著者
加藤 博之 長谷川 利夫
出版者
川崎市立看護短期大学
雑誌
川崎市立看護短期大学紀要 (ISSN:13421921)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-14, 2020-03

「精神保健福祉資料」(以下、630調査と表記する)によると精神科病院における身体拘束実施者数は2018年度630調査において全国で11,362人に上り、630調査で身体拘束実施者数の調査を開始した2003年度と比べ約2.2倍に増えている。身体拘束実施の状況および身体拘束実施に関連する要因を明らかにするため630調査の各年度の都道府県別データ等を用いて分析を行った。その結果、身体拘束実施率には地域差が存在した。有意に高い都道府県、有意に低い都道府県が存在し、2017年度・2018年度でほぼ同様の傾向が見られた。最高と最低の開きは、2017年度11.6倍、2018年度は20.5倍にも上った。この身体拘束実施率の都道府県による違い、「東高西低」ともとれる現象はなぜ生じるのか、その要因を明らかにすることが、身体拘束の縮減につながる可能性があることが考えられた。患者の年齢は75歳以上が身体拘束実施率が有意に高かった。診断名では「F7 精神遅滞(知的障害)」「F0 症状性を含む器質性精神障害」の身体拘束実施率が有意に高く、診断名の細項目では「精神遅滞(知的障害)」「アルツハイマー病型認知症」「血管性認知症」などで有意に高かった。精神科病院における、75歳以上の患者、認知症患者や精神遅滞(知的障害)患者に対して身体拘束に代わる対応方法を見つけていく必要性は高いと考えられた。
著者
原田 祐輔 長谷川 利夫
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.324-336, 2014-08-15

要旨:仕事のストレス要因とストレス反応の関連性を明らかにすることはストレス対処に寄与すると言われているが,作業療法分野において,働く領域ごとにストレス要因やストレス反応を比較した研究は見られない.本研究では,訪問リハビリテーションに従事する作業療法士(以下,訪問OTR)・病院に勤務する作業療法士(以下,病院OTR)を対象とした仕事のストレス要因,ストレス反応に関する実態調査を行った.結果として,訪問OTRは,病院OTRと比較するとストレスは低く,メンタルヘルスは良好であるということが示唆された.また,両群共にストレス反応に最も影響するストレス要因として「やりがい・適性」が抽出された.