著者
山田 哲治 塚本 浩史 白石 友紀 野村 哲也 奥 八郎
出版者
The Phytopathological Society of Japan
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.532-540, 1990-10-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
19
被引用文献数
17 22

サクラてんぐ巣病菌(Taphrina wiesneri),モモ縮葉病菌(Taphrina deformans),スモモふくろみ病菌(Taphrina pruni)など,植物に増生病を引き起こすタフリナ属病原糸状菌はインドールピルビン酸(IPyA),インドールアセトアルデヒド(IAAld)を中間代謝物としてトリプトファン(Trp)からインドール酢酸(IAA)を合成する。これらの糸状菌はまた,インドールアセトニトリル(IAN)をIAAに転換する能力をもつ。IANをIAAに転換する酵素,IANニトリレースは基質誘導を受ける適応酵素であるが,TrpをIPyAに転換する酵素,Trpアミノトランスフェラーゼは基質によって誘導を受けない。
著者
武井 〓朔 野村 哲
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.13-20, 2006-01-25
被引用文献数
2

関東山地と足尾山地とにはさまれた中新統堆積盆地を,前橋-熊谷堆積盆地と呼ぶことにする.この堆積盆地は,NW-SE方向に延び,幅30km前後,延長約100kmである.この堆積盆地は,そのほぼ中央部を通る鳥川-深谷線(断層)(新称)により,北帯と南帯とに分けられ,南帯ではさらに南縁部(下仁田構造帯や滑川帯)が識別できる.中新統は地表では大部分が南帯に分布するが,盆地北縁のすぐ北側にも小分布がある.中新統はその年代,層相,分布,構造などにもとづき,M-I(下部中新統),M-II(中部中新統下部),M-III(中部中新統〜上部中新統下部),およびM-IV(上部中新統上部)の4地層群に区分できる.地表の資料と,これまでに公表されている深坑井,地震探査などの資料をもとにして,この堆積盆地を横断する地下断面図を二つ作製した.その結果,地下構造についてつぎのような性格が明らかになった.まず北帯では中新統はほとんどM-IIIであり,北帯の南半部で層厚が大きく,構造は水平に近いが,北半部では北方向に向かって徐々に薄くなる.これに対し南帯ではM-I, M-II,およびM-IIIがみられる.このうちM-IとM-IIはその南側で厚く,北側に向かって薄くなる.いっぽうM-IIIは北側では厚いが,南側に向かって薄くなる.なお,M-IVは南帯の西部の地表に分布し,火山噴出堆積物からなる.堆積盆地の発達史に関しては,堆積は南縁帯から始まり,時代とともに堆積の中心が南から北へと移動したことがうかがえる.
著者
勝矢 淳雄 藤井 健 河野 勝彦 山岸 博 野村 哲郎 遊磨 正秀
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

上賀茂の住民と協働して北大路魯山人生誕地石碑を建立した。反対者への対応の仕方とその波及効果について多くの知見を得た。京都の特産のミズナがスグキナの作物としての成立に関与した可能性が示せた。ナミテントウは、60年前の結果と比べ、日本全土で暖地に適した二紋型の割合が増えていることを明らかにした。台風域内で、風の左右非対称性を明らかにした。近年の河川改修がアユ産卵場を失う可能性のあることを示唆した。
著者
野村 哲也 西良 雅夫 中筋 加恵 澤井 克彦 吉川 範子 立川 茂樹 安宅 啓二
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.223-226, 2004-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10

