著者
引地 孝文 小坂 直敏 板倉 文忠
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.16(2000-MUS-039), pp.35-42, 2001-02-22

本研究では、笙の物理モデル構築を目的としている。フリーリード振動に関する文献で用いられた定式化を参考に星の物理モデルを構築し、時間領域シミュレーションを行う。また、人工吹鳴装置を用いて実際の楽器のリード振動、管内圧力、発振閾値圧を実測する。管長と発振閾値圧、管長と発音周波数、吹鳴圧と発音周波数等の関係について、実測値とシミュレーション結果を比較する。その結果、管長と閾値圧及び発音周波数について類似した傾向が見られた。吹鳴圧と発音周波数についてはやや異なる結果となった。また、電のリードは、クラリネットやオルガンのリードパイプとは異なり外向き発振をしているという結論が得られた。
著者
引地 孝文 小坂 直敏
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.68(1999-MUS-031), pp.19-26, 1999-08-07

我々の目的は、楽音や自然音、及びそれらの内挿/外挿を含む様々な音色を合成、操作できる技術を開発することである。この目的のため、本研究では物理モデルを用いた音色モーフィングを検討する。ここでは、異なる楽器音とその中間音色を合成できるモーフィング合成の考え方を述べる。この考え方を用いて物理モデルを利用しピアノ音とギター音を模擬し、これらの滑らかな音色変化、すなわち音色補間を検討する。その結果、モーフィングシステムにおける物理モデルの利用可能性が示された。
著者
田坂 直季 小坂 直敏
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.21, pp.1-5, 2012-08-02

音響信号に対する時間長の伸縮やピッチ変換は,通信や音楽応用などにおいて重要である.また,これらの処理に優れた方式には,時間領域での TD-PSOLA 方式と,周波数領域でのフェーズボコーダ方式がある.本稿では,われわれが新たに提案したフェーズボコーダ方式と,TD-PSOLA 方式について,時間伸縮,ピッチ変換を適用し,品質を比較して評価する実験を行い,その性能を評価した.その結果,いずれの方式も変換の度合いが大きくなると品質が劣化すること,時間伸縮ではフェーズボコーダの方が音質がいいことが確認できた.For time-scaling and pitch conversion of acoustic signal, TD-PSOLA in the time-domain and Phase-Vocoder in the frequency-domain are well known framework. We apply time-scaling and pitch conversion to newly proposed phase vocoder and TD-PSOLA, and run an evaluation test of sound quality for these two synthesis methods.
著者
小坂 直敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.95, no.534, pp.9-16, 1996-02-23
被引用文献数
14

Sinusoidal model(正弦波重畳モデル)に基づく音色の補間(モルフィング)アルゴリズムについて述べる。モルフィングは映像処理の分野で一般的な技術となっているが、近年、音合成の分野でも研究が活発になってきた。しかし、モルフィング自体の定義はあいまいで、研究者により問題設定が異なっていたり、明確なアルゴリズムとして記述されていないなど、まだ相互比較の段階ではない。本論文では、音におけるモルフィングの問題を紹介し、自動処理を前提にしたアルゴリズムについて、特に異なるメンバ数の二組の間で最適に対応する相手を見い出すアルゴリズムを中心にして詳細に述べる。また、定常楽音、および音声について、意図した補間音が得られたことを主観類似性評価試験により確認した。また、得られた合成音の品質評価結果についても報告する。
著者
伊東乾 榊原 健一 青木 涼子 小坂 直敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.19, pp.79-82, 2000-02-17

五線記譜法に由来する音高や音色などの概念は、作曲や聴取、分析に深い影響を及ぼしている。本稿では正弦波モデルによる音楽音声の新しい取り扱いを提案する。能楽の発声と記譜の事例に関して正弦波モデルを適用して考察し、合わせて観世榮夫氏の協力で行った研究制作「能オペラ『邯鄲』」にも触れる。The concepts of pitch and timbre, which have their origin in western classical music notation system, deeply ruled the music thinking of composition, listening and analysis. In this article we propose a new treatment of musical voice based on a sinusoidal model. Noh music theater, Japanese traditional opera, have proper charactaristics in its singing technique and notation system to be analysed with a sinusoidal model. We also report research = production "Quand-Temps" Noh-Opera after the concepts of M. Duchamp and J. Cage, which is a collaboration with Hideo KANZE, prominent Noh actor in KANZE style.
著者
小坂 直敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.94, no.167, pp.23-30, 1994-07-22
被引用文献数
1

この論文は、コンピュータ音楽研究の中の中心的課題の一つである音合成方式の枠組について主に解説したものである。ここで紹介している合成方式は、まず加算合成、phase vocoderを中心とした信号モデル、次に非線形変換式としてのFM合成、ウェーブシェーピング、さらに音源の物理モデルなどである。ここでは特に信号モデルを中心に、その基本式の紹介、およびその方式のねらいなどについて述べた。この他コンピュータ音楽システムなどについても簡単に紹介する。