著者
金田 哲 南谷 幸雄
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.25-31, 2013-07-30 (Released:2017-07-20)
参考文献数
25

農地や農地環境において効率的にミミズの調査を行うため,からし採取法のミミズ採取率及び採取時間を調査した.調査地は,火山灰土と非火山灰土の農地およびその周辺環境9地点を選定した.初夏,夏,秋に,それぞれの調査地で,まずからし採取法によりミミズを採取した.その後深さ30cmまで掘り取り,地中に残っているミミズを採取した.からし採取法により,平均で80%以上のミミズを採取できた.土壌型と体積含水率により,からし採取法のミミズ採取率が変化した.火山灰土より非火山灰土でミミズ採取率が低下し,体積含水率が25%以下では,ミミズ採取率が低下した.地表生息性ミミズは100%採取でき,地中生息性は78-98%採取できた.からし採取法では掘り取り法よりも採取時間を短縮でき,0.125m^2の表面積を調査する場合,24.4分時間を短縮できた.ミミズ種によりからし採取法のミミズ採取率が変化するものの,地表温度が15-25℃で湿潤な土壌条件であれば,からし採取法により低労力かつ短時間でミミズの採取が可能になると考えられた.本研究から土壌型を区別することで日本の農地環境において,からし採取法を用いた効率的なミミズ群集調査が十分適用できる事が明らかとなった.
著者
黒田 晃 畑中 博英 小谷 俊之 金田 哲郎
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.39-43, 2007

鉄道高架橋による日照阻害が,隣接する水田の水稲に及ぼす影響を検討した.調査地点の全天のうち高架橋や山,樹木等を除いた空の部分の比率(全天に占める空の比率,以下空の比率と記す)と日射量の日積算値との間には,夏至近くでは高架橋の南北両側ともに正の相関(南側r=0.378^*,北側r=0.746^<***>,^*は5%,^<***>は0.1%水準で有意)があり,8月には北側にのみ正の相関(r=0.668^<***>)があった.高架橋側端直下から高架橋の高さ(HT)に対する相対距離が2倍の地点(2.0HT地点)では,全天に占める空の比率の平均値は71.1%であった.全天に占める空の比率と水稲の収量には正の相関があり(南側r=0.463^*,北側r=0.734^<***>),2.0HT地点に対する減収率は,北側の1.0HT地点で8.1%,0.5HT地点で15.1%,南側ではそれぞれ4.2%,7.8%と試算された.収量構成要素では全天に占める空の比率の低下に伴い穂数が減少し,その影響は北側で大きかった.また登熟歩合も収量低下の要因となった.千粒重は,北側は南側に比べて低かった.