急性の肺血栓塞栓症を来し心停止となったが,3時間の心肺蘇生法の後に心拍が再開し,ほとんど神経学的欠損なしに回復した症例を経験した。症例は57歳,女性。左股関節再置換術を受けるため,深夜の長距離バスを利用して翌朝に来院,直後に心停止となった。乗車中ほとんど動いていなかった。3時間の胸骨圧迫による心肺蘇生法の後,心拍が再開し意識が回復した。肺動脈近位部の血栓が心臓マッサージにより破砕され,心拍が再開した可能性が考えられた。長時間の心肺蘇生法を行ったが出血所見を認めなかった。肺動脈の血栓を破砕吸引し,血栓溶解療法を行った。その後肺水腫となり,循環も不安定であったが,徐々に改善し人工呼吸器からも離脱できた。上肢にわずかに振戦を認めたのみで独歩退院できた。心肺蘇生法をいつまで行うかについては明確な基準はないが,長時間の心肺蘇生法にもかかわらず神経学的後遺症をほとんど認めなかった症例を経験した。
著者
野村 哲郎 外井 哲志 清田 勝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.625, pp.125-133, 1999-07-20
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

本研究は, 道路網における案内標識の最適配置に関して, ネットワーク上における迷走の最小化をはかることを目的とし, その数理モデルの提案およびアルゴリズムの開発を行ったものである.<br>目的地の案内方法としては地名または路線番号方式および併用型とし, その設置箇所は交差点流入部に限定している. 運転者の迷走度の表現として到達迷走度を導入している. 最適化の考え方としては, すべてのODの到達迷走度の和を最小化する立場を提案している. 最適化の数理モデルでは, 運転者の迷走度に関する指標を目的関数とし, 標識設置リンク数および案内1方向あたりの表示数を制約条件として, 解法には動的計画法を適用し, 計算例により地名, 路線および併用型案内の性質を示している.
著者
高橋 純一 竹内 実 松夲 耕三 野村 哲郎
雑誌
京都産業大学先端科学技術研究所所報 = The bulletin of the Research Institute of Advanced Technology Kyoto Sangyo University (ISSN:13473980)
巻号頁・発行日
no.13, pp.25-37, 2014-07

日本で飼養されているセイヨウミツバチApis melliferaの系統調査とアフリカ化ミツバチやアフリカ系統が侵入してきたときの識別法としてミトコンドリアDNA のPCR-RFLPおよび塩基配列の適用性の検討を行った。サンプルはヨーロッパおよびアフリカと日本各地の12地域のミツバチ群を使用した。ミトコンドリアDNAのCOI-COII間を特異的に増幅するPCRを行ったところPCR産物長の違いで亜種間を識別できることが示された。日本のセイヨウミツバチは、すべての個体がA. meliifera ligsticaのC系統と一致していたためPCRと電気泳動によりアフリカ系統のセイヨウミツバチA. mellifera scutellataと識別可能であることがわかった。M系統のセイヨウミツバチは輸入されている可能性もあるため、もしM系統のハプロタイプが見つかった場合には、PCR-RFLPと塩基配列の解析の方法を併用することにより迅速に日本におけるセイヨウミツバチの遺伝構造やアフリカ産のミツバチと識別が可能であることが明らかになった。
著者
野村 哲志 井上 雄一 中島 健二
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.987-990, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1

パーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)患者は,睡眠障害を生じることが多い.原因としては運動症状,夜間諸問題や精神症状だけでなく,その他の睡眠障害である日中の眠気(Excessive daytime sleepiness; EDS),レム期睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder; RBD),下肢静止不能症候群(Restless legs syndrome; RLS),睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome; SAS)などが挙げられる.とくに,RBDはPDの病前症状として注目されている.PDの1/3にRBD症状をみとめる報告があり,運動機能障害,自律神経機能,認知機能の増悪因子であるという報告もある.PDの睡眠障害の原因は多様なので,詳細を充分検討した上で対処する必要がある.しかし,PDでのそれぞれの睡眠障害の対応についてはエビデンスが不足しており,データーの蓄積が必要である.
著者
野村 哲郎
出版者
日本動物遺伝育種学会
雑誌
動物遺伝育種研究 (ISSN:13459961)
巻号頁・発行日
vol.30, no.Supplement, pp.4-15, 2002-11-10 (Released:2010-03-18)
参考文献数
20

