- 著者
 
          - 
             
             小川 泰弘
             
             釜谷 聡史
             
             マフスット ムフタル
             
             稲垣 康善
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人 言語処理学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 自然言語処理 (ISSN:13407619)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.11, no.5, pp.39-61, 2004-10-10 (Released:2011-03-01)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 18
 
          
          
          - 被引用文献数
 
          - 
             
             
             1
             
             
          
        
 
        
        
        機械翻訳に対する要求の高まりに伴い, 日本語や英語, 韓国語といった言語の翻訳に関する研究が進み, 実用的なシステムが構築されつつある. その一方で, そうした研究があまり進んでいない言語が存在する. こうした言語においては, 翻訳の要である対訳辞書の整備も遅れている場合が多い. 一般に対訳辞書の構築には高いコストが必要であり, 機械翻訳システムを実現する上での障害となっている. しかし, 人間が翻訳作業をする場合, 対訳辞書に記載がない単語を別の表現に言い換えて辞書を引くことにより, この問題に対処する場合がある. 本研究ではこの手法を模倣し, 未登録語を登録語に言い換えることにより対訳辞書を拡充することを提案する. 本論文では, 対訳辞書の拡充に必要な単語の言い換え処理を収集段階と選抜段階の二つに分割し, 前者において語義文に基づく手法を, 後者において類似度に基づく手法をそれぞれ適用した. また, 類似度に基づく手法では, シソーラスにおける概念問の距離に加え, 単語を構成する漢字の語義を利用した. これによって, 語法や概念が近く意味的にも等価な言い換えを獲得できた. さらに, 獲得した言い換えを翻訳システムで翻訳して日本語一ウイグル語対訳辞書への追加を試みたところ, 未登録語300語のうち, その68.3%に対して利用可能な対訳が得られた.