著者
松木 浩子 森合 博一 小林 英樹 山田 裕輔 鈴木 妙子 竹村 真一 鈴木 勝男 野沢 佳弘
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.418-422, 2014-07-25 (Released:2014-09-10)
参考文献数
9

症例は29歳,男性,左側腹部から背部にかけての疼痛を主訴に当院受診.胸腹部CTにて腹腔内に多数の結節とリンパ節腫大,右胸水,腹水を認め,PET-CTで腹膜,胸膜に高度のFDGの集積を認めた.血清CEA,CA125,可溶性IL-2レセプター抗体が上昇していた.癌性腹膜炎,悪性リンパ腫,悪性中皮腫,結核性腹膜炎などとの鑑別を要したが,確定診断が得られず腹腔鏡下腹膜生検を施行した.大網,腹膜及び肝表面に白色の小結節が多数認められ,大網は腹壁に癒着していた.術中迅速病理診断にて,乾酪壊死とLanghans巨細胞を伴う類上皮性肉芽腫を認めたことから,結核性腹膜炎と診断した.結核性腹膜炎は稀な疾患で,臨床像および検査結果から癌性腹膜炎との鑑別が困難であるが,腹腔鏡下腹膜生検の術中迅速病理診断が有用であった.