著者
田中 拓 内藤 純行 長島 梧郎 加藤 晶人 上村 美穂 藤原 正三 馬野 由紀 田北 無門 平 泰彦
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.585-590, 2015-08-31 (Released:2015-08-31)
参考文献数
10

アルコール摂取に伴う意識障害,ならびに迷惑行為は救急医療機関にとって避けられない問題である。今回,2012年1月から2013年9月までの21カ月間に,当院へ救急受診した急性アルコール中毒166例を対象に振り返り,これらについて性別,年齢,エタノール血中濃度,意識レベル,外傷の有無,暴言・暴力の有無について検討した。平均年齢は45.1±19.3歳,男性120人,女性46人であった。エタノール濃度が計測されている症例は129例あり,平均エタノール濃度は207.9±99.6mg/dLであった。約10%の16例で,医療従事者に対する暴言・暴力行為があり,うち4例が警察介入を要した。暴言・暴力などの迷惑行為のあった16例のうち14例は男性であり,平均年齢は36.2±17.4歳と若く,血中エタノール濃度は253.9±85.3mg/dLと高い傾向にあった。急性アルコール中毒は時として重大な転帰をたどることもあり,また,医療従事者にも被害を及ぼすことのある病態である。日常的に多く遭遇する症例であり,適切な対処を院内共通の認識とする必要がある。
著者
和久井 大輔 長島 梧郎 植田 敏浩 高田 達郎 田中 雄一郎 橋本 卓雄
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.138-142, 2012-02-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1 4

頭蓋骨固定用チタンプレートにより術後頭皮断裂および美容上の問題が生じた3例を報告する.1例目は68歳男性,開頭術2年後に頭皮にチタンプレートが露出し,これを除去し,bioabsorbable polymerによる頭蓋形成術を施行した.2例目は74歳女性,開頭術11年後に手術部位感染でチタンメッシュによる頭蓋形成術を施行した.その後メッシュは表皮より透見され,美容上の問題がある.3例目は65歳女性,開頭術6年後に頭皮にチタンプレートが露出した.骨削除・プレート除去術を施行した.頭皮断裂の主原因はチタンによる頭皮への刺激の他,皮膚切開に伴う皮膚脆弱化や骨欠損部への頭皮陥凹と思われ,チタンプレートによる頭蓋形成で頭皮断裂の可能性がある症例には,bioabsorbable polymerの使用も考慮するべきと考えられた.