著者
長島 平洋
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.18, pp.3-13, 2011-07-23

戦前にあった不敬罪は天皇に対する嘲笑を罰し防止しようとするものであったが、戦中にいたるまで、その対象範囲は拡大し、その犯意詮索は細かな行為にまで及んだ。戦後、新憲法発布を機に、不敬罪そのものは廃止となったが、その思想は消滅することなく現在にいたっている。この報告では不敬罪廃止期前後の天皇制を嘲笑するプラカード事件、「風流夢譚」事件、御名御璽事件をとりあげ、「おわりに」では天皇制信仰と同じく絶対思想を持つムハンマド信仰が引き起こした「悪魔の詩」翻訳者殺人事件を紹介する。
著者
長島 平洋
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.79-89, 2009-07-11 (Released:2017-07-21)

土子金四郎著「洒落哲学」は日本最初の笑い学研究である。「洒落哲学」の内容、成立事情を説明する。「洒落哲学」を批判した大西祝の「洒落哲学を評す」の摘要を示し、最後に大西祝の論文「滑稽の本性」の内容を示して、「洒落哲学」が近代日本での笑い学研究の魁であることを証明する。付では「洒落哲学」のうち洒落の種類を表にして紹介する。
著者
長島 平洋
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.3-17, 2016 (Released:2016-12-20)

狂言の笑いの特性を知るために笑いのパターンを検出する方法を考え、21項目のパターンを選び出した。その結果、演目ごとの笑いのパターンでは劇中で笑いを喚起させる場合から、笑える状況の現出までの笑いの分布が判明した。また演目ごとの笑いのパターンを超えたものとして、狂言に籠められているおかしの精神をめぐって考察し、その背景に和楽の流れがあり、それが中世の文芸・芸能において生まれ、日本の文芸・芸能の笑いの源流になっていることを明らかにする。