著者
長井 嗣信 藤本 正樹 町田 忍 篠原 育
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.人工衛星Geotailによる観測をもとに、34の磁気リコネクションのイベントと174の南向き磁場をもつ反地球向きの高速プラズマ流について解析を行った。イベントの起きる数時間前からの太陽風の状態を調べることにより、太陽風の何が磁気リコネクションに関係しているかが明らかになった。もっとも重要な因子は、太陽風の電場(速度x南向き磁場)であり、磁気リコネクションは、この積分値が大きいほど、より地球に近い所(地球半径の20倍以内)で起こり、小さい時には、より遠方(地球半径の20倍以上)で起きることがわかった。太陽風の電場が強い時は、磁気圏対流が地球の近くで磁気圏赤道面方向に流れ、磁気リコネクションを引き起こすと考えられる。さらに、近い所で起きる場合は、遠方で起きる場合に比べて、電場の積分量、すなわち太陽風のエネルギーの流入量の積分値が大きくなることを示した。2.磁気リコネクションのトリガーについて、電流層の厚さがイオン慣性長程度の電流層の安定性について,電流層の厚さ,ガイド磁場の効果,初期温度異方性の効果を研究した。素早い磁気リコネクションのトリガーはほとんどの場合において電流層の厚さがイオン慣性長よりも薄い場合のみにしか発生しないことを示した。3.磁気リコネクションの標準モデルは、ジェットを駆動するエンジン部分(Xライン)をひとつだけ想定する。電子慣性を考慮した二流体方程式系を用いて「自然に」磁気リコネクションを駆動する状況を数値実験し、複数のXラインが共存する可能性が高いことを示した。4.磁気リコネクションが大規模に発展する時、背景にある低温電子と加速されたビーム電子との間で励起される電子二流体不安定性に伴う電子加熱・混合が、その領域で頻繁に観測されるフラットトップ型の電子の分布関数を形成し、さらに、電子二流体不安定性が非線形的に発達することによって静電孤立波(ESW)が生じることを見出した。
著者
長井 嗣信
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

地球磁気圏尾部では、地球半径の20-30倍程度の位置で起きる磁気リコネクションによって磁場エネルギーがプラズマのエネルギーに変換している。この磁気リコネクションが、地球半径40倍の幅をもつ磁気圏尾部で、どのような規模で起きているかを、人工衛星Geotailによる20年以上の観測をもとに確立した。磁気リコネクションのX-line は、イオン慣性長より狭い領域に形成され、その周辺には、ion-electron decoupling regionが10倍のイオン慣性長領域(一般に1 地球半径以下)に形成され、朝夕方向に6倍の地球半径以上の長さを持つという3次元規模とその内部構造を明らかにした。
著者
長井 嗣信 河野 毅
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.23-34, 1980-02

本論文では,磁気圏嵐時の静止衛星軌道における高エネルギー粒子のフラックス変動について報告する.3つの静止衛星の同時観測により,夕方側で粒子の減少がみえる時に,真夜中から朝側にかけては,粒子の増加がみられることを明確に示した.また,地磁気じょう乱が引き続いて起きている時には,比較的大きなしかも孤立して起きた磁気圏嵐の時とやや異なる粒子フラックスの変動がみられることを2日間の例を使い示した.
著者
長井 嗣信 河野 毅
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
no.68, pp.p23-34, 1980-02

本論文では,磁気圏嵐時の静止衛星軌道における高エネルギー粒子のフラックス変動について報告する.3つの静止衛星の同時観測により,夕方側で粒子の減少がみえる時に,真夜中から朝側にかけては,粒子の増加がみられることを明確に示した.また,地磁気じょう乱が引き続いて起きている時には,比較的大きなしかも孤立して起きた磁気圏嵐の時とやや異なる粒子フラックスの変動がみられることを2日間の例を使い示した.