著者
勝又 宏 川合 武司
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.381-398, 1996-03-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
7

This study was designed to examine how baseball batters adjust their batting actions to slow-speed and fast-speed pitches by measuring the ground reaction forces. The followings were revealed during different phases of the batting action. 1) At the take-back motion phase, the weight was transferred onto the catcher-side foot. The ground reaction force of the left foot, i.e., the pitcher-side foot, was increased immediately to fix the left foot firmly on the ground at the bat-swing phase. 2) In batting the slow-speed pitches, fixing the stepped left foot on the ground was remained momentarily before the bat-swing action. 3) In batting the slow-speed and fast-speed pitches, the ground reaction force curves of the left foot at the bat-swing phase were almost the saae. 4) The bat swing was started after fixing the left foot on the ground. 5) In each batting for the slow-speed and the fast-speed pitches which were mixed at random, the beginnig-phases of the batting motions were started at the almost same time. These analyses suggest the followings: 1)Ddecision on hitting the pitch is made before fixing the stepped foot firmly on the ground. 2)By momentary fixation of the stepped foot on the ground, the bat-swing action is synchronized to the pitch for correctly timed hitting. 4)When it is difficult for batters to predict whether the next pitch will be fast-speed or slow-speed, batters' actions may be prepared to hit the fast-speed pitches. And when the pitched ball is slow-speed, batters may adjust the start of the bat-swing action by momentary fixation of the stepped foot on the ground.
著者
田中 博史 川合 武司 中島 宣行 浜野 光之 石出 靖
出版者
千葉県体育学会
雑誌
千葉体育学研究 = Chiba Journal of Physical Education (ISSN:09138137)
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-9, 2000-06-30

[目的] 大学トップレベルのチームでは全日本級の選手育成のためにスピード、パワー、高さなどの体力の向上と技術・戦術の向上が課題になっている。しかし、それらの向上と同様精神面の管理または強化が重要な課題となっている。これらは、大学バレーボール界のみならず日本のトップレベルにあるすべてのスポーツチームにもいえることである。近年、精神面の強化と自己の精神面の管理ないしはコントロールするいわゆるメンタルマネージメントを目的としたトレーニングが行われるようになってきている。バレーボール選手にこのトレーニングを実施するに当たり、まずバレーボール選手の競技場面におげる心理特性とを把握しておく必要がある。特に競技行動に直接的な影響をもたらす心理的要因の一つと考えられる競技不安についてとチームパフォーマンスとしての勝敗との関係を把握することは、メンタルトレーニングを選手に課す際に重要であると考えられる。競技不安に関する研究は、近年国内外でかなり行われるようになってきている。Cox1) は、競技不安に関する従来の研究について1) 不安に関する多次元的性質に関するもの2) 競技開始前の不安3) 競技に及ぼす不安の影響4) 不安とパフォーマンスとの関係という4 領域に分類している。これらは、相互に関連し合っていることは言うもでもない。ここでは、スポーツ選手の競技場面における心理的コンディションと直接的に関連すると考えられる競技開始前の不安、パフォーマンスと関連が深いと考えられる競技終了後の不安を取り上げることとした。Spielberger 18) らが不安を状態不安 (StateAnxiety) と特性不安 (Trait Anxiety) とに2 分されるとし、緊張水準の一時的な変動によって生じる不安水準である状態不安を比較的安定した性格特性としての不安水準から分離した。従来、状態不安は、覚醒水準と関連することが明らかになって以来、覚醒水準を測定するために用いられた生理的指標がこの測定に利用されることが多かった。しかしフィールド研究においては、Martens 13) が指摘しているようにこの指標を用いることは困難である。Spielberger 18) 19) らによって質問紙法による検査(State Trait Anxiety Inventory、以降STAI と略記する。)が開発されて以来、競技場面における状態不安の測定が容易に可能になり、これに関する研究がかなり行われるようになってきている。市村 5) は、Kleine10) がスポーツ状況Sに合わせて作成された不安テストの予測妥当性が十分でないことを指摘していると述べ、pielberger ら1B) 19) の質問紙の方が、スポーツ状況に合わせて作成された不安テストよりも、選手の不安水準を正しく測定し、不安のために生起する運動の混乱を予測するのに妥当性が高いことを指摘している。Spielberger ら 18) 19) のSTAI は清水ら 17) によって日本語版が作成されている。このテストは、20項目からなり4件法で回答し得点の範囲は20点から80点である。従来のSTAIを用いた競技開始前の状態不安に関する研究の中には、競技が近づくに連れて不安が高くなってくるといった時間的要因に関する研究やこの要因を含んだものはかなり多く報告されている1)。しかし試合後の状態不安まで取り上げた研究はチームスポーツ選手を対象とした中島ら 15) の研究などがあるが数少ない。長谷川 3) は試合後の選手達が日常の健康な精神生活へのスムーズな復帰への過程が重要であると述べ、試合後の心理的コンディション作りの需要性を述べていることから、状態不安の測定には競技前後の2つの測定点での測定が必要であると思われる。そこで本研究においては、大学女子バレーボール1部リーグ戦に初めて昇格したチームの1部リーグ戦および1部・2部入れ替え戦を対象として競技開始前・後の状態不安を測定し、測定された状態不安とチームパフォーマンスとしての勝敗との関係を明らかにし今後のこの種の研究及びコーチングの際の基礎的資料とすることを目的とした。
著者
須田 芳正 田中 博史 川合 武司 高橋 宏文 綿田 博人
出版者
慶應義塾大学体育研究所
雑誌
体育研究所紀要 (ISSN:02866951)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.7-16, 2000-01

