のために,和音,転回,借用和音,省略,変位,転調,付加音などの記述を可能とし,さらに楽譜なしで演奏が可能なように音価も表現した.また,人間とコンピュータ双方の可読性の両立させコンパクトに表現できるようにした.データ作成には,RWC 音楽データベース所収のクラシック曲 50 曲について,人手により機能和声解析してデータを作成した.そのデータを統計解析し,音楽的な知見から説明を試み,機能和声モデルが従来のモデルより工学的和声モデルとして優位であることを示す.We designed a new notation (called "KS notation") for harmony analysis, built a functional harmony analysis dataset and made statistical analyses on the data. Harmony (chord sequence) estimation is useful in many purposes including automatic music transcription and music information retrieval, while, from musicological viewpoint, harmony theory and rules are verified quantitatively using the data across periods, composers and styles may be investigated. For description of functional harmony analysis, the notation include chord, inversion, borrowed chord, omission, alteration, key modulation, additional notes, etc. and enables playing chords from the notation without the score by representing the note value. Readability was emphasized both for human and computer. The KS-notation dataset was built from 50 titles included in the RWC classical music database. New findings are discussed based on statistical analysis of the data and functional harmony model is shown to be advantageous over the conventional chord sequence model from the engineering point of view.
著者
金子 仁美 川上 大輔 嵯峨山 茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MUS-85, no.7, pp.1-8, 2010-05-20

我々は,楽曲の和声解析の記述仕様 (“KS notation”) を策定し,機能和声解析を行ってデータを作成し,その統計解析を行った.和声推定は自動採譜や楽曲検索など多数の目的に有用で,その和声進行の確率モデルの作成と統計学習のために有用である.また,音楽学的な見地からは,和声学の規則や傾向などが計量的に検証でき,時代や作曲者や楽曲スタイルを和声学的に解明する基礎となろう.機能和声記述のために,和音,転回,借用和音,省略,変位,転調,付加音などの記述を可能とし,さらに楽譜なしで演奏が可能なように音価も表現した.また,人間とコンピュータ双方の可読性の両立させコンパクトに表現できるようにした.データ作成には,RWC 音楽データベース所収のクラシック曲 50 曲について,人手により機能和声解析してデータを作成した.そのデータを統計解析し,音楽的な知見から説明を試み,機能和声モデルが従来のモデルより工学的和声モデルとして優位であることを示す.
著者
嵯峨山 茂樹 小野 順貴 西本 卓也 齋藤 大輔 堀 玄 中村 和幸 金子 仁美
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

統計的信号処理と音楽理論の数理モデルを融合して、音楽(および音響・音声)の信号処理と情報処理に多面的に取り組んだ。音声認識分野では音響処理と言語処理の融合がキー技術であったように、音楽においては信号処理と音楽理論の融合が必須である。具体的には、A: 数理モデルと統計学習を軸にした音楽信号の解析・変換・加工・分離・検出、B: 音楽理論の数理的定式化を軸にした音楽信号の和音認識・リズム解析・セグメンテーション・構造解析・ジャンル認識、C: 機械学習と最適化を軸にした自動演奏・自動作曲・自動伴奏・自動編曲などを研究・開発した。
著者
川上 大輔 金子 仁美 嵯峨山 茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MUS-84, no.6, pp.1-6, 2010-02-08

和声は西洋音楽の重要な要素であり、特に音楽音響信号からの和声推定や自動採譜などにおいては、精密な和声進行の統計的モデルが必要である。筆者らは、和声に関する研究推進のため、人手による和声ラベル作業の容易さと、コンピュータ可読性の両立を主眼にして、和声記述仕様を策定し、それに基づいて和声の18世紀から20世紀初頭までのクラシック音楽作品60曲に機能和声ラベルデータを付与した。その和声系列を統計解析し、音楽的な知見から説明を試みる。また、統計的和声モデルとしてN-gramモデルに関して、Nの値、スムージング法等を検討する。調や機能和声などを反映した詳細な和声進行のモデルは、従来の和声モデルよりperplexityを低くできることを示す。
著者
川上 大輔 金子 仁美 嵯峨山 茂樹
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-6, 2010-02-08
参考文献数
5
被引用文献数
2

和声は西洋音楽の重要な要素であり、特に音楽音響信号からの和声推定や自動採譜などにおいては、精密な和声進行の統計的モデルが必要である。筆者らは、和声に関する研究推進のため、人手による和声ラベル作業の容易さと、コンピュータ可読性の両立を主眼にして、和声記述仕様を策定し、それに基づいて和声の18世紀から20世紀初頭までのクラシック音楽作品60曲に機能和声ラベルデータを付与した。その和声系列を統計解析し、音楽的な知見から説明を試みる。また、統計的和声モデルとしてN-gramモデルに関して、Nの値、スムージング法等を検討する。調や機能和声などを反映した詳細な和声進行のモデルは、従来の和声モデルよりperplexityを低くできることを示す。Harmony is an important element of Western music, and a statistical model of precise harmony progression is especially necessary in harmony estimation and an automatic record in a musical note, etc. from the music acoustic signal. Authors settled on the harmony description specification with a main objective of the easiness of the harmony label work by people and coexisting of the computer readability for research promotion concerning harmony, and gave the function harmony label data to 60 classical music works from the 18th century of harmony to the 20th beginning of the century based on it. Harmony sequences is taking statistics analyzed, and the explanation is tried from musical knowledge. Moreover, the value N and the smoothing method of N-gram model, as a statistical harmony model, are examined. The model of detailed harmony progression that prepares and reflects key and function harmony etc. shows that perplexity can be lowered more than a past harmony model.