- 著者
-
鈴井 正敏
川合 武司
- 出版者
- 明治大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1999
【目的】NK細胞数及び活性(NKCA)は一過性の運動により影響を受けることが報告されている。本研究では継続的な強い運動(トレーニング)が安静時のNK細胞機能に影響するかを検討した。【方法】被検者は関東学生1部大学バレーボール部に所属する女性8名とし,トレーニングは秋季リーグ戦前の一ヶ月間にわたる強化練習(5時間/日×6日/週)とした。採血はトレーニング前,トレーニング中,トレーニング終了前,回復期の4回,早朝安静時に行った。測定項目は末梢血リンパ球のNK細胞数およびNKCA,血漿アドレナリン(Ad),ノルアドレナリン(Nad)濃度,コルチゾール濃度,CPK濃度,NK細胞上の接着分子CD11a,CD18,CD44,CD62Lの発現強度とした。データは安静値を基準に脱水補正を行った後,one-factor ANOVA(p<0.05)による分散分析を行った(StatView)。【結果と考察】NK細胞数およびリンパ球に占める比率はトレーニング期間を通して変化しなかった。NKCAと細胞当たりのLytic unitsはトレーニング終了前で有意(p<0.05)に低下した。Ad及びNad,コルチゾール濃度には変化が無く,CPK濃度はトレーニング終了前で有意(p<0.05)に増加した。NK細胞上のCD44はトレーニング終了時に増加し,,逆にCD62Lはトレーニング初期にCD18は回復期に低下した(p<0.05)。以上の結果より,強い運動の継続では一過性の運動で見られる変化とは異なることが明らかとなった。一過性の運動ではNKCAは個々の細胞の活性変化ではなく,細胞数の変化によって影響を受ける。これに対し,強度の高いトレーニングではNK細胞濃度の変化はなく,個々の細胞の活性が低下する可能性が示された。