著者
橋本 是浩 土田 秀雄 赤澤 寿一 新井 文子 乾 東雄 加藤 章三 坂本 宏和 下出 心 疋田 直樹 山本 景一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.61-80, 2005-09-30

本研究は,数学学習での「文字」の習熟の実態について,中学生・高校生・大学生を対象として,予備調査を行った。予備調査の調査結果の部分的な分析から中学生・高校生の文字に対する未成熟なイメージの実態を明らかにするとともに,それらの結果から 仮説(I):生徒は,文字の表す「数」を固定的に捉えている 仮説(II):生徒は,文字のイメージを自然数的に捉えているの2つの仮説が導出できたことを報告する。
著者
中西 一弘 覚道 知津子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.223-238, 1992-02

幼児期の子どもが選択する絵本は,どのような絵本であろうか。それは大人の選択する絵本と一致しているであろうか。このことを明らかにする目的で,異なるタイプの2冊の物語絵本を取り上げ,比較研究を行った。取り上げた絵本は,「うさこちゃんのたんじょうび」(福音館1982年)と「ノンタンのたんじょうび」(偕成社1980年)である。幼稚園児(計165名)を対象として,絵本に対する好みの実態調査を行った。子ども達が選んだ絵本は,識者が推薦し,一般的にも高い評価を得ている前者の絵本ではなく,後者の絵本が圧倒的な支持を得ていることがわかった。幼児に支持されたのは1子どもの興味を引くと共に理解しやすい絵の描き方,2子どもの言語水準にみあったことば表現3絵と文が効果的に適合して豊かな物語世界を構築していること4子どもの共感を呼ぶ主人公像や絵本主題を後者の絵本が具備していることが原因であろうと判断した。識者の推薦する絵本と子どもが選択する絵本とは,大きなズレがあることが判明した。A comparative study two different types of illustrated story books was conducted,with the objective of clarifying whether or not picture books chosen by young children would be the same as those chosen by adults:the books used in this study"Usakochan's Birthday"(published by Fukuinkan,1982)and"Nontan"s Birthday'(published by Kaiseisha,1980).This investigation of actual preferences for books was carried out using kindergarten pupils(a total of 165 children).Our investigation revealed that the picture book,"Nontan's Birthday"was the overwhelmingly favorite among these children,who preferred in to"Usakochan's Birthday",a picture book which has been highly appraised and recommended by well-informed adults including critics and experts on juvenile literature.We feel that"Nontan's Birthday"received the children's support for the following four reasons.1 The style of its drawing could be easily understood by children and generally attracted their interest.2 Its linguisticexpression matches the children's own language level.3 The illustrations conform effectively to the text,and together constitute a rich"story world".4 this picture book contains images of heroes and themes,which can arouse the sympathy of children.The results of this study indicate that there is a great difference between the type of picture book selected by children and the type of picture book recommended by critics and experts juvenile literature.
著者
山村 慎 吉野 秀幸
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.27-43, 2005-02-21

J. L.マーセルは,音楽は感情と深い関係があると述べている。日本の教育課程における音楽科の目標が豊かな情操を養う点にあることからみても,このマーセルの考えは非常に興味深いものである。一方,マーセルはまた音楽における別の視点,つまりその社会性および道徳性についても言及している。マーセルによるこのような音楽の捉え方は, J. C.スマッツの唱えるホーリズムの考え方に相通じる面があるように思われる。なぜなら,感情とは他者および自己自身との社会的,道徳的つながりの中で育まれると言えるからである。そこで,本論文は,音楽教育が感情の教育に有益なものであることを,マーセルの論および音楽美学の考えに基づいて明らかにする。そして同時に,音楽教育が他者とのかかわりを体験する場となり得ることを,マーセルの論とホーリズムにおける「全体性」の概念を統合することによって明らかにする。
著者
大島 昇 北野 洋子 形埜 まり江 河野 健三 福嶋 美津子 山本 晃 藤田 裕司
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.213-223, 2005-09-30
被引用文献数
1

特殊教育から特別支援教育への転換が迫られている折から,大阪教育大学附属養護学校における個別の教育支援の実状を1事例に即して紹介した。事例は知的障害及び場面緘黙症と診断された女子生徒で,高等部入学後3年間の取り組みの経過を,それに連携的にかかわったクラス担任,進路支援担当者,プレイセラピー担当者,養護教諭,精神科校医らの記録に基づいて要約する、とともに,場面緘黙症の生徒への教育支援の在り方について若干の考察を加えた。
著者
加藤 好博
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.77-84, 1990-09

