著者
瀧川 由宇登 森 勇人 関 伸吾 小松 章博 谷口 順彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.477-483, 1994-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

マダイにおける第一卵割阻止型雌性発生二倍体 (mitotic-G2n) 誘導のための最適条件の検討を行った。染色体の倍数化は高水圧処理法を用いた。高水圧処理の媒精後処理開始時間, 処理水圧, 処理時間の組み合わせにより条件検討を行いそれぞれの試験区でビーカー試験により孵化率, 正常二倍体孵化率, および半数体孵化率を求めた。mitotic-G2nの誘導に最適と考えられる条件は高水圧処理の媒精後処理開始時間45分, 処理水圧700kg/cm2, 処理時間5分であり, この場合の孵化率は35.06%, 正常二倍体孵化率は53.41%, 半数体孵化率は46.59%であった。しかし, 異数体と思われる個体の出現が多く変態期は大量へい死もみられたことから, さらに最適条件の検討を重ねる必要性が示唆された。
著者
岩槻 幸雄 関 伸吾 山本 彰徳 森澤 友博 稲野 俊直 斉藤 裕也 平嶋 健太郎
出版者
鹿児島県自然環境保全協会
雑誌
Nature of Kagoshima = カゴシマネイチャー : an annual magazine for naturalists (ISSN:18827551)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.467-480, 2020

Habitat and actual records of charr, Salvelinus leucomaenis, from Wakayama Prefecture were investigated by hearing survey and their reliable information. Hearing survey in Wakayama Prefecture suggested their habitat including both probable native and introduced individuals from most of Wakayama rivers, the Kinokawa (including the Kishikawa River), the Aridagawa, the Hidakagawa, the Hikigawa, the Kozagawa and the Kumagawa Rivers in Wakayama although the charr population (Kirikuchi charr) of the Hidakagawa River was considered as extinct in around 1960 of flood disaster by Kubo and Kimura in 1998. Subsequently, native Kirikuchi charr and hybrids between native Kirikuchi charr in Nara and the charr of the Ibigawa River population, Gifu were introduced into upper stream of Komoridani valley, the Hidaka River several times in early 1980. Probable and reliable information of native populations of Wakayama charr were reconfirmed from the Aridagawa and the Hikigawa Rivers and actual specimens of the charr were confirmed from the Aridagawa, the Hidakagawa, and the Hikigawa Rivers. Photographic reconfirmation of the charr was done in middle basin of the Kumanogawa River in Wakayama, too. Further detailed genetic analysis of their Wakayama charr populations would make evidence of native or introduced populations in future. Whitespots' condition on dorsal part of the body in true Kirikuchi charr in the inhibited river zones for the charr catch in the Yumitehara river, the Kawasako River were noted, being variable in presence or absence of dorsal part of the body in true Kirikuchi charr although it has been considered as generally having no whitespotted body of the true Kirikuchi charr before.
著者
山岡 耕作 堀 道雄 関 伸吾
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

人工流水環境下、人工採苗、琵琶湖産、海産のアユ3系統81個体について、摂食観察を行った。観察は朝夕の1日2回、摂食行動を連続50回、計100回行った。観察後、アユは氷水中で死亡させた後、重力等の外圧に影響されないよう、個体を吊り下げる様にした固定装置を用いて10%ホルマリンで固定し、保存した。形態的利き手の判定は、ホルマリン固定した個体について、下顎関節が前方に位置する側を利き手として判定した。体軸の歪みも判定に用いた52個体で左右の顎の使用頻度に有意差が認められた(人工、右利き9個体、左利き10個体:琵琶湖、右10、左10:海産、右7、左6)。摂食行動に関して、3系統間に差はみられなかった。全ての個体について形態的利き手の判定を行った結果、摂食行動が右利きの個体では体軸が右に歪み、科学関節部位の左側が前方に位置し、形態的利き手は左利きとなった。それに対して摂食行動が左利きの個体は、体軸が左に歪み、下顎関節部位は右側が前方に位置し、形態的には右利きとなった。これらのことから、摂食行動の利き手と形態的利き手は逆の関係になることが明らかとなった。従って、下顎関節部の位置、体軸の歪み、説食行動の3形質が密な関係にあることが示された。左右の顎の使用頻度、顎部形態、体軸の歪みに関して、3系統間に差はみられなかった。3系統81個体の外部形態の計測を行った結果、胸鰭長、腹鰭長に左右差が全ての個体で認められた。胸鰭長は81個対中61個体において形態的利き手と胸鰭の短側が一致した。腹鰭長では81個体中55個体において形態的利き手と腹鰭短側が一致し、胸鰭、腹鰭ともに利き手側が短い傾向がみられた。形態的利き手と対鰭との密な関係がうかがわれる.。左右の腹鰭位置を測定した結果、81個体中65個体において形態的利き手側の腹鰭が後方に位置した。形態的利き手と腹鰭関節の位置は密接な関係にある可能性がある。櫛状歯、眼径及び左右の眼の位置については、形態的利き手との間には明確な関係は認められなかった。又、調べられた全ての外部形態の左右差に関して、3系統間で有意差は認められなかった。