著者
石川 聡子 山名 幸世
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 総合教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University. Educational science (ISSN:24329630)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.21-40, 2021-02

本研究の目的は,1950年代後半から2010年代後半の間に発行された2,000冊以上の子ども向け絵本を分析し,絵本に描かれた登場人物のキャリアとくに科学技術分野のキャリアとジェンダーの関係を明らかにすることである。女性登場人物の職業の多くが管理・サービス・事務系であり,保安・農林水産・運輸系も一定の割合で描かれており,科学技術系と文芸・スポーツ・メディア系は少数であった。科学技術分野以外の職業では登場人物の男女割合のアンバランスが解消される傾向が見られ,男女雇用機会均等法成立前後で統計的に有意に均等に近づいていたが,科学技術分野の職業ではそのような変化は見られなかった。
著者
吉村 元貴 石川 聡子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.19-29, 2013-09

本研究は地域環境保全活動を通して市民は自己の成長をどのように認識しているのかの把握を目的としておこなった。NPOの運営を担う人々を中心にヒアリング調査をおこない,ヒアリング内容をKJ法によって分類した。今回事例として取りあげた大阪府南河内地域でのカワバタモロコの保護活動では,市民が活動に参加するきっかけとして,自然が好き,環境保全の使命感を持っている,人や社会とのつながりを求めていることがわかった。そして,自身の成長の認識は上記のきっかけとの関連性がみられ,それぞれ,自然認識の視野の拡大,環境保全に関する知識や興味関心の高まり,人とのつながりに幸福感を感じていることが確認された。
著者
今村 光章 石川 聡子 井上 有一 塩川 哲雄 原田 智代
出版者
日本環境教育学会
雑誌
環境教育 (ISSN:09172866)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.22-30, 2003-09-30
参考文献数
16
被引用文献数
1
著者
吉村 元貴 石川 聡子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第4部門, 教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.33-43, 2015-09

本研究の目的は市民環境保全団体の活動に新たにPDCAサイクルを導入することが,その主体の環境保全活動と組織の成長にどのように影響するのかを分析することである。研究対象の市民団体に2012年6月~翌年4月に参与観察をおこない,各団体の会議や総会の議事録,資料等を分析するとともに,この期間中に振り返りの場を会議等で設けることによる成長を検討した。そして,振り返りが主体組織の成長へ影響を及ぼすことが推察されたので,KH Coderを用いた計量テキスト分析をおこなった。その結果,振り返りによって抽出された課題の改善策について議論や決定がおこなわれており,振り返りの導入が一部の課題に対してP→D→C→Aによる解決を可能にしていた。The objective of this study was to assess the effects of newly introducing the plan-do-check-act (PDCA) cycle for activities led by citizens' environmental conservation groups on core environmental conservation activities and the growth of the organizations. The study focused on citizens' groups, with participant observation of the groups conducted from June 2012 until April 2013. In addition to analyzing the meetings, minutes of general meetings, and materials etc. of each organization, we examined the growth of the organizations throughout this period, as a result of creating an opportunity to reflect on past activities through meetings etc. Moreover, it was surmised that reflection would affect the growth of the main organizations and therefore, quantitative content analysis was performed utilizing KH Coder. The results indicated that discussion and decision-making were occurring regarding reform measures for issues that had been identified through the reflection process. Introducing an opportunity to reflect on past activities facilitated the solution of some issues with the P→D→C→A cycle.
著者
関 隆晴 釜谷 聡 森口 秀樹 生田 享介 石川 聡子 岡崎 純子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.195-202, 2005-09-30

教育大学としての社会貢献活動の一つとして,本学では2002年度より柏原市の小学校に布ける森林体験学習を支援してきた。この取組は1993年以来,柏原市と大阪府中部農と緑の総合事務所が柏原市内の小学校を対象に行なってきた森林体験学習を,小学校への総合的な学習の時間導入を契機に,大阪教育大学への協力要請に基づいて開始したものである。大阪府においては大阪府新農林水産業振興ビジョンにおける「大阪の彩を創ろう」の一環として,中部農と緑の総合事務所が柏原市で取り組む「教育連携タイプ」の地域の森づくり活動である。本学においては,新たな時代に求められる実践的な教員の資質能力を持った学生の育成を目指す活動事例ともなっている。いくつかの機関が連携して協働事業を展開する場合,各機関の目指す目標が一致するとは限らない。それぞれが異なる目標を持って関わる協働事業の実践事例として,柏原市高尾山創造の森をフィールドとした森林体験学習のこれまでの活動を整理・分析することにより,各機関がそれぞれの明確な目標を持って協働事業に取り組むことの重要性を指摘する。