平成元年3月に発表された教員免許法の改正で,数学および理科の教員免許状取得に必要な専門教育科目においてコンピュータの活用が強調された。本学理学科では,昭和60年度,パーソナルコンピュータが教育現場へ急速に普及しつつある情勢を考慮して,至急に適切な対処をすべく「理学科情報教育検討委員会」が発足し,昭和61年度から理学科および第二部の学生に,パソコンによる情報教育を実施して多大の成果をあげ現在に至っている。今回の免許法の改正は,われわれの情報教育に対する取り組みが至当であったことを示すものである。これを機会に,その内容をさらに充実させるため今までの実状を振り返り,同時に大きく改編された本学の新しい体制下における今後の情報教育のあり方について提言する。In this paper a Fundamental Teaching Method of Information Science for the School Teacher Training Course in Science and the Night-Time Course of Elementary School Teacher Training is descrived,which has been carried out since 1986.From the experiences during the past few years,a lot of usefull information about the teaching method of information science has been obtained,on the basis of which effective approaches to teaching methods of information science in the fufure are discussed.
著者
中西 一弘
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.29-42, 1970

ベザール著『文学の方法』については、その全体の構成、とくに教材の組織化と指導法の大綱を第1報で述べた。第2報では、読むことの学習指導を主にとりあげ、ベザールの「方法」を具体的にみていくことにする。「文学の方法」における読むことの指導は、「分析的索引」の「読む技術」の項目によってその構造が端的に示されている。読む技術 I.多読 1.一冊の書物または一章・一節の研究 2.作者の研究 3.文学史の研究 II.短いテキストの解釈 1.授業の前に 2.授業中に この多読と精読との2部構成がベザールの指導法の基本であるが,思想(イデー)の研究には、「I.多読」が有益であり、表現の学習には「II.短いテキストの解釈」(精読)が必須とみている。「書くことを学ぶ最良の方法は、もっぱら思想(イデー)に意を注ぐことである。そのために、もし絶対に二つの異なった方法のうち一つを選ばねばならないとするならば、私は、数行を詳しく学習するよりも、おおよその理解を求める長い分量の読みの方により大きな信頼を置くだろう。幸いなことに、この苛酷な二者択一をわれわれに迫るものはいない。最近の訓令(1909)が、前者の読みを加担しているようにみえるが、後者の読み方学習をもまた同様に勧めているのである。そして、訓令はこの二つの方法が相互に補い合うのがよいと認めている。しかしながら,訓令はつぎのことを付け加えている。短いテキストの解釈学習という方法それのみが、正確な表現への意識を諸君にもたらす、と。『選択することと正確に述べること』、この二つこそ、作品解釈に関して考えうるかぎりの忠告のすべてを含んでいる、とも訓令は述べている。」しかし、この2部構成の有機的活用が著者の最も苦心した点であろう。ベザールはどのような方法によって、二者の結合をはかったのか。つぎの4項目が考えられる。○学習計画の設定とその合理化○学級文庫の整備充実○ノート(ルーズ・リーフによるカード化)の作製と整理○課題作文の執筆 これらの4方法による「多読」と「精読」の読むことの学習指導を,『文学の方法』第2部芸術における理性の勝利-17世紀の古典精神-を中心とし、なかんずく、悲劇作家ラシーヌの学習に焦点を合わせて述べていくことにする。Méthode d'observation de Bezard consiste à apprendre la manière de prendre des notes. Exemple des notes analysant une tragédie, Andromaque de Racine, sous la forme de titre et compte rendu de classe qui nous indiquent comment l'auteur dirige l'étude d'un livre ou d'un chapitre.
著者
柳本 朋子 中本 敦浩 福山 志穂
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.89-99, 2002-09

現在の数学教育は, 新学習指導要領による内容の削減, 数学嫌いなどのほか, 学校数学を取り巻くさまざまの観点から, その方向性の検討を迫られているといえる。これからの社会を生きていく子どもにとってどのような数学の力が必要になるのか, まさに教育内容の抜本的な再編成を検討する必要がある。筆者らは, これからの数学教育の内容として, 形骸化した基礎・基本とそれにのった解法を習得するより, むしろ, 与えられた数学的対象から自分の力で数学的性質や構造を感知・抽出し, 個々の問題を論理的に解決する力が必要であると考える。そのための教材として, グラフ理論の導入を検討している。ここでは, 小学生を対象とした教材化・教育実践の試みをとおしてその可能性を考察する。Mathematics educational system in Japan is currently facting problems such as the reduction of contents in the new curriculum; and the negative attitude exhibited by students towards mathematics. One way to solve these problem is to think about the kind of mathematical abilities needed in the society we now live in, thus, there is a need to change the mathematics curriculum dramatically. We have been considering introducing Graph Theory as one of the teaching materials that will help enhance the pupil's mathematical thinking and will make them realize that "thinking"is interesting. An experimental teaching on graph theory was conducted in elementary school. This paper presents the result and considerations in introducing the subject.
著者
宮前 智一 細川 太郎 土谷 友利 前原 充 西岡 賢一 兵井 純子 鈴木 康文
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.21-32, 2004-09-30
被引用文献数
2

