著者
倉本 圭 川勝 康弘 藤本 正樹 玄田 英典 平田 成 今村 剛 亀田 真吾 松本 晃治 宮本 英昭 諸田 智克 長岡 央 中川 広務 中村 智樹 小川 和律 大嶽 久志 尾崎 正伸 佐々木 晶 千秋 博紀 橘 省吾 寺田 直樹 臼井 寛裕 和田 浩二 渡邊 誠一郎 MMX study team
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.207-215, 2018-09-25 (Released:2018-12-21)

火星衛星Phobosからのサンプルリターンに挑む火星衛星探査計画 (Martian Moons eXploration: MMX) は,現在,宇宙航空研究開発機構 (JAXA) プリプロジェクトとして,2024年の打ち上げと5年の往還期間を設定し,精力的な検討・初期開発が進められている.MMXは,サンプル分析,Deimosを加えた火星衛星の近接観測,そして火星大気および火星圏のモニタリング観測を組み合わせることにより,惑星に寄りそう衛星という切り口と視座から,太陽系における大気と水を湛えたハビタブル惑星の形成と進化の解明に迫ろうとしている.
著者
木村 淳 佐々木 晶 藤本 正樹
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.146-151, 2013-09-25

日本が木星系探査に参加する. 2012年5月に欧州宇宙機関(ESA)の大型惑星探査プログラムとして選定され2022年の打ち上げを目指す木星氷衛星探査機JUICE(ジュース: JUpiter ICy moons Explorer)は,日本チームもその開発に参加する国際協同計画として始動した.太陽系最大の衛星ガニメデの周回探査とエウロパ,カリストのフライバイ探査を行って氷の表面に広がるテクトニクスの全容や内部海の存否を明らかにし,さらに木星大気や磁気圏プラズマ環境などの調査を通して,木星と衛星,それらの相互作用の様相をつまびらかにする.日本のコミュニティにとって数年前まではただの夢だった木星探査へついに手が届くようになった経緯を記し,これからのあゆみを連載していく.
著者
長井 嗣信 藤本 正樹 町田 忍 篠原 育
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.人工衛星Geotailによる観測をもとに、34の磁気リコネクションのイベントと174の南向き磁場をもつ反地球向きの高速プラズマ流について解析を行った。イベントの起きる数時間前からの太陽風の状態を調べることにより、太陽風の何が磁気リコネクションに関係しているかが明らかになった。もっとも重要な因子は、太陽風の電場(速度x南向き磁場)であり、磁気リコネクションは、この積分値が大きいほど、より地球に近い所(地球半径の20倍以内)で起こり、小さい時には、より遠方(地球半径の20倍以上)で起きることがわかった。太陽風の電場が強い時は、磁気圏対流が地球の近くで磁気圏赤道面方向に流れ、磁気リコネクションを引き起こすと考えられる。さらに、近い所で起きる場合は、遠方で起きる場合に比べて、電場の積分量、すなわち太陽風のエネルギーの流入量の積分値が大きくなることを示した。2.磁気リコネクションのトリガーについて、電流層の厚さがイオン慣性長程度の電流層の安定性について,電流層の厚さ,ガイド磁場の効果,初期温度異方性の効果を研究した。素早い磁気リコネクションのトリガーはほとんどの場合において電流層の厚さがイオン慣性長よりも薄い場合のみにしか発生しないことを示した。3.磁気リコネクションの標準モデルは、ジェットを駆動するエンジン部分(Xライン)をひとつだけ想定する。電子慣性を考慮した二流体方程式系を用いて「自然に」磁気リコネクションを駆動する状況を数値実験し、複数のXラインが共存する可能性が高いことを示した。4.磁気リコネクションが大規模に発展する時、背景にある低温電子と加速されたビーム電子との間で励起される電子二流体不安定性に伴う電子加熱・混合が、その領域で頻繁に観測されるフラットトップ型の電子の分布関数を形成し、さらに、電子二流体不安定性が非線形的に発達することによって静電孤立波(ESW)が生じることを見出した。
著者
藤本 正樹 石橋 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.20, pp.77-80, 2004-04-16

本報告では,分散仮想環境において,利用者が触覚メディアを用いて仮想空間内のオブジェクトを操作する作業を扱う.そして,仮想空間を立体視する場合としない場合について,実験によって作業効率の比較を行う.また,立体視の効果と,ネットワーク遅延やその揺らぎなどによる作業効率の劣化との関係も明らかにする.更に,得られた実験結果から,立体視の利得を計算する.
著者
藤本 正樹
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.872-875, 2013-12-25

太陽周辺の宇宙空間(太陽圏)は,太陽から吹き出すプラズマ流(太陽風)で満たされている.太陽系の惑星の中で固有磁場をもつものは,太陽風との相互作用により,その周辺に「磁気圏」と呼ばれる宇宙空間を形成している.その磁気圏内では様々なプラズマ・ガスのダイナミクスが発展するが,その究極の駆動源は太陽風磁場と惑星磁気圏磁場との磁気リコネクションであると考えられている.その重要性が故に,磁気リコネクションは磁気圏観測を実施する探査機において重要な観測ターゲットとなってきた.ここでは,その流れの中で,(1)比較的大きなリソースを活用することが可能な地球磁気圏観測衛星においては,磁気リコネクションのエンジン部分における電子スケール物理解像が次なる課題となっていること,(2)観測データ性能という意味ではレヴェルは落ちるものの,異なるパラメータ空間における磁気リコネクション物理の観測を可能にする惑星磁気圏観測から多くを学びつつあることを概観する.