著者
長谷 晃輔 長谷 生子 下山 由美子 西藤 公司
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.75-78, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
6

雑種猫,3歳3ヶ月齢,未去勢雄に多発性丘疹結節および腫瘤,ならびに皮膚硬化が認められた。皮膚生検の検体および斃死後の剖検検体を病理組織学検査に供したところ,皮膚腫瘤/結節および硬化部位の皮膚のみならず,骨格筋膜や臓器漿膜にも広範囲に紡錘形細胞の増殖が認められ,皮膚結節の一部では線維肉腫に矛盾のない組織像が認められた。抗猫白血病ウイルス抗体を用いた免疫染色では,前述した紡錘形細胞の細胞質が陽性となったことから,前述の組織学的変化が猫白血病ウイルスまたは猫肉腫ウイルスに関連した可能性が示唆された。
著者
長谷 晃広 相田 潤 坪谷 透 小山 史穂子 松山 祐輔 三浦 宏子 小坂 健
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.276-282, 2015-04-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
11
被引用文献数
1

近年,歯学部において「将来設計に関する教育(以下,キャリア教育)」が実施されているが,これまでその効果を全国的に検証した研究はほとんど報告されていない.そこで本研究は,全国の研修歯科医を対象として 1)将来設計およびキャリア教育受講の実態把握とその関連性の検討ならびに,2)具体的な志望進路の実態把握を目的とした.2,323名に対し自記式調査票を郵送し1,590名から回答を得た(回収率68.4%).主要な変数に欠損のない1,428名のデータで解析を行った.「将来設計を描けている」と回答した者は212名(14.8%)であった.将来設計を描けていると回答する者の割合はキャリア教育受講経験を有する群で高く(p=0.015),性別,年齢,婚姻状態,出身大学,親の職業を調整したうえでもその関連は支持された(prevalence ratio=1.18, 95%信頼区間=1.08-1.29, p<0.001).希望する進路の最多回答は,研修直後および研修修了5年後では診療所勤務(570名:39.9%および723名:50.6%),研修修了10年後では診療所の開業(705名:49.4%)であった.本研究より,キャリア教育は将来設計を描くにあたり有効である可能性が示唆され,約半数の研修歯科医が10年後以降には歯科診療所を開業したいと考えていることが明らかになった.
著者
小山 史穂子 相田 潤 長谷 晃広 松山 祐輔 佐藤 遊洋 三浦 宏子 小坂 健
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.417-421, 2015-10-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
15

平成24年4月の母子健康手帳の改正により,幼児に対するフッ化物配合歯磨剤の使用の推奨が記載された.本研究では,大学での教育内容を深く反映すると考えられる歯学教育を終えて間もない臨床研修歯科医師を対象に,「幼児への歯磨剤の使用を推奨しているのか」について出身大学ごとに差があるかを調べた.平成24年12月から平成25年3月に臨床研修歯科医師2,323名に対し,郵送による自記式質問紙調査を行った.「二歳の男児の患者さんに対して,あなたが推奨する歯磨剤の量はどれになりますか」の質問の選択肢を「歯磨剤の使用を推奨しない」(歯磨剤は使わない)と「歯磨剤の使用を推奨する」(小児用歯ブラシのヘッドの1/3まで(豆粒大),小児用歯ブラシのヘッドの1/3〜2/3まで,小児用歯ブラシのヘッドの2/3以上,のいずれかを選択)の2カテゴリーにし,出身大学との関連を調べた.統計学的検定には,χ2検定およびロジスティック回帰分析を用いた.1,514名(有効回答率:65.2%)の有効回答の内,使用を推奨した者は48.7%であった.出身大学別の解析では,使用を推奨する者の割合が最も多い大学で73.8%であったのに対し,最も少ない大学で22.2%と両者間に有意差が認められ,出身大学によって,幼児への歯磨剤の使用に関する認識が異なることがわかった.科学的根拠を考慮した効果的な口腔衛生学教育のあり方について検討が必要だと考えられる.