力学に関する学生実験やこども達への演示教材としてパチンコの玉を転がす滑走台を製作した。長さ2mのカーテンレールをベニヤ板に打ちつけたものである。」三の速さ(Vm>2m/s)は, 玉がレール上の特定の場所を通過するときに発する電気信号の時間間隔を記録することによって測定した。レールの先端に発射台を取り付け, そこから飛んだ玉の飛距離を測定した。レールの途中にもう一つの玉を置き, 玉どうしの衝突についても演示や測定を行った。これらの測定で求めた玉の運動エネルギーを力学的エネルギー保存の法則に照らして比較考察した。また衝突における運動量についても考察した。これらの考察によって, "慎重に測定した結果からは, 従来の物理教材で無視されがちな効果が見える" ことが例示できた。この教材は, 用い方を選ぶことで, 大学生, 高校生, 中学生, 小学生それぞれに力学現象への興味と有意義な理解を与えるものである。
著者
岩崎 由紀夫 山田 芳明
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.135-148, 2000-08
被引用文献数
1

近年, 図画工作科・美術科においてコンピュータを活用した教材の開発が盛んに行われている。コンピュータを用いた教材の実施の分析や傾向についての考察も試みてきたが, 子どもたちの造形表現の発達過程を無視したり, スキルを超えたりしたような教材も多々見受けられる。そこで本稿では, 子どもたちの造形表現の発達を踏まえた図画工作科におけるコンピュータ教材の開発やコンピュータの活用法を探ることにより, 造形表現の発達とコンピュータの有効的な活用法を追究してみることにする。かつて, シルバーマンは『教室の危機』で, オープン・スクールの教育形式は「教師が, 時間の枠組みにではなく, 空間に構成され高度に組織化された環境をつくりだすことから生じてくる。そして教師は, その環境が子どもの興味, 活動, 必要に応じて変わるように処置していくのである。」と述べた。これからの学校のあるべき姿として, 個別化・個性化教育を推進する一方策として, 子どもの造形表現の発達と一人一人の興味・関心に対応するコンピュータ教材の活用の関係を明らかにしたい。We would like to the way of making use of it which is the effective target of the development of the molding expression and the use forthe computer subject in the arts and crafts course and a computer based on the development of the children's molding expression.
著者
松山 雅子 松村 吉祐
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-21, 2005-09-30

グリム童話の『赤頭巾』は,多分に教訓的な物語である。その価値観は,高校生の価値観の深層に刷り込まれている。高校生がこの既知のテクストを再読することは,自己の価値観を見つめ直すことにつながる。グリム童話の『赤頭巾』を中心教材とし,ペロー童話と,ポール=ドラ・リュ発表の口承民話とを比較読みのテクストとした。指導過程の大枠は,再読,再話,再読の三つの課題で構成した。学習者の再話には,高校生の価値観や現実認識が現れてきていた。口承民話は,学習者に刺激を与え,価値観を揺さぶり,グリム童話の『赤頭巾』を解釈し直す契機となった。その際,整合性のある解釈をするために,論理的な思考活動が展開されていた。
著者
萩原 武士 中山 明子 岸下 裕之 中山 大嘉俊
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.111-115, 2000-08
被引用文献数
1