2002年8月19-23日にフランス・モンペリエで開催された第7回WCGALP (遺伝学の畜産への応用に関する国際会議) では、Management of genetic diversityのセクションにおいて50題の研究発表が行われた。そのうちのいくつかの研究発表を中心に最新の研究動向についてまとめた。まず、集団内の遺伝的多様性を低下させる要因について考察し、分子遺伝学の技術を取り入れた遺伝的多様性の保全方法について最近の研究動向を解説した。さらに、絶滅に瀕した複数の集団 (品種) を対象とした集団間の遺伝距離の利用方法についても紹介した。
著者
高柳 誠二 守屋 和幸 野村 哲郎 道後 泰治 佐々木 義之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.286-290, 1996-03-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

品種全体に対して種雄牛の供給という役割を持ち,閉鎖牛群として維持されてきた兵庫県黒毛和種の集団構造を明らかにするために血統分析を行った.材料としては,1960,1970,1980および1988年に兵庫県で生産された黒毛和種登録雌牛から得られた無作為抽出標本(各年次200頭)を用いた.その結果,種雄牛の多様性は1960~1970年の間および1980~1988年の間で大きく減少した.また,F-統計量についてみると,平均近交係数(FIT)および無作為交配下で期待される近交係数(FST)は年次とともに上昇したが,1980年以降はFIT<FSTとなった.したがって,集団分化に起因する近交係数(FIS)および集団分化指数は次第に減少した.さらに,集団の有効な大きさは1960年から1988年の間に262から8となった.以上の結果より,兵庫県の黒毛和種集団では,遺伝的均一化および集団の有効な大きさの縮小が生じ,近年,その傾向がさらに強まっていることが明らかになった.
著者
野村 哲志
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.343-348, 2017-07-25 (Released:2017-08-29)
参考文献数
11

高齢者は加齢と共に身体機能の変化が起こり,種々の病気を合併し,薬剤の使用などの影響も受けやすい状況です.それらの影響で,昼夜逆転を含んだ睡眠障害を起こしやすい状況にあります.特異のものとしてレム睡眠行動障害があり,せん妄と鑑別の上で内服加療の必要があります.せん妄には背景因子があり,認知症患者で見られる周辺症状も含めた対応としては,病態の背景を理解し,生活指導の上少量の薬剤で対応する必要があります.
著者
高橋 純一 野村 哲郎 Jun-ichi TAKAHASHI Tetsuro NOMURA 京都産業大学総合生命科学部 京都産業大学総合生命科学部
出版者
京都産業大学先端科学技術研究所
雑誌
京都産業大学先端科学技術研究所所報 = The bulletin of the Research Institute of Advanced Technology Kyoto Sangyo University (ISSN:13473980)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.31-40, 2015-07

ミツバチ科マルハナバチに属するエゾオオマルハナバチBombus hypocrita sapporoensisは、特定外来種であるセイヨウオオマルハナバチの代替花粉交配用昆虫として注目されている。今回我われは、本種の農業利用を進めるための遺伝育種学的解析に必要なマイクロサテライトDNAマーカーの適用性を検討した。120種類のマーカーのうち、57種類が多型解析に利用できることがわかった。さらに8種類のプライマーは、マルチプレックスPCRによる同時解析が可能であることを明らかにした。これらのツールキットを利用して女王蜂の受精嚢内から単離した精子DNAの解析を行ったところ、交配雄蜂の遺伝子型を特定できることがわかった。 The Bumblebee is a eusocial Hymenoptera with an annual life cycle and is often utilized as an agricultural pollinator. We developed an polymorphic microsatellite DNA toolkit for the Japanese bumblebee Bombus hypocrita sapporoensis using multiplex PCR. At 57 of these 120 loci, high allelic variation was observed in 20 individual males. In addition to a method of spermathecae PCR, we developed 8 polymorphic microsatellite DNA toolkit for the B. h. sapporoensis. These results suggest that high-throughput genotyping method can be used to gain more information regarding breeding systems and for more deeply understanding social evolution in the B. h. sapporoensis.