著者
松木 浩子 森合 博一 小林 英樹 山田 裕輔 鈴木 妙子 竹村 真一 鈴木 勝男 野沢 佳弘
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.418-422, 2014-07-25 (Released:2014-09-10)
参考文献数
9

症例は29歳,男性,左側腹部から背部にかけての疼痛を主訴に当院受診.胸腹部CTにて腹腔内に多数の結節とリンパ節腫大,右胸水,腹水を認め,PET-CTで腹膜,胸膜に高度のFDGの集積を認めた.血清CEA,CA125,可溶性IL-2レセプター抗体が上昇していた.癌性腹膜炎,悪性リンパ腫,悪性中皮腫,結核性腹膜炎などとの鑑別を要したが,確定診断が得られず腹腔鏡下腹膜生検を施行した.大網,腹膜及び肝表面に白色の小結節が多数認められ,大網は腹壁に癒着していた.術中迅速病理診断にて,乾酪壊死とLanghans巨細胞を伴う類上皮性肉芽腫を認めたことから,結核性腹膜炎と診断した.結核性腹膜炎は稀な疾患で,臨床像および検査結果から癌性腹膜炎との鑑別が困難であるが,腹腔鏡下腹膜生検の術中迅速病理診断が有用であった.
著者
梶本 雅俊 葛木 みどり 山本 照子 鈴木 妙子 佐藤 加代子
出版者
国立公衆衛生院
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

昨年度行った基礎的検討として液クロによる金属パタン分析法を用い、尿中のNa・K・Ca等の陽イオンの分析を、同じくF・SO4、SO2、C1、N03等の陰イオンの分析をして金属栄養の指標とした。無機質代謝のうち、従来公衆栄養的見地からはカルシウム不足がいわれているので。今回は日本人の日常生活の中での真の吸収率を求めようとして、カルシウムについての吸収率を求めた。厳密な二回の実験を用い、実験は男子8名、女子8名の厳重な管理のもとに血液成分、カルシウム、ホルモンについてデータを得て分析した。その結果牛乳食、野菜食、小魚食、炭酸カルシウム食のうち、牛乳群の便Ca吸収率が最も高く、牛乳群、小魚食の尿中にカルシウム排泄が多かった。介入疫学の手始めとして神奈川県、津久井郡の城山町を始め保健所管内の4町における健診時において住民検診時に血液性状や食習慣調査データを用いて、地域別集計と比較を行った。一部は歯科健診も行い健康状態との関連を分析した。食習慣調査を行い、また健康に役立つ心構えの調査で、腹八分や塩分控え目等の食行動調査20項目間の関連分析を行った。過去の栄養調査し食習慣の結果を総合して、多変量解析を用い、そのうち主成分分析では、身体的測定項目は相互に強く関連し、アンケートでもビタミンの摂取を除く他の項目について互いに強く関連したことが分ったので今後は数項目の調査で他の項目が推定できることが分った。中国東北部吉林省において都市・農村部の約1000名の健康と栄養状態の日中比較では健康状態は都市部ではあまり違いが無かったが農村部では日本よりカルシウム、ビタミン栄養状態も含め悪く地域差が大きかった。