The purpose of this study was to compare and construct the cognitive style of various sports players, so that we could accumulate the references and ideas to this study. In this study, 37 volleyball players, 43 baseball players, 42 soccer players, 23 basketball players, 45 kendo players, 39 track and field players from university and total of 229 players had been contrasted. We have measured the cognitive style by applying EFT cognitive style test and compared each group's result. From the test's result, we have come up with these conclusions. The scores of volleyball players were meaningfully higher than that of another players. From this result, It has been clear that players of volleyball players tend to be more field-dependent that players of all.
著者
浜野 光之 中島 宣行 川合 武司
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

今年度は、大学生男女バレーボール選手を用いて、特に、トーナメント方式の東日本インターカレッジおよび全日本インターカレッジを中心に、競技開始前の心理的競技能力および状態不安とパフォーマンスの関係を明らかにしようとし、以下のような結果を得ることができた。また、中国遠征の機会を得た男子チームのデータも収集することができた。(1)競技開始2時間前および直前の状態不安は、平常時よりも高くなる傾向が伺えた。(2)トーナメント方式のインカレでは、緒戦や拮抗した展開が予想されるようなチームと対戦する競技開始前の状態不安は、他の試合の時よりも高くなる傾向がみられた。(3)競技開始前の状態不安とパフォーマンスとの関係は、現在のところ一定の関連性は認められていない。(4)競技終了直前の状態不安は、勝利を収めた試合では低下し、敗戦の場合は変化しないか上昇する傾向がみられた。(5)全日本・東日本インターカレッジよりも、自我関与度の強い関東リーグ戦の方が、全体的に強い状態不安を示した。(6)女子選手の方が男子選手に比べて全体として高い状態不安を示す傾向にある。
著者
鈴井 正敏 川合 武司
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

【目的】NK細胞数及び活性(NKCA)は一過性の運動により影響を受けることが報告されている。本研究では継続的な強い運動(トレーニング)が安静時のNK細胞機能に影響するかを検討した。【方法】被検者は関東学生1部大学バレーボール部に所属する女性8名とし,トレーニングは秋季リーグ戦前の一ヶ月間にわたる強化練習(5時間/日×6日/週)とした。採血はトレーニング前,トレーニング中,トレーニング終了前,回復期の4回,早朝安静時に行った。測定項目は末梢血リンパ球のNK細胞数およびNKCA,血漿アドレナリン(Ad),ノルアドレナリン(Nad)濃度,コルチゾール濃度,CPK濃度,NK細胞上の接着分子CD11a,CD18,CD44,CD62Lの発現強度とした。データは安静値を基準に脱水補正を行った後,one-factor ANOVA(p<0.05)による分散分析を行った(StatView)。【結果と考察】NK細胞数およびリンパ球に占める比率はトレーニング期間を通して変化しなかった。NKCAと細胞当たりのLytic unitsはトレーニング終了前で有意(p<0.05)に低下した。Ad及びNad,コルチゾール濃度には変化が無く,CPK濃度はトレーニング終了前で有意(p<0.05)に増加した。NK細胞上のCD44はトレーニング終了時に増加し,,逆にCD62Lはトレーニング初期にCD18は回復期に低下した(p<0.05)。以上の結果より,強い運動の継続では一過性の運動で見られる変化とは異なることが明らかとなった。一過性の運動ではNKCAは個々の細胞の活性変化ではなく,細胞数の変化によって影響を受ける。これに対し,強度の高いトレーニングではNK細胞濃度の変化はなく,個々の細胞の活性が低下する可能性が示された。