児童の"能動的な学び"をみるための前段階として, 第5学年の児童を対象に, 理科の自由研究の実態について検討した。その結果, 教師の支援・援助がない状態で, 理科の自由研究をした児童は, 全体の約17%であった。さらに, 自由研究をした児童の内で, 自発的にした児童は約7割であった。この結果は, 6年生を対象にした調査結果と比べると, いずれも若干高い傾向にあった。また, 自由研究をした児童は, 自己評価も肯定傾向にあることが示された。これは, 6年生でも同様の傾向[9]がみられたが, 5年生の場合, 「がんばった」という項目が高いことが分かった。To obtain an information on the pupils' active learning attitude the responses for the inquiries concerning the pupils' free-hand assignments of the science lesson of the summer vacation in fifth grade of the elementary schools have been examined, so far. From the analysis of the inquiries almost all pupils more than 90 percents of total examinees of 170 pupils, without teachers' supports or encouragements, did not show marked interest in accomplishment of their free-hand assignments of science lessons. It has been that only six percents of total pupils have been able to accomplish volantarily their free hand assignments. Pupils' characteristics for active learning attitude were revealed that pupils had volantarily accomplished their free-hand assignments have shown affirmative responses to impose self evaluation in science lessons on themselves. It is also confirmed that this affirmative response of the fifth grade pupils is similar to the previous results obtained for the sixth grade pupils. The marked responses in the present case have been found in their attitude of "tough it out".
著者
上田 学 橋本 孝之
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.133-143, 1989-08

市販のソフトウェアの1つであるグラフィック・ツールを用いて,「情報基礎」の授業を試みた。指導時間は6時間とし,グラフィックスの製作課題は「歴史上の人物」とした。その結果,生徒は短時間で,完成度の高い作品を製作した。また,生徒の授業に対する興味・関心についてアンケート調査をした結果,生徒は「1 マウスでのグラフィックスの入力に難しさを感じながらも,授業に高い興味・関心を示し,積極的に参加していること」および「2 課題を仕上げながら,課題そのものの知識を増やしていること」が分かった。これらの諸結果から,グラフィック・ツールを用いて授業を展開した場合でも,第1報,第2報で述べたプログラミング学習の場合と同様に,学習意欲の高揚,課題解決学習,自己教育力の育成に効果があることが示唆され,コンピュータ・リテラシー教育の観点からも望ましく,「情報基礎」教育の1方法として非常に有効であることが明らかになった。The authors tried to have pupils use the computer graphic-tool,one of the application softwares,as a method of teaching Basic Information Science.We gave them six classes and made the subject"a historical person".During the class,the pupils were accustomed to using the computergraphic-tool and could create fine graphics of the historical person.And the authors gave a questionnaire to pupils on their emotional factors such as curiosity and interest in studying Basic Information Science.As a result,we found that the pupils were interested in studying Basic Information Science by the teaching method tried here,and that this method had remarkable effects on awaking pupils' desire to use the computer graphic-tool,finding and solving problems and developing pupils' selfeducating-ablilty,as well as learning their computer-literacy.And this method will thus surely became one of the valuable methods for teaching Basic Information Science.
著者
関 隆晴 釜谷 聡 森口 秀樹 生田 享介 石川 聡子 岡崎 純子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.195-202, 2005-09-30

教育大学としての社会貢献活動の一つとして,本学では2002年度より柏原市の小学校に布ける森林体験学習を支援してきた。この取組は1993年以来,柏原市と大阪府中部農と緑の総合事務所が柏原市内の小学校を対象に行なってきた森林体験学習を,小学校への総合的な学習の時間導入を契機に,大阪教育大学への協力要請に基づいて開始したものである。大阪府においては大阪府新農林水産業振興ビジョンにおける「大阪の彩を創ろう」の一環として,中部農と緑の総合事務所が柏原市で取り組む「教育連携タイプ」の地域の森づくり活動である。本学においては,新たな時代に求められる実践的な教員の資質能力を持った学生の育成を目指す活動事例ともなっている。いくつかの機関が連携して協働事業を展開する場合,各機関の目指す目標が一致するとは限らない。それぞれが異なる目標を持って関わる協働事業の実践事例として,柏原市高尾山創造の森をフィールドとした森林体験学習のこれまでの活動を整理・分析することにより,各機関がそれぞれの明確な目標を持って協働事業に取り組むことの重要性を指摘する。
著者
小山 雄佑 越桐 國雄
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.25-37, 2006-09-29
被引用文献数
1

平成10年の学習指導要領の改定では,学校週5日制や総合的な学習の時間が導入された。これに伴い小中学校では教科内容が従来に比べて3割程度削減され,これが児童生徒の学力低下をもたらしているという議論がある。教育内容の削減は,教科書の記述量にも反映されるが,一方で,教科書の表現自体が変化しているとの指摘がある。そこで,小学校理科教科書の体様のうち特に,図,表,絵,写真などの図画像表現がどのように変化してきたかを,昭和33年から平成10年までの40年間5期にわたる学習指導要領に対応した教科書について調査した。これにより,図画像表現が占める割合が増加してきたことが定量的に確認された。また,理科における学年別,領域別の図画像表現の違いやその変遷が示される。