著者
小谷 俊之 黒田 晃
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.44-46, 2007-03-31 (Released:2017-02-13)
参考文献数
3

登熟期の高温条件においても乳白粒発生を軽減できる稲体栄養条件を検討するため,登熟初期から中期にかけて茎葉乾物重および葉色を調査し,乳白粒発生率との関係を解析した.その結果,登熟初期の稲体栄養状態と乳白粒発生率との関係は見られなかったが,登熟初期から中期にかけて稲体の栄養凋落や消耗が大きいと,乳白粒の発生増加を招くことが明らかになった.
著者
黒田 晃平 東 和生 村端 悠介 大﨑 智弘 柄 武志 伊藤 典彦 今川 智敬 岡本 芳晴
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.303-306, 2018-06-20 (Released:2018-07-20)
参考文献数
16

11歳のミニチュアダックスフントが全般発作を主訴に来院し,MRI検査で髄膜腫と診断された.抗がん剤等の治療を希望されなかったため,病変に対し温熱療法の1つであるラジオ波誘導温熱療法(オンコサーミア)を実施した.本症例は治療開始より1,065日で亡くなった.その間,てんかん様発作は認められたものの,一般状態は良好に維持されていた.今回の症例では,オンコサーミアによって長期間の生存が可能であった(33.1カ月).これは,手術及び放射線を併用した場合と同等の生存期間である.さらに,その期間は大きな副作用もなく,症例のQuality Of Lifeは良好に維持されていた.この結果から,オンコサーミアは犬の髄膜腫の進行を抑える効果がある可能性が示唆された.
著者
黒田 晃 畑中 博英 小谷 俊之 金田 哲郎
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.39-43, 2007

鉄道高架橋による日照阻害が,隣接する水田の水稲に及ぼす影響を検討した.調査地点の全天のうち高架橋や山,樹木等を除いた空の部分の比率(全天に占める空の比率,以下空の比率と記す)と日射量の日積算値との間には,夏至近くでは高架橋の南北両側ともに正の相関(南側r=0.378^*,北側r=0.746^<***>,^*は5%,^<***>は0.1%水準で有意)があり,8月には北側にのみ正の相関(r=0.668^<***>)があった.高架橋側端直下から高架橋の高さ(HT)に対する相対距離が2倍の地点(2.0HT地点)では,全天に占める空の比率の平均値は71.1%であった.全天に占める空の比率と水稲の収量には正の相関があり(南側r=0.463^*,北側r=0.734^<***>),2.0HT地点に対する減収率は,北側の1.0HT地点で8.1%,0.5HT地点で15.1%,南側ではそれぞれ4.2%,7.8%と試算された.収量構成要素では全天に占める空の比率の低下に伴い穂数が減少し,その影響は北側で大きかった.また登熟歩合も収量低下の要因となった.千粒重は,北側は南側に比べて低かった.
著者
中村 啓二 松本 範裕 黒田 晃 小牧 正子 野村 央文 大西 良祐 高瀬 裕章 松村 洋一 永畠 秀樹 橋本 良一 武田 康一 小林 大樹
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.7-10, 2010-03-31 (Released:2017-03-02)
参考文献数
1

「山田錦」並の酒造適性をもち,石川県で安定生産可能な早生品種「石川酒52号」を,「予236(五百万石/フクヒカリ)」を母本,「新潟酒28号(後の「一本〆」)」を父本とする交配組合せから育成した.出穂期および成熟期は,それぞれ「五百万石」とほぼ同じである.稈長は「山田錦」よりも20cm程度短く,収量性は「五百万石」並である.耐倒伏性は「五百万石」にやや優り,穂発芽性は「山田錦」の"やや易"に対して"中",脱粒性は「山田錦」の"易"に対して"難"である.玄米千粒重は「五百万石」並,心白発現率は「山田錦」より高い.試験醸造による酒造適性評価は「山田錦」並に高い.現在,「石川門」の愛称で流通している.
著者
三輪 章志 黒田 晃 織田 秀晴 高谷 友久 西成 勝好
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.32-39, 2002-01-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1 4

品種別米の食味を簡易に評価する方法として,精米の吸水率測定法の検討を行った.(1) 官能試験の評価が異なる9品種の精米を含水率調整したのち,7通りの浸漬時間(10, 20, 30, 40, 50, 60, 120分)で15℃の水に浸漬して吸水率を測定し,官能試験と比較したところ,官能試験の各項目との相関が最も高かったのは60分浸漬吸水率であった.(2) 60分浸漬吸水率は,3年間いずれの年でも官能試験の各項目との相関が0.1%水準で有意であり,9品種の被害・未熟粒を含んだ試料および整粒100%の試料の吸水率と官能試験各項目との相関においても,整粒歩合に関わらず高い相関を示した.(3) 90%と70%精米をそれぞれ6通りの浸漬時間で吸水試験を行った吸水曲線を比較すると,90%精米で認められる10分浸漬時の品種による吸水率の差が70%精米では認められなかった.この結果より短時間浸漬した品種別吸水率の違いは,90%精米の外側の層(70~90%)に含まれる成分及び組織構造に影響されていると示唆された.(4) 米の理化学特性(タンパク質含量,Mg/K・N,アミロース含量,粗脂肪含量,アミログラフのブレークダウン値)の60分浸漬吸水率への影響を検討したところ,アミロース含量が少ない品種ほど高い60分浸漬吸水率を示す傾向が認められた.以上のことから,60分浸漬吸水率は,品種ごとの吸水特性を明確・安定的に測定でき,米飯の食味評価法として利用可能な方法である.
著者
吉田 恭子 三輪 章志 黒田 晃 梅田 清彰
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.51-54, 2007

著者らは,有色素米玄米を加熱するとポップコーン状に爆裂することを見い出した.そこで,有色素米が爆裂を起こす加熱温度,玄米水分,品種,年次間差について検討した.その結果,爆裂に最適な加熱温度は190℃で,玄米水分による爆裂への影響は認められないことがわかった.品種間差では,糯品種の爆裂が大きい傾向にあり,中でも有色素米の爆裂率が高いことが明らかになった.また,玄米の断面を観察したところ,爆裂し易い品種の断面は,胚乳の中心部と周辺部で明暗差が認められ,周辺部の組織が密なことが爆裂の条件となっていることが示唆された.