著者
大川 清孝 追矢 秀人 佐野 弘治 青木 哲哉 針原 重義 黒木 哲夫
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.139-143, 1999 (Released:2009-10-16)
参考文献数
13
被引用文献数
1

患者は20歳男性で,元来便秘気味であり,8歳頃より過敏性腸症候群に合致する症状があった.午後5時頃に強い腹痛があり,その後大量に排便があり,続いて朝まで7~8回の血性下痢がみられた。当院を受診しすぐに内視鏡検査を施行したところ、下行結腸から横行結腸にかけて全周性と縦走性の潰瘍があり虚血性大腸炎と診断し入院となった.虚血性大腸炎を合併した過敏性腸症候群は世界で3例目であり,稀と考え報告する.
著者
田原 遠 田淵 貴大 針原 重義 坂東 徳久栄 井戸 武實
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
榮養學雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.29-38, 2011-02-01
参考文献数
22
被引用文献数
1

【目的】あいりん地域にはホームレス群と,生活保護受給にてホームレスを脱却した群(生保群)が混在している。これら2群の栄養学的特性を調査し,両群共通の問題点ならびに両群間の比較より浮かび上がった問題点を明らかにすることにより,今後必要なサポートについての検討を行った。<br>【方法】2007年9月から2008年2月の間,当院における結核検診受診者を対象に,半定量食物摂取頻度調査法による食事調査を行った。うち,156名のホームレス群と45名の生保群を合わせた201名を本調査の対象者とし,身体計測,採血,食事調査結果の比較を行った。<br>【結果】両群ともに痩せや貧血の者が多い半面,生活習慣病ハイリスク者も存在し,問題が多いことが分かった。両群の摂取量の比較では,ホームレス群において嗜好飲料がより多く,野菜がより少なかった。これら食品群の特徴を調査したところ,この地域には嗜好飲料の自動販売機が非常に多く,他地域より安いため入手しやすいこと,スーパーで主菜類・主食類の惣菜が安価で販売され,相対的に野菜類の惣菜は高価であることが分かった。<br>【結論】両群ともに問題点が多かったが,生保群の方が一部において良好であった。今後,ホームレス脱却のための社会的支援と同時に,嗜好飲料入手環境及びスーパーにおける食環境の整備,並びに栄養教育が重要であると考えられた。
著者
中田 信昭 祷 史明 中村 夫左央 針原 重義 平山 幸雄 鈴木 陽 下内 昭 高鳥毛 敏雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.455-458, 2007-05-15
被引用文献数
3

〔目的〕大阪社会医療センターは結核高罹患地域であるあいりん地域に位置し,日雇い労働者や野宿生活者を主な対象とする無料低額診療施設である。地域にある当院の外来受診者について結核検診を行い,結核有病状況を明らかにし,地域における役割を検討することを目的とした。〔対象と方法〕平成17年3月31日から18年6月15日に整形外科単科外来初診患者1,673人中検診同意者(検診受検群)538人(男性523人,女性15人)について胸部エックス線検査を行った。また同時期の内科受診者2,000人(内科受診群)を対照として分析した。〔結果〕検診受検群については要医療率2.4%(13人)であった。一方,内科受診群2,000人については要医療率4.3%(85人)であった。〔結論〕検診受検群の結核患者発見率2.4%は,平成16年度のあいりん地域での結核検診における患者発見率1.1~1 .8%とほぼ同水準,対照群のそれは約2倍高率であった。これらの結果から,結核蔓延地域にある当院には,受診者に対し結核検診をルーチン業務とするとともに,発見患者に対する精密検査および外来診療を行えるよう基盤整備を行い,行政,専門機関の支援を得て,この地域の結核対策に取り組んでいく必要があると考えられた。