著者
長神 風二 池城 かおり
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.238-243, 2011-06-01
被引用文献数
2

科学研究を,その進展の過程から社会と共有することを目指すサイエンスコミュニケーションと,知の蓄積と流通を担う図書館の活動との間には,共通点も多い。本稿では,まず,図書館やサイエンスコミュニケーションについて考えてきた筆者が,2011年3月11日の東日本大震災を直接的に経験することで得た知見を体験談として記す。非常時に,生命と直結する情報をどう扱っていくかは,双方の専門家にとって重い課題である。図書館とサイエンスコミュニケーションの相互の専門性を協創的に用いることで,学術的な研究成果の発表システムの刷新など,新規の学術の可能性を拓く可能性があることを示唆する。
著者
長神 風二
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.321-333, 2008 (Released:2008-08-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2 1 3

サイエンスコミュニケーションの重要性は2000年頃から日本で盛んに叫ばれ始め,関連人材養成のための大型プロジェクトが開始され,多くの取り組みが各地でなされるなど,急速な進展を見せている。図書館は,古くから,人々に学術情報を提供してきた場であり,サイエンスコミュニケーション活動とは無縁ではないが,近年の動きの中で大きな位置を占めてきたとは言い難い。本稿では,これまでに各地の図書館が行ってきたサイエンスコミュニケーション活動を,具体例を取り上げながら概観する。その上で,場としての図書館がサイエンスコミュニケーションにおいて果たしえる役割を議論し,科学技術の側から見た図書館の有用性を論じる。また,人々の科学技術に対する要望や要求を形にして学術の側に伝え,学術の側が伝えたいことを市民に伝える,双方向性をもった場として図書館が機能しえることを論じる。
著者
長神 風二
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.77-85, 2009 (Released:2009-05-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

筆者らは生命科学系最大規模の学会において,科学研究情報の流通に関するフォーラムを開催した。フォーラムは集客も多くなく必ずしも成功裡に終わったとは言い難いが,いくつかの成果を上げることができた。シリアルズクライシス,機関リポジトリ,オープンアクセスなど,生命科学研究者にとっては耳にする機会の少ない概念を提示し,科学と社会をつなぐコミュニケーションを考えるうえでも,あるいは,研究を発展させていくうえでも情報流通が重要であることを示した。また,社会とのコミュニケーションの視点を軸に,科学研究情報の流通を考えると,研究者が公表した研究成果をセルフアーカイブすることの重要性,またそれを推進するための組織的・資金的な支援の必要性,大型研究機関における機関リポジトリの必要性や,ファンディングエージェンシーのより重要な役割が浮かび上がってきた。現状の問題点を一つ一つ解決していく提案を行い,研究と社会にとってより良い研究情報の流通のあり方を考えていく。
著者
長神 風二
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.E2, 2008

p.329の謝辞においてお名前に誤りがありました。 誤:日本科学未来館の羽田野晶子さん→ 正:日本科学未来館の羽田野佳子さんとなります。 お詫びして訂正いたします。
著者
長神 風二
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.14-24, 2007-03

“Science Agora 2006” the first integrated event for science communications in Japan was held on 25-27th November 2006. In the event, 86 associations or groups held their own session, 104 sessions and posters were shown, and more than 1500 people participated. The event was aimed for“ infrastructure development” for the advancements of science communications in Japan. Three purposes of“ agoras” were designed; the dialogues between society and science, that between the various science sectors, and that amongst science communicators. In this report, I describe how these purposes were reflected to the process of program planning and how these were realized or not. The network amongst science communicators in Japan were reinforced by the event, and some trials for the corporation between various science sectors were started by the event. Also some outreach events for general public made a good success in Science Agora 2006. Each success was independently accomplished, but Science Agora has the potential to be the place for the active interaction between the different purposes. In future, the multiple network, from government, researchers to general public, should be constructed based on Science Agora, and it will contribute to the sustainable development of science in society.